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障がい者が働ける未来を創造「株式会社スタートライン」が運営する「BYSEN」

令和4年新潟県三条市の市政方針には下記のことが記載されています。
誰もが自分らしく暮らせる地域社会をつくる
障がいのある方々が働く喜びを感じながら地域で安心して暮らし続けていけるよう、民間企業と連携しながら、持てる能力を発揮できる新たな就労の場の確保など、自立や生きがいの向上に向けた取組を進めてまいります。

三条市市政方針


今回は、2022年7月に三条市に開業した株式会社スタートライン様に三条市へ進出した経緯と今後の動きについてお伺いいたしました。

運営の始まり

2019年頃、三条市から直接問合せがあったのが始まり。
株式会社スタートラインが管理運営しているIBUKI(いぶき)の仕組みを三条市でやってみないかとご連絡いただいたが、まだ事業体制が整っていなかったため、お話を保留にしていた。
体制が整った2022年に新たな事業モデル「BYSEN」を改めて三条市に提案することとなり、運営に至ることとなった。

株式会社スタートライン

スタートラインは2009年に設立。
最初は企業の障がい者雇用事業部の一つだった。
サテライトオフィスとして東京都八王市のワンフロアに会議室がいくつかあるオフィスを構えた。
主な業務は、障がいを持つ従業員の面談や課題について研究する課題解決の支援や事務仕事ができる人のサポートで一般企業と福祉施設の間の企業とした立場だ。

事業モデルの構図

呼称確認
株式会社スタートライン=サポートスタッフ
従業する障がい者=メンバー
1ユニット3名の管理者=管理者

雇用形態の仕組み

従業員の研修サポート

サポートの内容は障がい者によって一人一人違う。対応方法も様々になっていた。
2009年当初は身体障がいの方が想像以上に多く、職場のハード問題が大きな課題であった。
2013年頃には身体だけではなく精神障がいの就労が増え、これは目に見えない障がいであり、毎日が保健室の先生のようで現場スタッフが各企業内で対応するのには管理の限界があった。

そうした、個別対応の問題を解決すべく、社内に研究所を開設し、各々の感情や性格で対応するのではなく、科学的根拠のある事実に基づいてすべて対応できるデーターベースを作成しノウハウを蓄積した。

スタッフは障がい者のネガティブな感情に引っ張られやすいため、
マインドフルネスを用いて障害者の感情や行動ととうまく付き合ってゆくことが研修の一部になっている。
研修期間は1か月。
科学的根拠に基づいた職業リハビリテーションに関する理論・ツール・技法を用いた支援を全社的に導入している。
スタッフの採用と研修には時間をかけている。プログラムに則り教育内容を充実させ、繰り返しの研修をすることで、ついついやってしまう判断ミス対応ミスを未然に含み情報共有ができるよう体制を整えた。

株式会社スタートラインの新事業開始

一方、障がい者が対応できる仕事自体がそもそも減ってきており、
既存の障がい者の作業ではなく、企業にとって価値ある仕事はないかと思案した。
 
屋内農園型障害者雇用支援サービス 
(2022年末20拠点、導入企業数180社以上、従業者数1000人以上)
屋内農園でハーブを栽培し、ハーブティーを生産する事業「IBUKI」
業務は非常に多く細かく沢山ある。パックに詰めるまで多くの工程、月に500ティーバック作る。
ハーブティだけではなく、ハーブは加工しやすいのでしおりや押し花なども作っている。
 
ロースタリー型障がい者雇用支援サービス BYSN
上島コーヒー様にアドバイザーとして力になってもらい、ブラジル、コロンビア、エチオピアなど28種類の豆を仕入れブレンドしている。

サポートスタッフはコーヒーマイスター、コーヒーインストラクターなどのスペシャリティーコーヒー協会の認定資格を取得している。

メンバー(働く障がい者の方々を指す)は建物内で豆の選定、ハンドピック、包装の作業をする。

細かい選定をしているので美味しいコーヒーが作れていると評判だ。
温度が上がる機械を使用しているが、特殊なオーダーで製造した機器なので安全性は高い。

生産物のバイセンコーヒー

障がい者の雇用の課題

三条市エリアの支援機関で訓練受けた障がい者は多くいる。しかし、近隣地域では障がい者雇用は進んでおり(又は従業員雇用数が規程以下)雇用枠がそもそも少ない。
したがって一般企業で働きたくても働く場所が地方には少ないのが現状だ。
また、障がい者は環境の変化に弱いため物理的移動の制限もある。
 
 障がい者法定雇用率は2.3%(2024年4月から段階的に改定される)43.5人に1人雇用しなければいけない。罰則は無いが雇用人数を100人超えた企業は納付金がかかる。
 
せっかく頑張って就労支援施設で働いて卒業が見えたとしても、雇用してくれる企業が無く結局施設にとどまるしかないケースが多々見受けられる。
B型作業所の工賃平均月15000円程度。実際この給与では自立には程遠い。
一般企業では障がい者を雇用するまでには人工がかかるし、設備投資も必要だ。
 
 そうしたデットスポットを埋めるべくBYSENでは他府県から企業を誘致し、地域の障がい者の雇用を進める方針を取った。
一般企業と福祉施設の間の企業ととらえていただいてよい。

メンバー採用後の効果

時給のパートタイマーで働いているものの、月給は今までのB型で受け取っていた賃金に比べ格段にアップした。
給料で好きなものが買えたと本人も喜んでおり、ご家族もうちの子がこんなに給与がもらえるようになって嬉しいと喜んでいただき、開業した甲斐があった。
メンバーは従業員として企業から直接雇用のため、A型B型施設の制限はない。

管理者の雇用、就業内容

管理者雇用時間 10:00-17:00
週5日勤務のパートタイマー
パート主婦、シニア、子育てが落ち着いた方が向いている。
雇用する企業の就業規則、給与水準に従うものとする。
関東圏の時給と等しい(時給1050円程度~)
 
無資格でも管理者になれる。スタートラインの研修を就業し、配属される。
1企業につき管理者は1人必要でメンバー3名に対し業務の指示をする。
日報報告、勤怠など採用している会社が取りまとめる。
現在もスタッフ募集である。(採用情報はこちら)

今後の展開

業務の提供、場所、採用キャリア支援、雇用管理など業務が定着し、安定的にサービスを提供できるようになった。
科学的な根拠に基づいたサポーターとの関係を構築し、さらなるメンバーと、企業誘致を目指している。
それに伴い、管理者は今後20名の雇用を予定している。

作業場。窓が開放的で明るい

株式会社スタートライン

(株)ドッツアンドラインズ

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サンクチュアリ株式会社


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