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0013 - 地元ではネットの影響力てまだまだ弱いんだなと感じる話

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3年前に劇場公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」が、追加シーン満載で「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」となって今月から再び公開が始まる。

その前回の公開時期に書き留めた文章があるのだが、読み返してみたところ、先日「静岡と東京の生活スタイルの大きな違い」でチラリと書いた「地方ではSNSによる口コミ拡散が弱い」と関連性の強い内容だったので、今回はそれについて。

2017年1月に書かれたものなので、その頃に想いを馳せつつ読んで頂ければと。

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前提:
◎以前から「この世界の片隅に」原作コミックの大ファンだった
◎コミックは何度も読んでいる(元々こうの史代さんの大ファン)
◎劇場用アニメ化の知らせに大歓喜
◎クラウドファンディング目標金額達成の知らせに安堵
◎公開時期延期の知らせが入りヤキモキした
◎様々な事情あって宣伝が行き届いてない状況にもヤキモキ
◎晴れて2016年11月12日(土)劇場公開した
▶︎アニメ「この世界の片隅に」公式サイト

2016年 11月12日(土):
公開初日の朝イチ回にて、地元(静岡県西部)ららぽーと磐田TOHOシネマズにて鑑賞。原作ファンということで否応無しに高まる期待値を軽く&大きく超える素晴らしい作品だった。
ただ、席は1割も埋まっていない淋しい客入り。比較として、数ヶ月前に同じ劇場で「君の名は。」を観た際には公開初日でも9割ほど埋まっていた。
鑑賞後、ららぽーと磐田内の店舗も含め地元で数件ほど書店を回るも、原作コミックはほとんど置いていない。すなわち、全くといっていいほど話題になってない。

11月20日(日):
前回と同じ場所で2度目の鑑賞。日曜なので、ららぽーと自体は大賑わい。TOHOシネマズ自体も大賑わい。ただし「この世界の片隅に」の客入りは先週以上にガラガラ。公開2週目にして早速、上映回数が減ってしまっている。

11月22日(火):
やはり大々的に宣伝できない作品だと認知すらされず、ひっそりと公開終了に追い込まれてしまうのかと寂しい気持ちに駆られていたところ、こんなニュースを目にして本気で驚いた。
▶︎<この世界の片隅に>動員11万人突破 週末動員は前週比124%
観た人の評判がとても高く、SNSによる口コミ効果もあり「週末動員が前週比124%」「上映館数が増えた」「テアトル新宿では過去10年間で最高の週間興行収入を記録」といった良いニュースが続々と。
ファンとしては素直に嬉しいが、客入りガラガラで上映回数が減っているという、真逆すぎる地元の状況をふまえて考えると全く実感が湧かない。テレビで報じられないSNS頼りの口コミというのは、まだまだ車社会の地方だと弱いんだなと痛感。地元で「この世界の片隅に」を語れる人とも出会えていないままだ。

12月5日(月):
NHK「あさイチ」で、今話題の作品として紹介された。絶賛コメントがSNSで拡散、リピーターが多い、全国の劇場で連日満員御礼、といった内容。

12月6日(火):
3度目の鑑賞。今回は平日の昼間ということもあって、年配層が多い。客入りは3割ほど。「あさイチ」で報じられていたような状況からは程遠いが、NHK効果はジワジワと出ているようだ。過去2回の鑑賞時に比べると明らかに客席は埋まっているし、書店でもチラホラと原作コミックや公式ガイドブックを見かけるようになってきた。(とはいえ、まだ本棚の中に1冊紛れているような扱い)

▼この時は入場する際にポストカードがもらえた画像1

12月15日(木):
新聞に大きく広告が載った。

12月18日(日):
書店でも場所によっては原作コミックや公式ガイドブックが平積みで置かれていたり、小さいながらも「話題作」とポップで紹介されるようになってきた。作品の認知度は地元でも高まってきた印象。

12月25日(日):
書店を覗いたら、関連書籍の置かれる冊数は着々と増えている。

2017年 1月10日(火):
映画雑誌「キネマ旬報」で1位を獲得した。
▶︎『この世界の片隅に』キネ旬ベスト・テン第1位 アニメでは『トトロ』以来28年ぶり

1月12日(木):
NHK「クローズアップ現代+」で特集された。
▶︎“この世界の片隅に”時代を超える平和への祈り
最近ようやく地元でも本格的に「ヒット作」として扱われるようになってきた印象。書店でも入り口の目立つ場所に大々的にコーナーを設け、ポータブルDVDプレーヤーでアニメ版の宣伝映像をエンドレスで流す「猛プッシュ状態」になってきた。
公開直後から大きな話題となっていた東京から遅れることおよそ2ヶ月。ようやく「表向き」は追いついた。

1月14日(土):
少し久しぶりな4度目の鑑賞。これだけ話題になった直後の週末なので、もしかしたら場内は相当な賑わいになるんじゃないかと思いきや、客入りは4割程度。満員御礼にも程遠い。うーむ。

というわけで、この一連の流れで強く感じたのは、地元では、まだまだSNSやネットニュースの影響力は小さく、圧倒的に強いのは「テレビ」で、その次が「新聞」なんだなと。
影響力の大きさを数字で表すと「テレビ7.5:新聞2:ネット0.5」くらいではなかろうか。

スマホでガシガシ情報を取得する人たちが増えれば状況はガラリと変わるだろうが、今はまだ、日中の手の空いた時間にPCやスマホをいじる主婦層や、スマホが生活の中心になっている若者の中に「主な情報源としてSNSやネットニュースを頻繁にチェックする人がいるかもしれない」レベルだと思われる。

車社会な地方で、お金を持ってる&使うメインの層に対して認知度を高めたければ、まだしばらくは「テレビ」が必須。裏を返せば、そういった層をターゲットにしたければ、テレビでのアピールが圧倒的に有効だということ。

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以上。

ここからおよそ3年が経ったのだが、地元における「メディアによる影響力」の優先順位は正直変わっていないと感じる。新聞の影響力が少し弱まって、その分ネットによって動く人が増えているとは思うが、認知してもらうという点ではまだまだ圧倒的にテレビが王様。

3年前には触れてなかったが、車に乗りながらや農作業をしながら日常の中に「ラジオ」がある人も多い。それもふまえて改めて、車社会な地元での影響力の比率を考えると「テレビ6:新聞1.5:ラジオ1.5:ネット1」といったところだろう。

そんなことないでしょ。周りはネットから情報取る人が多いよ。そう感じる人がいるかもしれない。ただ、僕個人の印象では、ネットをガシガシ活用する人は地元ではまだまだ少数派。活用する人はSNSも頻度高めに使用しているので、同タイプの人が自然と集まって「周りに多い」と感じるのだろう。
この点についても別角度で語りたいことがあるので、またの機会に改めて。

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