介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑮
初任者研修が終わり社長が、
「どうだった?」と聞かれたので
「とても勉強になりました」というと
「良かった。これで、介護士として一歩全身ね」と笑顔で言ってくれた。
確かに初任者研修に行くだけで、自分の中で”何故”という疑問が頭の中で産まれるようになった。
この言葉を発するのはなんでなのか?
トイレが近いのか?お腹が減っているのか?水が面白いのか?
まるで、赤ちゃんの鳴き声に何かしら意味があるように、高齢者も同じ事だと感じた。
井上さんが、
「女性の方が介護は得意なんだよ。男が女性に追いつくのは5年かかる」みたいな事を言っていたが、
これは、子育てをし家事をしてきたからというのが、何となく分かって来た。色々な作業が同時にできるからだ。
例えば、電話をしながら女性は違う事をできるが、男の場合だと電話だけしかできないというのをテレビで見た事がある。
介護を知れば知るほど難しく、社長が見える景色、井上さんが見える景色はそれぞれ違うのだろうなと。
会社で初めて、飲み会があった。僕自身は飲み会が好きではないが、初任者研修の最後で打ち上げをした平田さんの打ち上げで、結構と楽しいなと感じた。自分からは発言はしない物の人の話を聞いているのが好きなのだ。
会社の飲み会では、会社近くの居酒屋で行った。
会社では社長と井上さんと僕を含めて、7人だった。
年齢は10代〜50代の人とそれぞれだった。飲み会では仕事の話はほとんどせず趣味の話をそれぞれしていた。
僕自身はほとんど、趣味もないのでご飯を食べながら聞いていた。
飲み会が終わり井上さんと、綺麗目な女性の介護士の人から近くの立ち飲み屋に連れて行かれた。
僕自身は断るのが苦手なのでついてった。初めて立ち飲み屋にいった。人が沢山いた。サラーリマンの人が多く、店内はにぎわっていた。
サラリーマンがどのような暮らしをしていて、どんな生活をしているか興味がなかったが、どのような事をしているのか興味が湧いてきた。
介護をすると、アセスメントといってその利用者の人に、どのような支援する際に参考資料みたなものがあるのだ。
例えば、歩行状態はどうなのか?お風呂は一人で入るのか?料理は作るのか等を、サービスをする前に必ず見ていなければいけない。
昔の友達の顔色を伺いながら合わせてきた僕は、その人が何を考えているのか、飲んでいるサラリーマンの家庭の背景などが気になっていた。
介護を本気で変えたいので、色々な人や施設にインタビューをしていきたいので宜しくお願いします。