母へ送る手紙

拝啓

俺のお小遣いは有限です。無限ではない、そこを勘違いしないでいただきたい。毎月1万円もらったって!バターのように溶けていくだけなのです。若者には出費が多い。服や小物、身だしなみにも気を遣うし、友達と遊ばなくちゃいけないのです!レストランにもいきます、雑貨屋にふらりと入ったりします。友好関係が多いと、そこらへん馬鹿にならないのですね。頼みます。俺の弟は友達が少ないから、少ないお小遣いでもいいと思います。しかし、僕はまた事情が違うってことを理解してほしい。6万円使わせてください。

本題

さて、今回の件で、私は猛烈に激昂しているということを分かってください。長期休暇中に東京へ行かなければならなくなり、往復で約四万円かかるという話です。最安値を狙うため、夜行バスに乗りますが、それでもこの値段がギリギリです。私の銀行口座(小さい時から貯蓄していたらしい)には、具体的には知らないけれど、大金が入っているということです。ぜひ、今回の4万円プラス食費宿泊費の2万円計6万円をその銀行口座から引き出して使いたいです。使う時なのです。しかしなぜ、ご理解いただけないのでしょうか?お小遣いの前借りなんて信じられない!お母さん、あなたは言いました。「将来のもっと大事な時のために貯めているお金だから、こんなところでちまちま使ってたら無くなるでしょ」"こんなところ!?"私は、この言葉に驚きを隠せないのであります。今回の用事はとても大切なのです。東京で、高校の友達・親交の深い後輩たち、彼らと会って遊ぶのです。大人に分かりやすい言葉を使えば、広義の「投資」の意味合いも含まれています。私はただ会いたいだけですが。「あんたは、お金のありがたみが分かっていない、あの銀行口座は打ち出の小槌じゃない」知っています!お金は、大事で、有限で、必要なものなので、ありがたいのです。だけど、本当にお金のことが分かっていないのはどっちですか!一つ、はっきりと言っておきましょう。若い時の1万円と老後の1万円とでは、全く価値が違う!!!大人は、将来のため、という呪文を唱えたら、若者が何も考えずに言うことを聞くとでも思っているのですか。僕たちはうんざりしている。将来のため、という言葉を信じて、「受験」「宿題」「試験勉強」をしてきたし、今後も、老後のために、と社畜となって定年になるまでこき使われるのでしょう。まったくうんざりだ!我々はこのラットレースをいつまで続けているのだろう。その幸せな「将来」とやらはいつくるのですか。来ないんです。将来のためと、一生たん笥に貯金をし続けて、大金抱えたまま死ぬんだ。つまり、使い時を誤ってはいけないのです!もう一度言う、金は、使うべき時に使うべきだ。じじいになってから皺くちゃの友達と遊んだって、そこに輝きも貴重な体験も無いんだ。若い時、そう、今こそそのお金を使うべき時だ。お母さん、借金なんて言わずに、はやく僕に、その口座の通帳をください。母さんに借金して、毎月のお小遣いを前借りしたら、6か月も無収入ということ。その意味が分かっていますか?若者に出費が多いとは、最初に言いましたね。あり得ない……。服も買えず、ボロボロの身なりで人と会い、レストランに行けば、何も口にせずただ座っている友達。そんな人がいたらどうしますか。それは私です。あぁなんと情けないことだろう。一生の後悔になるでしょう。じじいになっても、「あぁなんであの時」と、依然として大金の入った通帳を眺めながら、取り戻せない時を惜しむでしょう。母さん、お願いします。

敬具

#フィクション  ということにさせてください。少々言い過ぎた部分がありましたので、ここでお詫びいたします。

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