<定期購読マガジン特典映像> 【正しい ワンポイント・メカ解説編-第5回】"なぜ暖機運転は必要か…? そして暖機のしかた”
正しい ワンポイント・メカ解説講座。今回は” なぜ暖機運転は必要か…?
そして暖機のしかた”です。
暖機運転は「必要か、不要か」等のいい加減な話では無く、”状況に合わせた最適な暖機”をする事が必要で大事な事です。間違えるとクルマの性能低下や寿命を縮めます。
寒さが続くこの頃、ネットやメディアでは「加工精度や技術の進化、そしてCO2排出低減の為に暖機は不要」という、人づてで責任のない記事を目にします。
もっともらしい情報ですが、本当にそうでしょうか?
日本の自動車メーカーは極寒(-30℃程度)でエンジンの始動性や様々な実用性の確認テストは遣っていますが、耐久や劣化性能までの確認はしていません。
話は変わりますが・・・ドイツでは寒い朝でも「30秒以上の停車アイドル」は法律で禁止。更に家から出ると直ぐ生活道路は100km/h、アウトバーンは速度無制限なので、始動後すぐにアクセルを踏まざるを得ないのです。
ドイツで日本車の販売店に行くと、整備交換や販売しているオイルは日本から送られる“鉱物油のメーカー純性オイル”ではなく、”大手オイルメーカー製化学合成オイル”を使用していました。
「何故、メーカー純性オイルを使わず、化学合成オイルを使うのか?」と聞くと「冬場の不具合で泣かされてきたから…」とのこと。 確かに・・・
日本に輸入されるドイツ車はほぼ全て化学合成オイルを使っています。
しかし…国産車の純性オイルは原価が優先された鉱物オイルが殆ど…
だから、きちんと”正しい暖機”をする必要があるのです。
通常走行でのエンジンの混合比は、燃費&排気と出力の条件から「空気14:燃料1」程度で燃焼させていますが、低温時は始動性を良くする為に燃料を多くし、濃い混合比(8:1程度)にしています(一般にファーストアイドルと呼ぶ)。
寒い冬の朝、エンジンは冷えきっている為「シリンダーとピストンの隙間も大きく、シリンダーの壁も冷たい」状態です。此処に濃い燃料を吹き着火させようとするので、燃料の一部はシリンダーの壁やピストンに付着してオイルと混合します。
特に鉱物オイルは基盤の素性が燃料と同じなので混合し易く、また希釈した時にも合成オイルに比較して油膜保持性能や極圧性能が劣る為、劣化による潤滑への影響が大きいのです。
更に、鉱物オイルは合成オイルに比較して低温時に粘度も固くなり始動直後のオイル循環量や潤滑性、そして停車している時の油膜を保持する特性も劣ります。その為、特に鉱物オイルを使用している場合は金属部の摩耗やオイルシール部の劣化にも注意が必要です。
このように、始動直後に直ぐアクセルを踏み込んだ走りをすると燃料噴射量が多くなり、よりガソリンがオイルに混合してオイルが希釈したり、金属の可動部分やシール部分により負荷をかける為、潤滑不良や部品の劣化が促進され、ドイツのような不具合が発生するのです。
確かに暖機運転は走行に意味のない燃料の消費でCO2や燃費に影響しますが、始動直後に即アクセルを踏み込む走行は更に排気やエンジンに悪影響を与えます。
暖機で大切な事は、素人が言う「必要か?不要か?」では無く、きちんと「その時の状況にあった、適切な暖機」を行う事です。
“外気温度、エンジンの制御モード、オイルの仕様、停車期間、凍結状況” 等「何の為に? どのような暖機が必要か?」今回はこれらについて訓えます。
日本の自動車メーカーのエンジニアにも、ぜひ学んで欲しい処です。
正しい知識で愉しいクルマライフを送りましょう…
今回も取材スタッフの一員で自動車ジャーナリストの永田恵一さんに、皆さんの代表になって聞いてもらいます。
此処から先は 動画で詳しく説明します。
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