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ご来場の際の注意事項&コラム

---What's new---
アウフタクトコンサートご入場の際の注意事項をお知らせいたします。
・会場となる加賀町ホールは、新宿区市谷加賀町2-5-26、裏千家東京出張所左隣の建物の3階部分にございます。最寄駅は 都営大江戸線牛込柳町駅南東口です。南東口を出て左に15メートルほど進むと花屋がありますので、その角を曲がって200メートルほど直進した右側です。
・会場側の要望により、コンサートホールのある3階まではエレベーターでの移動となります。4人ずつ上がっていただきますので、時間に余裕をもってお越しください。終演後は階段でもお降りいただけます。
・受付にてチケットの提示をお願い致します。
・マスクの着用にご協力ください。
会場でお待ちしております!

第二回公演アウフタクトコンサート ~黄昏に~
2022年3月13日(日)13:30開場 14:00開演
於:加賀町ホール(東京都新宿区)
チケットご購入はこちら
ご購入に際し、チケットの詳細を必ずご確認ください。
●曲目
シューマン 幻想小曲集Op.12
ラヴェル ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
シューベルト ピアノ三重奏曲Op.100
●出演
伊澤悠(ピアノ)戸原直(ヴァイオリン)佐古健一(チェロ)
出演者プロフィールはProject NAKAホームページをご覧ください。
●チケット
一般3000円 学生1500円


---Column---
今回は当プロジェクトの主宰を務める伊澤悠のコラムをお届けいたします。

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窓から差し込む光に照らされる、白い天井。浅い眠りから覚めて、ここはどこだっけと一瞬考える。ああ、ホテルだ。2月中旬、約1年ぶりの日本帰国後、ホテルに隔離中の身である。

この隔離は憂鬱ではあったが、どうあがいても6日間全く外に出られないのだから仕方ない。割り切ってこの期間どう過ごそうか考えていた時、ドイツの師匠が本を貸してくれた。ドイツ人の社会心理学者ハラルト・ヴェルツァーによる最新の書籍、「Nachruf auf mich selbst」。「私自身への追悼文」と訳そうか。

端的に言えば、「物事の終わりを考える」内容の書である。世の中で行われている生産や開発、さらには人生について、「終わりの美学」を説く。
資源の消費や地球へのダメージを目の当たりにして、私たちはどこかでこのままではいけないと感じているにも関わらず、その原因となるものを「終わらせる」ことに多大な恐怖を抱いている。そして私たち自身も、終わりである「死」を迎えることを、すんなりとは受け入れられない。
それは「終わらせること」が常に退化と受け取られてきたからだ、とヴェルツァーは述べている。

確かに、「終わる・終える」は容易ではない。それは時として諦めを意味し、それには「期待しないこと」を求められるからである。
しかし、私たち日本人は終わりに対する特別な美意識を持っているのではないだろうか。日本人が梅より桜をより好むのは、満開がすぐに終わってしまうからだ、と日本学者のドナルド・キーンが指摘していた。私たちは満開そのものではなく、その向こうの「終わり」に思いをはせているということだ。となれば、終わることは退化ではなく、「無い状態」への進化であり、新たな視点の始まりとなるとも考えられる。
しかしながらヴェルツァー自身、終わりの重要性を見出しながらも、「自分の死とは未だ友になれない」と書いているし、私も同感である。

毎朝起きては本を開き、世の中について、人生について、死について、狭い部屋の中から難しいテーマに思いを馳せた6日間は、なかなか貴重なものになった。普段はピアノを弾くことがどうしても生活を支配するが、それが「無い」生活は、時として得難い時間に生まれ変わる。

今年ありがたいことに第二回目を迎えるこのプロジェクト、テーマは黄昏時から夜へと、まさに一日の「終わり」を扱うものとなる。
赤い夕日、覆い被さるような暗闇。その中に作曲家は、奏者は、製作者は、何を見出し表現するのか。
そんな思いとともに楽しんでくださったら有り難く思う。
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