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論文紹介02:サウナは動脈コンプライアンスの改善につながる

 本日のダイヤモンド・オンラインで気になる記事を見つけました。

 この記事は8回連続で、今週は第1回が読めます。第1回の内容は、血管とはどういったものなのかという解説と、それが老化してぼろぼろになると大変ですよというものです。第2回以降の予告を見ると、血管の老化によって発症する病気や、血管を若く保つ方法について書かれるようです。

 予告を見る限り、血管を若く保つ方法として取り上げられているのは、食事のことだけのようです。もちろん食事は重要ですが、運動とサウナを無視してもらっては困ります。

 ちょっと前にこちらに書いた記事で、サウナの健康への影響に関する論文を紹介したものがあります。

 その論文のキモは、①社会経済的地位が低くても週に3回以上サウナに入ることで死亡率が低下するということ、②サウナと運動を組み合わせることで健康への効果が増強するというものです。そしてサウナと運動で予防が期待できる疾患は、狭心症や心筋梗塞、脳血管障害、認知症など、血管と関わりの深い病気が少なくありません。

 なので、ダイヤモンド・オンラインの記事を読み、ちょっと待った~と声を上げたくなった訳です。血管強化術と称して食事だけしか取り上げていないのはいかがなものかと。

 というわけで、今回はサウナの動脈に対する影響について研究した論文を紹介したいと思います。

 論文のタイトルの日本語訳は「サウナへの曝露は動脈コンプライアンスの改善につながる: 非ランダム化実験研究の結果」です。

 なにやらお堅いタイトルですね。「サウナへの暴露」って、サウナに入るという意味ですね。「コンプライアンス」というと、普通、仕事などでは「法令遵守」という意味ですが、血管コンプライアンスと言った場合、血管の伸展性のことを意味します。つまり、血管がどれだけ柔軟性を保っているかという意味合いになります。健康にとっては、とても重要な指標になります。

 非ランダム化というのは、実験対象と比較対象となる人を適当に割り当てたのではなく、ある特定の集団に対して働きかけたということになります(ランダムの方が客観性が高い)。論文のタイトルってややこしいですね💦

 この実験の目的は、サウナの動脈コンプライアンスへの効果について評価することです。このため、生理的反応として分かりやすい血圧や脈拍だけでなく、様々な専門的な指標(脈圧、脈波伝搬速度、左室駆出時間その他)を用いて評価しています。つまり医学的な研究という訳です。

 実験の方法は、温度が73度、湿度が10~20%のサウナ室に15分を2セットで、合計30分のサウナ室に入室します。1回目と2回目の間にシャワーを浴びます。その前後で動脈に関係する様々な計測を行います。

結 果

 結果を要約すると、サウナ浴直後は、血圧、脈波伝播速度、平均動脈圧、左心室駆出時間などの減少につながったということです。ただし、30分後には元の値に戻る項目が多いようです。

 ここから言えることは、確かにサウナ浴は血管系に良い効果があるということです。一時的にせよ実際に良い値が出ていますから。何もしなければそのままな訳です。だからこそ繰り返し入ることが重要なわけですね。週3回以上で死亡率を低下させるという結果にもつながると思います。

 いやー、サウナって本当に素晴らしいものですね。

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