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読むSOZO KOTOTOI RADIO #20 川上弘美「真鶴」から想像トーク!

毎週木曜AM7:00に更新中の音声コンテンツ「SOZO KOTOTOI RADIO」。このラジオの公式note担当、本間海鳴と申します。こちらのnoteでは、更新されるラジオの要約と、ラジオを聴きながら私が考えたことや想像したことなどを文章の形でお送り致します!

このラジオでは、毎週本の一節を紹介し、そこから着想を得て想像・妄想した、 未来の社会や人の価値観の変化などを超主観トークでお届けしています。

ラジオパーソナリティはオリジナルミュージカルを制作・興行する株式会社Protopia代表の水島さんとアシスタントのわかなまちゃんです。

それでは、第20回の内容も振り返っていきましょう!


今回の一節📗

第20回で取り上げられたのは、川上弘美「真鶴」からこの一節。

「流れる先が定まらないと、自分のいる場所が分からなくなる」

川上弘美「真鶴」

パーソナリティの水島さんは、この小説を『水みたいにたゆたう文章』と表現しました。女性特有の感覚や感性がそのまま書かれたようなこの小説。ここから、一体どんな妄想が広がっていくのでしょうか?

第20回のトーク内容💭

この小説の特徴を言葉で説明するのは難しい、と水島さんは言います。

まず、普通の小説には分かりやすい起承転結がありますが、『真鶴』は起承転結がかなり曖昧になっているように感じます。
さらに、今回の一節にも出てくる「流れる」という感覚が、的確に文章に落とし込まれている作品でもあります。流れの中で、色んな人や現象に、近付いたり離れたりする感覚。自分が今どこにいるのか分かったり分からなくなったりする感覚。そういったものがぼんやり感じられる、不思議な作品です。
こうしたことから、水島さんは『真鶴』を「水のような小説」と表現しました。

また『真鶴』の著者の別の作品『水声』についても触れます。
読んでいくと、何か真ん中に大切なものが隠されている、でも見えそうなのに見えないという感覚に陥ります。水島さんはこれを「玉ねぎのように周囲のものを外していく小説」と表現します。

ラジオは、この「感覚で伝える」という表現方法に注目。
この表現方法は『日本語の構造』そのものではないか、と話は展開していきます。
日本語の文法で、結論が分かるのは最後です。しかし、結論に辿り着くまでが長いため、話を聴いている人は話の途中でなんとなく結論が分かってきます。
この小説も同じで、結論が分かるのは最後ですが、物語を読んでいる最中からなんとなく結末が分かっていくような構造になっているのです。

この日本語の特性や構造を応用した『日本特有のミュージカル』が作りたい、というところから、さらに妄想は広がっていきます。ストーリーではなく、感覚や感情でテーマを伝えていくような、水の流れのようなミュージカルです。
例えば、雨が突然降りだすかのように、何かの現象が急に起きる。雨が突然止むように、現象は消える。突然何かの現象によって波紋が広がり、波紋同士がぶつかって混じり合い、最終的には混濁して一つの水たまりになる……。
そんな「感覚で伝えるミュージカル」が作れたら、面白いかもしれません。

さらに『日本特有のミュージカル』というところに注目し、日本の文化についても改めて考えます。
日本は色んな物を併用して使う文化です。例えば、西洋ではフォークやスプーンをいくつも使って料理を食べますが、日本は箸一膳だけ。着物も、自分の成長に合わせてサイズを調整することができます。
そういったところから、セットの無いミュージカルもいいのではないか、と妄想は膨らんでいきます。具体的な場所をセットで作るのではなく、演出や小道具、セリフなどで空間を伝えていく。具体的な場所を提示してしまうのではなく、もっと感情や空間を上手くリンクさせて物語を伝えることができたら、ミュージカルの選択肢は格段に広がるような気がします。

「感覚で伝える」ミュージカルには、たくさんの表現方法があるようです。これから先、どんな新しいミュージカルが生まれていくのか楽しみですね。

本間の感想🤔

「感覚で伝える」という新しい見方を知れる回でした。確かに、「言葉にできないけどなんかすごくよく分かった!」という創作物に出会ったことが何度かある気がします。あれは、私の感覚に伝わっていたんですね。

今回のラジオを聴いていて、私がふと思い出したのはラーメンズのコントでした。一色に統一された質素な舞台。上着を着たり脱いだり、髪を上げたり下ろしたりする以外はほとんど変化しない衣装。ただの黒い箱をいくつか積み上げて作った、机、いす、バイク。あれがおそらく、私が初めて出会った「感覚で伝える」舞台だと思います。

あれをミュージカルでするとなると、かなり難しい気がします。だってミュージカルって、そもそも感情を歌にして伝えるものですもん。つまり感覚で伝える舞台に限りなく近いと思うんですよね。ミュージカルを、一体どこまでシンプルにできるのか。かなりアーティスティックな挑戦になりそうで、すごくワクワクします。

やっぱりバタフライエフェクト的な構成になるんでしょうか。別々に起こっていた何も関係なさそうな出来事が、結末に向かうにつれて関連し合っていたことが分かるとか。
そういう構成の物語って結構あるんですけど、そこにメッセージ性を含めるのってすごく難しそうですよね。こういった構成の物語は、伏線が回収されてすげ~!ってなって終わっちゃうことが多い気がします。だから、たとえメッセージ性が隠されていてもそこに気付きにくくて、『伏線回収がすごかった作品』という印象になってしまう。
ミュージカルはテーマが大事だし、そこをどうクリアするのか……考えることはたくさんありそうですが、答えがなかなか出ないことを考えるのって面白いですね。

皆さんはどんな物語を想像しましたか?

↓↓第20回目の本編はこちらからお聞きになれます↓↓

タイトルにもなっている「KOTOTOI(言問)」には、「共に語ること」という意味があります。このラジオを通して、パーソナリティであるお二人の想像・妄想を広く知ってもらうこと、そして、リスナーの想像・妄想も広げ、色々な意見や考えを互いに知ることを目的としています。誰かの妄想から着想を得て、自分の想像力をどんどん豊かにしていくのが「KOTOTOIラジオ」の目指すところらしいです。

聴いた人の想像力も刺激し、新たな考え方を取り込むことができる「SOZO KOTOTOI RADIO」。本編ラジオも、noteも、どうぞよろしくお願いいたします。ぜひ皆さんの想像・妄想もお聞かせください!

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