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なぜか仕事で「速い」と損する不可解な現象が発生することについて

時間は1日24時間として全ての人に平等に与えられている。なので世の中は『速い』ことが価値を高めていることが多い。

・特急電車にはプラス料金がかかる
・高速道路を使うとお金がかかる
・配達系だってお急ぎ便ほど高額
・スポーツも速い人が金メダル獲得の競技は多い
・クイズも速く正解できた人やチームが優勝する
・行政の窓口や飲食店なども速やかに案内(提供)されるほうがサービスの質は高いと評される

仕事に関しても同様で、基本的には速いほうが評価につながりやすい。

・資料を作るのが速い
・送ったメッセージに対するレスポンスが速い
・相談した際にズバッと適切なアドバイスをくれる

などなど。物事がスムーズに進む『速さ』を提供できることは高い価値なのだ。しかし、何故か仕事において『速い』ことで評価を下げられる状況がしばしば発生する。これが不思議でならない。

例えば自分は、キャッチコピーやテキストといった言葉を作ることだったり、事業相談に対する課題解決の企画提案だったりの『発想すること』でお金を頂いている。

発想って面白いもので『じっくり考える』のではなく『一瞬で良い案がひらめく』ことも少なくない。手を動かす作業であれば、このくらいのことをカタチにするのに時間はこのくらい必要だという目安を作りやすいが、発想となると、その時その時でかかる時間は本当にピンキリだ。

一瞬で良い案がひらめいたとしたら『一瞬でひらめける』ということが能力なのだ。ちなみに、自分が何かを提案する際には何故そうなのかの根拠も添えて伝えている。短時間で根拠を持った良い案を出すためには、日々のインプットとアウトプットを欠かさなかったり、多方面にアンテナを張ったり、いろんな場所へ足を運んだり人に会ったりの、筋トレ的な積み重ねが大きく影響を及ぼす。

高精度の案を『速く』発想できることは特殊能力と言っても過言ではない。しかし、依頼主に『速さ』を重視して提案してみると、言われがちなのが以下のような内容。

「え、こんなにすぐできたのに、この金額を請求するんですか?」

もちろん上記の言葉には「そんな高額なの?」というニュアンスを含んでいる。完全に『かけた時間への対価』という価値観になっている。

働くことで得る報酬(給料)は『事業への貢献度』で決まるはず。事業への貢献度は『成果』によって評価されて、高い成果を出せる人ほど報酬(給料)も高くなるというのが健全な流れ。

その成果は『精度(質)は高ければ高いほど』『時間は速ければ速いほど』事業への貢献度が高いということは誰もが納得できるポイントだろう。けして『職場にいる時間が長ければ長いほど良い』わけではない。

最初に書いた通り、時間は全ての人に平等に与えられている有限なもの。

特に仕事となると、どんなものにも締め切り(この日までにカタチにできないとアウトという期限)が設けられている。速く進められるとスケジュールなどに余裕が出てくる。咄嗟の変更やトラブルが発生しても対応しやすい。結果的に精度(質)の高い結果へと繋がる。

同じようなプロジェクトを進めるAチームとBチームがあったとして、一週間で良いアイデアが出たAチームと1ヶ月かかったBチーム。そのアイデアをカタチにするのに半年で終わったAチームと1年かかったBチーム。どちらが優れたチームなのかは言わなくても判るだろう。

繰り返しとなるが、ポイントは『高品質な仕事』を『少ない時間』でできること。なので『たくさんの時間をかけたから高い報酬』ではなく『少ない時間で成果に繋げたから高い報酬』という価値観であることが重要。

単純な話、速く物事が進められれば、自分の好きなことにもっと時間が使えたり、趣味に熱中したり、家族と過ごしたり、旅行したりできる可能性も高まる。それによって創造性が刺激されて更に仕事(発想など)の質が向上したりといった好循環だって生まれやすくなる。

自分も、同じ成果を得るためには出来るだけ短い時間で終えたいと常に強い意識を働かせている。そのためには

・情報は広さと深さの両方を意識して収集するし
・便利ツールがあればどんどん使うし
・必要に応じて遠慮なく人に頼らせてもらえる関係性を築けるような立ち振る舞いを重視している

どこまで質良く、そして速く提供できるか。そして自分が自由に使える時間をどれだけ生み出せるか。そのための努力は惜しまない。

かなり真面目な意見なのだが、成果主義に基づく評価→報酬システムになれば、もっと時間や場所に縛られない働き方(勤務体系)が推進されて多様な家庭事情に対応できる。ただの勤務時間や勤続年数ではなく『個々の人と向き合った適正な評価』がされやすくなり、働くことへのモチベーションも上がって、創造性や生産性を最大限に引き出すことができるだろう。

働いた時間で報酬(給与)が決まるという『時間を基準とした働き方』でなければ成り立たない業種ももちろんあると思う。ただ、なんとなく古い慣習のまま惰性で『労働時間に対する報酬(給与)』という選択肢しかないのは、個人が「スキルアップしても無駄だ」と解釈してしまったり「残業すればするほど稼げるからゆっくり進めよう」とワザと非効率な手段を選ぶ危険性もあったりで勿体ない。

働く上で『速い』ことは高い価値であるという意識が浸透すること。それにより時間ではなく『成果』に対して報酬が決まる事業者が増えること。これが結果的に働き方の選択肢が増えて、個人にとっては適材適所に仕事を選びやすくなったり、企業にとってはプロジェクトに応じて柔軟なチーム編成がしやすくなったりというプラスに作用すること。

そんな流れ・意識・価値観が世の中に広まっていくことを切に願っている。


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