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クラウドファンディングが終了&アーティストコラム

<クラウドファンディング終了いたしました>
第一回公演の開催資金を募るクラウドファンディングが終了いたしました。直接お振込みいただいた方も含め、延べ37人の皆様に703,000円のご支援を頂きました。本当にありがとうございます。
ご支援者様一覧↓
https://www.projectnaka.com/support-us

主宰の伊澤より、御礼の言葉を掲載いたします。
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 Project NAKA第一回公演の開催のため、たくさんのご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
 未だ形のないものに対し、また新しい試みであるため内容が具体的に想像しにくいであろうものに対し、たくさんの方が手を貸してくださったことに心から感動し、同時に責任を感じています。

 これまで演奏する側としてコンサートに関わってきた私にとって、公演をいちから立ち上げることは大きな挑戦です。理想の公演内容を練り上げ、予算を組み立て、そのために資金を募るということは、今まで経験したことないことであったのはもちろんのこと、「公演する」ことの裏側にこれだけ多くの作業が必要であることを、いち演奏家として学ぶ非常に重要な機会となっています。

 ここからはアーティストとして演奏の準備に励むと共に、主宰としても良い公演になるよう引き続き邁進して参ります。

 本当にありがとうございました。

Project NAKA 主宰
伊澤 悠
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---Column---
参加アーティストコラム、第6回は作曲家の久保哲朗です。第一回公演のVol.4にてプログラミングと新曲の作曲を担当しています。

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 文化庁の新進芸術家海外研修制度の研修員に選抜され、イタリアのミラノ音楽院に2年間留学する事になった。1年目を終え、元号が代わった後しばらくして、中国で新型ウイルスが猛威を振るっていることをニュースで知った。2月中旬、「日本でも感染者が増えてきたね」と心配してくれるクラスメイトと立ち話をしながら冬休み前の最後のレッスンへ向かう。新作オーケストラの譜面をManca先生に見せ「哲朗もだいぶ作風を変えて、個性が出てきたよ」と言われたのが対面での最後のレッスンとなった。冬休みにパリの現代音楽祭に参加した後、ミラノへ戻るとみるみる状況は悪化し、ついにミラノはヨーロッパにおける感染の中心地となってしまった。学校は早々に休校となり、スカラ座・教会・飲食店、果てはイタリア人の命とも言えるバール(イタリアの軽食喫茶店・酒場)までもが閉鎖され、ミラノはさながら死の町のように静まり返っていた。久しぶりに買い物で外出した際、普段生き生きとしたイタリア人たちの目が暗く、生気を失っていたことが今でも忘れられない。

 3月、留学当初より生活面や滞在許可証の書き方等いつも親身に手伝ってくださった恩人のお身内がコロナ・ウイルスの感染により亡くなられたことを知った。これほど死を身近に感じたことはなかった。スーパーへ出かけるだけでも外出理由を記入した用紙を持っていなければならず、日常生活もままならない苦しい状況が続いた。とは言えイタリア人は底力があり、しばらくするとベランダで毎日音楽や歌声が鳴り響くようになり、学校も早くも3月半ばにはオンライン授業をスタートさせた。驚いたのがイタリア人の何人もの友人がよく連絡をくれて「一人じゃないよ」「日々の生活は問題ない?」「あなたのために毎日お祈りしてるわ」と励まし続けてくれたことで、イタリア人は裏表のない素敵な人々だと改めて感じた。

 コロナ禍を通じてクラシック音楽、特に日本におけるクラシック音楽の意義が改めて問われているように感じる。コロナ禍により、これまで音楽家達が避けてきた課題が顕在化したと言うべきか。つまり、私が取り組んでいるクラシック音楽は日本人にとってどんなに時間が経とうと異国のものであり(かといって日本人が邦楽にアイデンティティーを持っているのかは疑問だが)、いざとなったら切り捨てられてしまうということだ。もっとも世界的に見てもクラシック音楽の需要は低下傾向にあり、例えば映画音楽の多くはオーケストラの生演奏から電子音響に置きかわりつつある。今後リモート化が進むにつれ、こうした傾向はさらに加速するだろう。

 ウィズコロナの世界で、また日本社会の中で音楽活動を続ける意味は何か。確かに言えるのは、私がコロナ禍前と同じスタンスで創作活動をできなくなったということである。コロナ感染が一番酷かった時期にミラノに居たこと、その期間に多くの人に助けられたことは一生忘れられない。今後限られた人生の中で自分が何を選び何を表現していくのか。模索しながら、自身の変化を感じながらProject NAKAの公演を行っていきたい。
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