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面接ではひたすら「同じこと」を言い続けるとうまくいくという話

「行きたい会社から内定もらいました!
最終面接終わった2時間後には内定の電話が来てびっくり。
かみさんと面接対策してから、全部の面接通過してて自分でも驚いてます。かみさんがいなかったら、絶対に就活失敗してた。
お礼言いたいから、もういちど面談させてください!!」

私のフリーランスのお仕事のひとつ、学生の就活支援。
オンラインで3日連続、30分の面接対策をした学生からのメッセージ。


ひたすら「同じこと」を言い続ける大切さに気付いた転職エージェント時代

私はキャリアコンサルタント歴18年目になる。
最初の仕事は、中途で入社した転職エージェントのキャリアカウンセラーだった。

ここで私は初月デビュー戦、転職支援の目標人数3名に対して9名という、300%達成を飾る。その時私は思った。

「え、私、これ天職じゃん…。この仕事、もしかして簡単?!」

それから紆余曲折、この仕事がそんなに単純ではないことを私は徐々に知っていくのだが、この時から私がなぜこんなにうまく転職をサポートできたのか、少しずつ経験を積む中でわかってきたことがある。

それは、転職を希望されるおひとりおひとりの、「ブレないキャリアの1本の軸」を見つけるのが好きだったこと。


「自分には強みなんてない」
「転職回数多すぎて、経歴もバラバラだし…」

そんな転職希望者の方のお話を聞く中で


「あれ?でも、いつもここが嫌で転職されてますよね、
ということは、ずーっと、●●だけは大切にしてきているんですね」
「やってる業界職種は違っても、この能力だけはどこでも評価されてません?」

そういう、人のキャリアの中の軸というか、1本の木の大きな幹のような大事な部分を見つけるのが好きだったのだ。

それを伝えると、皆さんとても喜んだ。
「自分でも気付いてなかった!」

そうやって、相手の目が急に輝きだす瞬間は、今もキャリアコンサルタントの仕事をしていく中でいちばん嬉しい時である。

ひたすら「同じこと」を言い続ける。
この「同じこと」とはまさに、ブレないキャリアの1本の軸だ。

その結果、私がサポートした人たちは、面接で迷うことなく堂々と、この軸を伝え、自分を覚えてもらうことができたのだ。

だから、面接ではひたすら「ブレないキャリアの1本の軸」を言い続ける。
「あいつ、同じことばっかり言ってるな」でOK。

「先ほどもお伝えしましたが…」
「重ねてのお伝えになりますが…」
とか言いながら、ひたすら同じことを言い続ける。

とにかく、面接の中で自分のブランドを作ってしまうのだ


面接官の人に
「○○の、やまださん」
とたったひとつだけ、キーワードで覚えてもらう。

一次面接から最終面接まで、自分に会ってくれたすべての社員の中で
「あー、○○の、やまださんね」
と共通言語になることが理想である。


「ブレないキャリアの1本の軸」とは

とは言え、
「ブレないキャリアの1本の軸」
これが最初から言語化されている人はほぼいない。

転職回数が多い人、今まで、なんとなく会社を選んできてしまった人、今の会社をとにかく憎んで恨んでいる人……。


「『ブレない1本のキャリアの軸』なんてある訳ないじゃないですか!」
だいたいの人はそう言う。
そして、1本の軸が見つからないから、「あれこもこれも…」と面接でたくさんの話をして、玉砕していく。


今回、面接対策をした学生さんもそうだった。
始めはテキストでレジュメ添削をしていたのだけれど

かみ「あれもこれも書きすぎ!
就職するうえで、あなたが本当に大切にしていることは何ですか?」
学生「それがまったくわからないんです…」

というやりとりから、オンラインで面接をすることになった。


始めに気になったのは、とにかくモリモリの「強みの全部乗せ」。
これは、自分の経験に自信がない、一貫性がないと思っている社会人もやりがちである。

「私の強みは、論理的思考力と好奇心、傾聴力とリーダーシップである」
みたいなやつ。
それに対してエピソードが書かれているものの
「え、このエピソードのどこが『論理的思考力』と『好奇心』?!」
と思いながら読み進めているうちにエピソードは終了してしまい、結論には
「以上のことから、私はやり抜く力と忍耐力を手に入れた」
とまた新たに強みが足されて結論になっていたりする。

こうやって、いろいろな成果、言いたいことをてんこ盛りで話しても、聞いている面接官からすると
「で、結局どんな人?」
がまとまらない。

混乱するだけである。

結果、のこった印象は
「なんかたくさん実績をあげていて、優秀な人でした!」
みたいになる。

そう、イマイチ印象に残らないのだ。
そして、面接官はあなたをどう表現していいのかわからない。

人事部の「採用ミーティングあるある」

ひとつのポジションに何人も候補者がいる場合、とうぜん企業側は迷う。
採用ミーティングなどで、よく見かけるのはこんな場面。

「Aさん、Bさん、Cさん、それぞれどういう人だったっけ?
誰がいいだろう、うーん…」

私も、過去在籍していた企業やいま採用支援で入っている会社で、本当によくあり。

その時に、「○○の、やまださん」としてわかりやすくブランド化され、社内で共通言語ができていると、どんな人かイメージがわいて満場一致で安心して次に通しやすい。


ここができていないと、結局どんな人かハッキリしないから、今さらどうしようもない過去の数値化しやすい要素(学歴や偏差値、転職回数とか、年齢とか)で他の人と比較されてしまう。
これは非常にもったいない。


だからこそ、私はもう一度、声を大にして伝えたい。

面接ではひたすら「ブレないキャリアの1本の軸」を言い続けろ、
とにかく、面接の中で自分のブランドを作ってしまおう。


面接で「自分ブランド戦略」を成功させるたったひとつのポイント

そして、その考え方は、意外とシンプル。

面接では、ひたすら「同じこと」を言い続けるべし!

面接では、ひたすら「同じこと」を言い続けるべし

まず、前提として面接でよく聞かれる質問と、その構成をお伝えする。

1.自己紹介・経歴
2.転職理由(中途のみ)
3.自己PR
4.志望動機
5.この会社に入ってやりたいこと、なりたい姿
6.逆質問

中途ならこの6つ、新卒なら「転職理由」以外の5つ。
この6つを時間軸で整理すると、「過去、現在、未来」に分けられる。
こんな感じ。

1.自己紹介・経歴

ここって履歴書や職務経歴書、エントリーシートを見ればわかることなのに、なぜ言わされるのか。

それは、「話し方」や「まとめ方」「第1印象」を見ているから。
なので、内容自体は変に凝ったり、もりもりの自己PRを入れる必要はない。

学生なら出身校や学部学科で学んだこと、サークルや部活、ゼミなど。
社会人なら今までの経歴やそこでの業務内容をコンパクトにまとめれば大丈夫。


「自分ブランド化」面接での自分の伝え方

①強み編

そして、ここから先がポイントになる。

2.転職理由(中途のみ)
3.自己PR
4.志望動機
5.この会社に入ってやりたいこと、なりたい姿
6.逆質問

まで、ひたすら「同じこと」を言い続ける。

すごく単純に書くと、こんな感じ。

2.転職理由(中途のみ)
私は、●●力をより活かして活躍するために転職を決意しました。
前職では、社内事情により異動を余儀なくされ、この●●力が活かせなくなってしまったのです。

3.自己PR
私の強みは●●力です。具体的には、こんなことがありました(エピソード)そのため、私の強みは●●力です。

4.志望動機
御社であれば、この●●力が活かせると思って志望しました。

5.この会社に入ってやりたいこと、なりたい姿
この会社に入って、この●●力をさらに伸ばし、こんな人間になりたいです(こんなことをしたいです、貢献したいです)

6.逆質問
私は●●力を活かしたいのですが、この職種でこの●●力が求められる場面はありますか?

このように同じキーワードをどの質問回答にも必ず入れ込むことがポイント。
ここでは、「●●力」と「活かしたい強み」にフォーカスしましたが、「はたらくうえで大切にしている価値観」をキーワードにするのもおすすめ。

②はたらく「価値観」編

例えば、こんな感じ。

2.転職理由(中途のみ)
私は、常に成長できる環境を大切にしてきました。今の職場ではそれが実現できなくなってしまったんです。

3.自己PR
今までも、「常に成長したい」という価値観のもと、こんなことに挑戦し、このような結果を出してきました。

4.志望動機
御社なら、こういう理由でこれからも「常に成長」し続けることができると考えています。

5.この会社に入ってやりたいこと、なりたい姿
これからもこの価値観を大切に、「常に成長」し、こんなことに挑戦していきたいです。

6.逆質問
私は「常に成長」し続けたいのですが、●●さんがこの会社でもっとも成長を感じたエピソードがあれば教えてください。

みたいな感じです。
(もちろん、実際にはもっと肉付けが必要ですが)

そうすることで
「●●力のやまださん」
「常に成長し続けたいかみさん」
としっかりと面接官の頭の中に残り、自分をブランド化することができます。


あれも言いたい、これも言いたい。
「自分ブランド化」面接に失敗すると……

いろいろな方の面接を見ていると、各質問に一貫性なくバラバラな回答を返し過ぎる方が多いです。
面接が終わった後
「いい感じの人だったなー、優秀だった!だけど、どんな人だっけ?」
という印象で終わってしまう。

これだと、面接官の「人を見る力、言語化する力」に頼ってしまうことになります。
本当にもったいない…。

面接官も面接だけやっている面接のプロではありません。
今あった求職者がどんな人だったか、きちんと言語化するのは難しい。

なのに、あれもこれもといろいろなワードを全部乗せで伝えてしまうと、面接官は求職者の強みや価値観をうまく社内に伝えられなくなり、広く浅く、うすーい印象しか残らなくなってしまうのです。

だからこそ、自分で戦略的に、
「面接官に自分をどう印象付けるか」
ブランディング化する。

それには、ひたすら「同じこと」を言い続けて、自分が仕掛けたい言葉で覚えてもらうしかないのです。


面接でよく聞かれる質問の各項目について、もう少し詳しく説明してみます。


2.転職理由(中途のみ)

中途の方の場合、この「転職理由」がネガティブだったり、転職回数に一貫性がなかったり、そのあたりで悩まれる方が多いですよね。

ここはいったん、各転職の際に「何が嫌だったか」、ネガティブなことや自分のせいじゃないことまで全部書き出して、そのうえで隣に「本当はどうだったら良かったか」を書いてみてください。

そうすることで「これが嫌だった!」という他責から「私はこうしたかった、私はこれが実現したかった」という自分目線で大切にしていることや価値観が見つかります。


3.自己PR

強みは一つ!多くても2つ!!!
それに対して、とにかく具体的なエピソードを書くこと。

強みをたくさん書くくらいなら、強みは一つでそれを具体的に表すエピソードを複数書いたほうがいいです。
そうすることで
「『たまたまできた』ではなく、再現性をもって様々な場面でその能力や価値観を発揮しているんだね」
ということが面接官に伝わりやすくなります。

この再現性、は大事なキーワード。
なんとなくうまくいった、と思われないよう、いかにプロセスを具体的に書くか。

・問題、課題、施策、結果、学んだことの順に書くこと
・可能な限り、数値で表現すること

この2点が大切になる。


4.志望動機

もったいないのは、会社を褒めたたえる系の志望動機。

NG志望動機例
■御社の商品、商材が大好き!

→未来、一緒に働く社員ではなく、ただの優良顧客アピール。

御社は業界ナンバー1のシェアを誇り…
→会社の規模や優位性が、「今入社しようとしているあなたにとってなぜ必要なのか」これが明確に書かれていないとただの安定志向に見えます。
恋愛で言うなら「親が金持ちだから」「あなたは公務員で安定してるから」「あなたは高学歴だから安心だから」みたいな感じですね。嬉しくない。

御社の理念に共感し…
→「なぜ共感したのか」自分自身の経験価値観ときちんと結び付けて語ることが大切。ここがないと、「あなたの話してること好き!」という表面的なアピールになってしまいます。

■御社の福利厚生。研修制度に魅力を感じ…
→これはいちばんやっちゃダメ!
「あなたがくれるプレゼントがいちばん良かった」みたいな感じ。
とても受け身で、自分が受け取れる利益しか考えていないように見えます。

なので大切なのは、ここでもひたすら「同じこと」を言い続けること。

自分が伝えたい強みや価値観と、この会社はマッチするのか。
するとしたら、それはどのような部分か、どうしてそう感じたのか。

まずはここを必ず伝えること。
それが「私がこの会社を好きな理由」ではなく「私がこの会社を志望する理由」だ。


5.この会社に入ってやりたいこと、なりたい姿

これも、悩む人が多い。
未来のことはなかなかわからないからだ。

ここでも、何がしたい、というより先に「どんな人になりたいか、それはなぜか」から考える。
この「それはなぜか」の部分に大切にしている強みや価値観が入る。

その強みがこの会社に入ったらどう活かせるだろう、磨けるだろう。
その強みがもっともっと尖った武器になったら、私はどうなれるだろう、さらにどう貢献できるだろう。

そんなふうに「自分の強みや価値観」の「今」を起点に、よりそれが実現できる、輝く未来が、「この会社に入った自分の姿」なのだ。


6.逆質問

逆質問。これこそが、最強の自己PRタイム。

「私はこれを大切にしているのですが……」と、ここでも、自分の伝えたい人ことから質問を膨らませて最後の印象に残す!


とにかくポイントはひたすら「同じこと」を言い続けること。
自分がどんな人間か、面接官の語彙力に頼らず、自分で戦略的にPRすること。



最後に

あれも言いたい!これも言いたい!
自信がないとなおさら、いろんなことを言いたくなってしまいます。
自分のことだとなおさら、そうなりますよね……私もそうです。

でも、ここは勇気を出して!
「私のこれだけを覚えて帰ってください!」
の気持ちでチャレンジしてみてください。

就活、転職、社内の昇格試験や異動面談、もしかしたら、初めてのデート?
意外と、いろんなところで使える技な気がします。

私は初めて転職エージェントをした時からずーっとこのやり方で多くの方のご支援をしてきたので、自分の中では当たり前になっていたけれど、実はほとんど知られていないんじゃないかと気付きました。

だからこそ、この記事が、あなたの人生の何か、大切な転機で少しでもヒントになったら嬉しいです。

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