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飲食業・カフェでの【察知洞察力】

思い遣る心を磨く【察知洞察力】

ちょっと珈琲が飲みたくなり立ち寄る珈琲店、
最近はスタバやドトールなどのカフェスタイル
やオープンテラス風カフェが主流になりました。
珈琲専門店と言う店が少なくなったとも感じます。
 
社会に出て仕事をし始めた頃でしたが、
珈琲が主体メニューの専門店に良く行きました。
そのお店は日本で初めて紙フィルター
とメリタと言うドリッパーを使った
「poem」と言うお店です。

poem

そのお店は、お客様が席に座ってから
オーナーが一杯ずつコーヒーを淹れます。

現在は、二代目の息子の豊也さんが
珈琲店poemグループの社長として
素晴らしい活動・活躍をされています。
 
今も、都内に出た時は必ず飲んでいます。

poem幡ヶ谷店

40年位前のことなので定かではありませんが
いつも美味しくて、後味の良いアロマ溢れる
コーヒーを淹れてくれるので、ある時に
「マスター何故こんなに旨いの?」
と恐る恐る尋ねました。

「いつもお客さんが買って帰る珈琲と
 同じのを淹れているのに、
 どうしてだと思う?」
即座に
「それは腕、淹れ方でしょう!」
と私は答えました。
 
マスターは
「確かに、淹れ方の技はあるかも」
と微笑みながら、
「そんな当たり前のことを聞かないですよ」
と強い口調で言われた事を覚えています。
 
私をサービス業に携わる者と知っていた
マスターですから特別にコツを話してくれました。
「僕はね、お客さんのお見えになった時の心身の
状態と顔を見て、お湯の温度とお湯の挿し具合
を変えながら珈琲を淹れています。

”今日は疲れているな”
と感じた時はちょっと甘めに、
”明るく元気がいいな”
と感じた時は苦めに淹れてます。
湯加減と言うやつですかね。」
 
この言葉に大きなショックを受けました。
僅かな時間でお見えになったお客様の
心と身体の状況を観察して察知・洞察し
一杯のコーヒーに真心を込めて本気で淹れる。
 
優れた察知洞察力と心憎いばかりの
お客様への気遣いだと感銘しました。

これ同じことを銀座の高級クラブ時代にも
オーナーママやホステスから体験しました。

このマスターとの出会いが、
その後の私の仕事の取組み対人関係にも
大きな変化をもたらす元となりました。
 
それから20年後、沼津駅前の一等地で
珈琲専門店の改装オープン業務委託をする際
前記の「poem」のオーナーから教えられた
【お客様の表情に合わせて一杯の珈琲を淹れる】
を信念に「カフェドモレシャン」と言う名前に
見合った器~内装、オーナーの趣味もあり
今迄の珈琲店にないヨーロッパサウンドを
聴いて頂ける数百万円音響機器を揃えました。

カフェ・ド・モレシャンの栞

そしてお店の中央に

心の通う、本物の味創り

店の心を書いた文言を掲げました。

この文言は
大切な人、お客様に思い遣りを伝え
察知洞察力が如何に大切かを知るの意。

一杯の珈琲を通してお客様への思い遣り
の心と技を学ばせて頂いたpoemの大先輩
故山之内氏の教えが息づいています。
 
これは大切なお客様へのリスペクト心と
感謝の心から生まれる鋭い観察力と察知力
を合わせた「洞察力」であり、それはお客様、
大切な人との出会い触れ合いには勿論、
普段の日常生活上や仕事でもとても大切です。
 
飲食サービス業は
「瞬時に相手を観察し知る」
即ち【察知・洞察】からスタートします。

それは和の「おもてなし」に繋がり
満足感や感動、心に残る余韻を
味わって頂ける、と言うことです。
 
この「察知洞察力」を磨くには、常日頃から
何故の心で見聞きする癖をつけることです。

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