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【インタビュー前編】 アナログな介護業界を大阪・浪速区から変えていく

ケアマネジャーとしてケアプランセンターを運営するかたわら、介護現場のICT化を進めるため大阪市浪速区独自の医療・介護情報連携システムの啓発などに取り組む五十川さん。

インタビュー前編では、五十川さんの日頃の活動内容について伺いました。

五十川 昌弘(いそかわ まさひろ)氏
合同会社CareSTEP5 代表/浪速区在宅医療介護連携相談支援室 コーディネーター
地域密着型のケアプランセンターを目指し法人を開設。主任介護支援専門員として利用者さんへのケアマネジメントを行うほか、大阪市浪速区独自の医療・介護情報連携システム(愛称:Aケアカード)の啓発や、全国で業務改善セミナーなどを精力的に行っている。

次世代のため、アナログな介護業界は今こそ変わるべき時

— 五十川さんのお仕事を教えてください。

五十川さん:主任介護支援専門員として、地域密着型のケアプランセンターを運営し、公正中立な立場で利用者さんへケアマネジメントを行っています。ほかに、大阪市浪速区の在宅医療介護連携相談支援室でコーディネーターの仕事もしています。

— 本業である主任介護支援専門員のお仕事のほかに、介護業界のためどのような活動をされていますか。

五十川さん:浪速区独自の医療・介護情報連携システム(愛称:Aケアカード)の啓発活動などを行なっています。Aケアカードは、医師、歯科医師、薬剤師、介護関係者、行政なども含めて、地域の医療・介護・行政が連携するために一つのシステムを運用していこうという取り組みです。

介護業界は今もアナログな業界です。他業種と比べてICT化が遅れており、約90%の事業所はICT化に取り組めていません。今でも、電話やFAXをメインの連絡手段として使っている事務所がほとんどです。
ICT化を推進すれば業務効率化が進み、介護業界はもっとよくなるという想いから、ICT化推進や業務改善セミナーへの登壇などの活動もしています。

— 介護業界にとって今、ICT化を進める重要性はどこにありますか。

五十川さん:介護業界では、この春の医療・介護報酬改定による業務の煩雑化が心配されています。行政から求められる要件も非常に多く、「あれもこれも」と言われると、現場のスタッフはどんどん疲弊してしまうでしょう。しかし、ICTの導入でスタッフの負担はかなり軽減できます。負担軽減は、次世代の介護人材を守るためにも必要です。人手不足の解消につながるかもしれません。

この春の医療介護報酬改定では、国からもますますICTの利用促進が求められていて、今、介護業界のICT化は待ったなしの状況です。
ここで乗り遅れてしまうと、今後、介護業界内でも「アナログな事業者とはお付き合いしない」というところも増えるのではないでしょうか。

現場目線の経験を話すことで、現実感や信頼感が増した

— 多くの事業者がアナログにとどまる、一番大きな要因は何だと思いますか。​​

五十川さん:個人の意識の問題が大きいと感じています。例えば、事業所の代表がICT化を推進したいと考えていても、現場スタッフが「難しいから無理だ」と拒否反応を示してしまうという話はよく耳にします。

しかし、ほとんどの皆さんがスマートフォンを利用しているでしょうから、実際はそれほど難しいことではありません。具体的な作業が見えていないから拒否反応を示してしまうだけだと思うのです。
そのような方が自分たちでイメージできなかった部分を、現場でICT化経験している私たちの発信を通じて補うことで、気持ちを切り替える余地ができるかもしれません。

大阪市西成区で開催されたBCPセミナー登壇時の様子

— 活動を続けていると、広がりを感じることもありますか。​​

五十川さん:最初は、コーディネーターをつとめている浪速区でセミナーの開催を頼まれました。それが大阪の他の区でも依頼されるようになり、今では大阪だけではなく、福岡や千葉といった他県で開催されるセミナーに呼ばれる機会も増えました。報酬改定に関連したICT推進やBCP対策に関するセミナーの依頼、地域における医療・介護連携等の課題の相談などもあります。

— 活動にはどのような難しさがありますか。

五十川さん:国がICT化を推進しているので、介護事業者が抱えている悩みは共通です。とはいえ、介護保険制度は自治体ごとに独自のルールがあり、行政の考え方もそれぞれ違っています。介護事業者を取り巻くローカルルールの多さからも、ICT導入には課題が多いとも感じています。

— 五十川さんが登壇するセミナーは参加者の満足度が高いと聞いています。

五十川さん:私は介護支援専門員として、現場で見たことや感じたことを織り交ぜて話すので、聞く方の信頼感や現実感が増すのでしょう。セミナーに来られるのは年配の方も多いですから、「ICT」を「業務効率化」と言い換えるといったように、わかりやすく伝わるように気をつけています。

セミナーの投影資料も、弊社スタッフとこだわって作っています。現場は教科書通りにはいきませんから、自身のリアルな体験談を交えて、楽しい話題も入れ、参加者を飽きさせないための工夫はしているつもりです。

セミナーの投影資料はアイスブレイク要素も入れつつ、
図表をたくさん使ってわかりやすいように工夫

インタビュー後編では、五十川さんが活動を始めたきっかけやモチベーション、業界の未来などについて語っていただきます。

▼インタビュー後編はこちら


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