前略、旅行手記

前略、旅行手記

前略、父さん、母さん
僕は旅に出る事に決めました
行き先は未定、終わりも未定の
あてのない旅行となりそうです

自動車は維持費が大変ですから
移動は自転車です
バイクはバッテリーが上がってました
嗚呼、幸先が悪いなんて言わないで
これでも僕は真面目に生きてきたのです

湯の花があちこちに咲いています
硫黄の匂いにつられて買った卵は
とても香ばしい香りです
地元ではこれくらいしか売るものが
ないと言っていたけど
そんなの母親と一緒じゃないか!

鼻先を膨らましたら、次へ仕切り直し
行き先はロケーションのいい
森の中、木々から漏れる光が
すごく心地よいのです

森は性が乱れると聞きました
自由奔放になるらしいです
そうして父親は蒸発したのでしょうか?
彼の真意は未だに分かりませんが
水と一緒に吸う麻薬はさぞかし
気持ちがよさそうで
僕もつられてしまいそう

嗚呼、めくるめく、大地、銀河、生命、
そして、すべての理が
この世界を俯瞰する
僕たちは現象に監視されている
そんな気がするのです

奥底に眠る幻影が
手のひらの影が僕を包む
冷たい温もりはやがて
しなびて、カラカラと
音が鳴る頃には僕も
慣れきってしまうのでしょう

だけど、まだ、まだ…
優柔不断な僕は
決めきれないでいるのです

だから僕は逃げました
責任という重圧から
旅という言い訳を引っ提げて
僕は旅をしています

そう、僕が言いたいのは結局、
旅行は手記(しゅき)に限るのです

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