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大量♡出血は突然に③:救急搬送編

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予想外の展開で救急隊員3名を居間に迎え入れることになってしまった。窓辺に下着が吊るしてあったり、フィギュアが飾ってあったり、梱包を解いていないグッズの小山があったりしたが、迎え入れた。迎え入れるしかなかった。

先程まで尋常ではない様子の私に寄り添ってモフモフさせてくれたり、額の臭いをかがせてくれたり、肉球を鼻に突っ込ませたりしてくれていた猫は寝室に姿を隠してしまった。
猫の後ろ姿を見た隊員の一人が「ぉっ♡」と小さく呟いたのは今思い出してもフフッとなる今回の騒動の中で生まれた小さな嬉しいエピソードだったりする。

救急隊員達は私を椅子に座るよう促した後は、一人の隊員が血圧を測り、残りの隊員達がいつから、どの様な症状が出始めたのかヒアリングを始めた。電話で応答した内容よりももっと細かく具体的なヒアリングであった。

「申し訳ないが使用済のナプキンを見せて欲しい」と言われた時には流石に驚いたが、初期情報収集が大切な事は分かるので即応じた。まあ、ゴミ箱から適当に取り出して開いて見せた時には少々恥ずかしくなかったと言えば噓になるけれど。

部屋から救急車まで移動するのに担架を用意した方が良いか聞いてもらえたが、かなり出血していたにも関わらず意識はハッキリしているし、ふらつきも無かったので自分の足で移動したいことを伝えた。先程測った血圧も正常範囲内だったのでナプキンを取り換えた後、ゆっくり歩きながら救急車に向かった。ピーク時に比べて出血量が少し減っていたので病院まで持ちそうだと小さな希望を持てた。

救急車に乗り込んで、体をベルトで固定して貰って、ようやく出発するのかなと思ったら出発しなかった、というか私も救急隊員もすぐにでも出発したかったができなかった。数が足りなくなっているのは救急車だけでなく、救急病院もどこも病床がひっ迫していたのだ。
つい先ほど私が119にかけてもつながらなかった様に、救急隊員が病院に電話をかけまくってくれたが、そもそもつながらない、やっとつながってもバイタルが安定している自分は受け入れてもらえなかった。

搬送距離、帰宅時のこと、通院時のことを考慮してくれたのだろう自宅から近い病院から順に10件以上問い合わせて、とうとう都外の病院にまで問い合わせくれたが空きが無かった。どこも名の知れた大病院だったが余裕がある病院は残っていなかったのだ。

救急車に乗り込んで1時間以上経過していたこともあり、トイレに行くため一度自宅に戻らせてもらって出血量が大分減っていることを確認できたので、病院搬送は諦めて明日朝イチで病院に行くことを救急隊員に伝えた。

今この時にも都内のどこかで交通事故などで大怪我を負っている人がいるかもしれない、そんな時に救急車と、スキルを持った救急隊員を拘束していることが申し訳なく思えてきたのだった。
(夜11時過ぎに救急車の回転灯に窓を煌々と照らされ続けているマンションの住民にも申し訳ないという思いもあった)

救急車を呼ばない方が良かったのかなと少しの後悔を抱きつつトボトボと部屋に戻ったのだけれども、トイレに入ったら便座のフチから血が幾筋もつたい落ちて床に血だまりができていた(ナプキンの交換が間に合わなくて何度か溢した様なのだが気が動転していて気付いていなかったらしい)。正解不正解ではなく、救急車呼を呼ぶのは自然な行為だったなと思えて少し安心した。


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