システムは、作って、使って、始末して

金融機関に限らず、コンピュータシステムは、作って、使って、始末しての3段階のライフサイクルを経て行きます

まずは、「作って」
システムを新規に開発する、またはパッケージプログラムを導入するフェーズになります
ある意味、プログラマにとって一番楽しいフェーズです
ユーザ(お客さま)から業務要件の聞き取りを行なって要件定義書にまとめ
要件定義書に基づく設計を行なってプログラムを実装する

勿論、予算、納期の制約はありますし、ユーザが必ずしも協力的でない時も少なくありませんし
会社の上司も足を引っ張るだけならまだ良いのですが、客先に行った時に突然、後ろから銃撃してくれることがあるので油断ができません

また、システム開発プロジェクトでは、作業の遅延、ファシリティの不足、見積もり時に想定した通りの実装ができないことが判明するなどモグラ叩きが永遠に続くのでは無いかと思うときもあるのですが
そうであっても、システムの開発工程はプログラマが主役
楽しい

つぎは、「使って」
できたシステムを使って業務を遂行するフェーズです
こちらの主役は、システムを利用するユーザ(お客さま)
システムは、ユーザの業務効率化や、作業スピードを改善してナンボのもの
システム導入の評価が定まるところです

このフェーズでは、プログラマは黒子です
システム的には保守フェーズとなり、プログラマにとっては嬉しいことが少ない工程です
大手のベンダであれば、新規開発コストの10〜20%の保守工数を請求することが多いのですが、我が社のような金融機関のシステム子会社だと中々そんな請求はできません

そうなると、まずシステムの先任者が居なくなります
それでも定期的なOSのバージョンアップに伴う動作確認や、法令改正に伴うプログラムの変更要求が発生するので、そんな時には運悪く指名されたプログラマが泣きながら対応することになります

最後は、「始末して」
システムの利用を終了してクローズするフェーズです
割と意識されることが少ないフェーズですが結構重要なフェーズになります

業務の取り扱い終了であれば、システムを停止する
システムを停止して、プログラムを破棄するだけなら簡単ですが
実際には、これまでに出力した計表(帳票)をどうするのか?
システムをクローズした後、システムに残されたデータはどうするのか?

計表(帳票)類には、元帳と言われるものなど、法令で保存年限が定められているものもあります
昔は、紙に印刷していたので金庫にでも保管しておけばよかったのですが、現在では電子帳票であったり、電子記録として保管する必要があったりするので、それほど簡単な話ではありません

また、データについても月末、年度末といったある時点の残高データであったり、時系列の取引記録が必要となることもあります
その他にも、不正が発覚した時の調査等で使用することを考えると、残高や、取引データに加えログファイルといったシステムの稼働記録を残しておく必要があったりします

業務の取り扱い終了ではなく、後継システムへの切り替えに伴って旧システムを停止する場合でも考えることは少なく無いのです

システム終了に伴う「始末」は、業務知識、システムの知識、これに加えて業務やシステム運用に関する法令の知識など作業にかかる広範囲の知識が必要となるフェーズです
プログラマにとっては、自分のスキルが活かせれば面白いフェーズでもあるのですが、システムが終了する頃には、構築時のメンバが残っていることは稀なのでブラックボックス化した業務、システムを手探りでシステム終了させるといったスリリングな事案が発生し易いフェーズでもあります

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