【番外編】 知らないと騙される　　　　 ～筋膜リリースマッサージ～

１． 筋膜リリースマッサージとは

筋膜リリースマッサージとはトリガーポイントの公式サイトによると
「筋膜の委縮・癒着を引き剥がしたり、引き離したり、こすったりすることで、正常な状態に戻すこと」
と定義されています。今回はこの筋膜リリースマッサージが骨格筋の動態にどのような影響を及ぼすのが科学的知見から検証していきます。

まず筋膜について定義が複数あるため本論文における「筋膜」についての定義をします。

筋膜の定義については医学会においても明確なものはなく今回は各国語辞典やなどの定義を参考にして一般的な定義としました。人間における筋膜には以下のように数種類が存在します

　　　
一番深いところから、筋繊維を覆う筋内膜、筋束を覆う筋周膜、筋肉全体を覆う筋上膜と深筋膜、身体中の皮下脂肪の中に入っている浅筋膜が存在します。筋膜リリースマッサージの定義から読み取るに、筋膜リリースマッサージが“リリース”するといわれているのは深筋膜であると思われます。

筋膜についてよく鶏肉の筋膜を例に挙げて解説する者が散見されますが、鶏肉の皮の下に見られる筋膜は浅筋膜であり、筋膜リリースマッサージが対象としている深筋膜ではありません。実際の人体の筋膜を以下に示します

実際の深筋膜は最初に定義したように「繊維状構造体」です。決して鶏肉の浅筋膜のようなシート状構造体ではありません

以上より、筋膜リリースマッサージは筋膜のうち「深筋膜」の筋繊維に対する癒着や深筋膜自体の硬直を圧迫や吸引によって解消するマッサージとなります。

　　　　　　　　　　　（吸引器具のイメージ）

２． 筋膜の生化学的役割

筋膜は三次元的に全身に連続した組織であり、膜に強度と形態を与えるコラーゲン線維と形態記憶性と伸張性を与える弾性線維からなり、姿勢と運動をコントロールしている。 筋膜の機能は、
Packaging（包装）
Protection（保護機能）
Posuture（支持 機能）
Passageway（通路）
で『４P』と 呼ばれています。それぞれについて分けて解説します。