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流行りの【DX】は何が間違っているのか?

KACHIELの久保憂希也です。

2~3年前からビッグワードになってきた「DX」(「デジタルトランスフォーメーション」の呼称)

コロナショックにより、在宅勤務へのシフト・巣ごもり需要の増加から、DX(化)なるものがさらにメディアで取り上げられるようになりました。

私も昨年くらいから、いわゆるDX関連の書籍をまとめて読んだりしていますが、メディア記事も含めて、そのほとんどはDXではなく、単なる「デジタル化」の話のような気がします。

●在宅勤務:社内のデータ化・クラウド化

●出社の制限:印鑑の廃止・Zoomなどの活用

●巣ごもり需要:ネットショップの開設・強化


これらは昨今のわかりやすい傾向ですが、そのどれもがデジタル化やネットへのシフトをしているだけの話ですよね。

もちろんデジタル化の推進が悪いなどとは全く思いません。デジタル化・ネットへのシフトも安価でできる時代ですし、専門的知識を要しないようになってますので、ぜひ推し進めてください。

私がここで言いたいのは、「リアルをデジタルに置き換えただけでうまくいく」的な発想はDXでも何でもないし、そんなことで経営が良くなることはない(特に売上・利益が上がることはない)ということです。

私が尊敬する経営学者の楠木建先生が、以前からよく出す例として「Eコマースは自動販売機か?」という例があります。

2000年前後のいわゆるITバブル時代、もてはやされたビジネスが「ネットショップ」。
簡単にいえば、店舗で買えるものを全てネットショップ化すればいいという発想です。

店舗に行かなくても、いつでも買えるという利便性から、店舗を自動販売機にしたのと同じ、という例ですね。

確かにスーパーをネットショップ化すれば、「24時間営業」「在庫はほぼ無限」「顧客は荷物を運ばなくていい」などわかりやすいメリットがあります。このわかりやすいビジネスモデルに多くの大手企業が乗っかりました。

もちろん、その結果は誰もが知っているとおり、単純なネットスーパーなど1社も残っていません。

さて、その当時さんざん叩かれていたAmazonだけが生きる残るどころか大成功しているわけなのですが、これをどう捉えればいいのでしょうか。

楠木建先生はこう評しています。

「昔からメールオーダーのカタログはあるし、ショッピングモールに行けば品ぞろえは豊富にあるわけで、それはEコマースの本質ではない。
Amazonは本から始めたわけですが、ジェフ・ベゾスが考えたのは、本屋に入った瞬間に、その人の好みに合わせて本棚が一斉に動く本屋です。
これは、リアルコマースがひっくり返っても真似できない。
つまり、Aさんが入ると、Aさんの好みに合わせた本棚のレイアウトや構成の本屋に変わる。
0.1秒後にBさんが入ってくると、途端にBさんに合わせた本棚構成になり、本の分類基準もBさんに合わせて変わり、入り口の今週のベストセラーも、Bさんに合わせてたちどころに変わる。これこそがネットの本質だというのがベゾス氏の慧眼でした。
Amazonの戦略はすべてがこのコンセプトから出てきたものです。」
https://www.foresight.ext.hitachi.co.jp/_ct/17360049


このあたりの詳しい考えは、楠木建先生の名著「ストーリーとしての競争戦略」(287ページ~)を読んでいただきたいところですが・・・

ここでの結論としては、リアルをデジタルに単純に置き換えても意味はなく、DX(化)の本質とは、【デジタルでなければ実現できない世界を創る】ということに尽きると思っています。

DXをこのコンセプトから捉えなおすと、DXでうまくいっている会社やサービスの意味が理解できるようになります。

メルカリなどはこの典型例で、不用品を売りたい人とそれを安価に欲しい人をマッチングするのは、とてもじゃないですが、リアル店舗で実現しません。

私もヘビーユーザーですが、Amazonはスーパー・雑貨屋のデジタル版ではないからこそ、Amazonで買おうと思うわけです。


さて、すでに長くなりましたので、次回もDXの本質について、少し身近な例で掘り下げて考えてみましょう。


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