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今日の株価が「買い」の会社は何%ある?

投資を本職としない個人にとって、長期投資を成功させるのにかけられる時間は限られます。一体、「買い」の会社を見つけられる確率は、そもそもどのくらいなのでしょう?

プロ投資家は何百〜何千億、場合によっては何兆円という資産を運用します。預り資産が多いため日次取引金額の少ない銘柄は手掛けにくく、上位500社しか相手にしないというファンドマネジャーも珍しくありません。

一方、個人投資家の強みは運用資産の少なさです。一見不思議に思われるかもしれませんが、運用資産が数百万円から数億円しかなければ、プロには手掛けられないような中小型株にも投資でき、それが強みになるのです。

プロが見ていないということは、ニュースや決算が株価に反映されるのに時間がかかる。あるいは反映のされかたが間違っているケースも増えてくる。「空いている」領域にはチャンスが残っている可能性が高いのです。

あらゆる事業と同様に、株式投資も競争です。本来の株価から大きく乖離した銘柄をいかに早く見つけるか。他の市場参加者を出し抜けばリスクリターンを改善できるので、競争相手の少ない株は狙い目なのです。

ただし、これは大量の銘柄を相手にしなければいけないということも意味します。上場企業は3800社もありますから、気付いた会社を片っ端から分析していては時間が足りません。ましてや個人は、プロのように一日中株の分析をし続けられるわけではないし、分析ペースも遅いのが普通です。

チームを組み、見るべき株はすべて見る体制をしいているプロだって、投資判断を行うのはひとりのファンドマネジャーです。その人がその日なにに時間を使うかが勝負を決するのです。

中小型株を手がけるべき個人投資家は、プロ以上に「どの株を見るか」を意識しなければなりません

何社分析すれば「買い」の会社が見つかるのか?

ファンドマネジャーだったころの感覚では、全上場会社のうち買いだと判断できる会社はせいぜい数十から百社程度ではないかと思います。それをすべて見つけることは絶対にできませんが、次の寄り付きまでに無限の時間があるとして、くまなく調べて買いだと判断できる会社はそんなものでしょう。

最大百社もあると言われるとものすごいチャンスがあるように聞こえるかもしれませんが、このような数字の理解には細心の注意が必要です。

「当たり」がそれだけあるとしても、3800社に対しては極めて少ない割合です。仮にとある日、3800社中50社すなわち1.3%が今日買うべき株価水準にあったとします。

平日に1社ずつ、地道に分析を続けたとしましょう。これを10週間続け、50社分析しおえたとき、その中に1社も買うべき会社がない確率はどのくらいだと思いますか?

これがなんと、50%以上もあるのです。98.7% ^ 50 = 51.6% だからです。

初めての会社をしっかり分析するにはどんなに頑張っても数日かかります。つまり、半年ぶっとおしでリサーチしても、そもそも対象のなかに最低1社、買い判定の会社が存在しているかどうかが確率半々なのです。

そしてもちろんのこと、リサーチは百発百中ではありません。実際にはプロでも60%台と言われており、仮に65%の確率で買いを正しく判定できるとき、81社分析しても1社も正しい買い判定ができない確率が50%です。1年の平日を全て費やしても、作業自体が不毛である確率が半分もあるわけです。

どのくらいに絞り込むべきなのか

このことから分かるのは、3800社のうちどの会社について時間を使うのか、最初の絞り込みが肝心だということです。

本格的に調べる前に、3800社を500社に絞り込めたとします。つまり、母集団500社うち50社が買いの状態です。このときは、そこから10社選んだら半々の確率で、少なくとも1社を正しく買いだと判定できるのです。

10社ならなんとか1ヶ月で調べられるかもしれません。いち四半期頑張れば87.5%の確率で少なくとも1社、買いを正しく買いだと判定できることに。

計算するとしたらこうでしょう → (1-10%*65%)^10=51.1%

実際には3800社を500社に絞り込む過程で50社の「当たり」のうちの一定数は逃すはずで、もっと分は悪いでしょう。65%という的中率も、少しばかり高すぎる気がします。

しかし、同じ会社を2度3度と分析すれば、判断も次第に速くなるはずです。株価や事業の状況は変化しますから、昔は買いじゃなかった会社が買いに変わることも往々にしてあるでしょう。

こう考えると、数ヶ月に1社、本当に買ってよい会社を見つけられるようになるという目標はあながち無理なことではありません。

母集団のサイズがいかに重要かを感覚的に理解することが大事です。前出の81社と10社の差は、投資のリスクリターンを根底から覆すのです。

決算分析を劇的に効率化する新機能

proproに新しく搭載された決算分析サマリーを使うと、3800社の中から時間を使うべき会社を上手に選ぶことができます。昨日の記事で解説しましたので、興味のあるかたはこちらをどうぞ。

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今日現在、東証には以下の3条件を満たす会社が約500社あります。プロ向けの上位500社はTOPIX500指数の構成銘柄を指すことが多いですが、こちらの500社はそれとは違い、個人投資家向けのスイートスポットです。

・日次取引金額が1億円以上
・時価総額が300-3000億円
・売上高と営業利益の相関がよい(=限界利益率が安定している)

時価総額300-3000億円というのは、いわゆる中小型株です。長期投資では「5年で2倍」あたりがアグレッシブな目標リターンになりますが、時価総額がこれ以上大きいとなかなか2倍にならないというのも、中小型株を狙うべき理由といえるでしょう。

別の見方をすると、国内企業にとって時価総額1兆円のハードルは相当に高いということです。市場がトチ狂って値付けした1兆円ではなく、業績に裏打ちされた1兆円だということが重要です。

ちなみに「5年で2倍」は年率15%に相当します。年率10%だと「5年で1.6倍」。分かりやすい数字を覚えておくことも大事かと思います。


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