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リカレント教育の場:学術大会を活用しよう!

はじめに

 9月は、各学会が主催する学術大会が開催されています。そこで今回は、学会に15年以上参加し、学会発表50件以上を経験している私から、学会に参加してリカレント教育に取り組むコツを紹介させていただきます。

学術大会とは

 専門的に探求する学術団体のことを、学会と呼びます。学会には、運営の取り決めや目的が明確に示した定款を作成し、一般社団法人等の法人認定や日本学術会議からの団体認証等を受けている場合があります。ほとんどの場合、特定の専門分野を探求していく学術団体になります。その学術団体が、半年に1回または1年に1回実施するのが学術大会になります。小さな学術大会では、参加者が100名程度になるかと思いますが、大きな学術大会では5,000人以上を超えることがあります。国際学会が開催する学術大会では、120カ国以上の専門家が参加し、延べ人数10,000人を超えることもあります。

学術大会に参加するには

 学術大会が開催される半年前ごろから、ホームページが開設されることが多くなりました。ホームページには、学術大会当日のプログラムや申し込み方法などが掲載されます。興味がある学会のホームページを時より覗いておくと、学術大会の情報を得ることができますので、興味があるプログラムであるかその都度、確認をしてください。
 申し込みを完了した後、宿泊先の予約、新幹線や航空券などの予約を行います。学術大会直前に予約を試みると、学術大会が開催される会場に近い宿泊先が予約できないということも良く経験します。
 学術大会当日は、予約した内容を持参して、直接会場に移動してください。受付を担当されている方が、優しく対応してくださいます。そこで、事前に申し込みをしたことと氏名を伝えます。そうしますと、申し込み確認が行われ、会場に入場するための名札を記入するよう話があるかと思います。会場にいる時には、その名札をぶら下げて参加をします。ここまでの流れは、海外で開催される国際学会でも一緒になります。

学術大会をどうやって楽しむのか

 学術大会は、参加を重ねていくうちに楽しみ方が変化していきます。私の体験談になりますが初めて学術大会に参加した時は、とても緊張しました。今振り返ってみますと、学術大会の一連の過程や雰囲気を知らなかったがために、勝手に厳格なものが学術大会と思い込んでいたからかと思います。学術大会の種類によっては、スーツ姿の参加者が90%という場合もありますし、カジュアルな姿で参加される学術大会もあります。最近の暑い時期は、クールビズでの参加が一般的になりました。海外の学術大会では、Tシャツにハーフパンツ姿の参加者も少なからずおりますので、服装にこだわりすぎなくて良いと考えています。私はユニクロ姿で参加していますが、恥ずかしいと感じることはありません。
 学術大会では、①教育的な学習を提供する特別講演や教育講演、②実技や実演を行うワークショップ、③意見交換を求めるシンポジウム、④研究成果についてプロジェクターを使用して投影しながら発表する口述発表、⑤研究成果をポスター印刷し、視覚的に伝えながら発表するポスター発表があります。私がお勧めしたいのは、ポスター発表に参加するということです。これは、ぜひポスター発表を行いましょうねという話でなく、ポスター発表を聞いてみようねということをお勧めしています。なぜか、ポスター発表は比較的少人数の参加で、話しかけやすいからです。初めての学会参加であったとしても、知人を1名増やすことができます。

  • 学術大会のホームページを見て、プログラムを確認して自分自身の興味関心を確認する。興味がある内容があれば、参加に向けてスケジュール調整開始!

  • 当日の服装は、リラックスして参加でき、カジュアルすぎない服装を選ぶ。おすすめは、ユニクロのパンツとシャツです。学会会場に到着したら、スーツ9割という事態でも安心して参加できます。

  • 宿泊を伴う参加の場合には、学術大会が準備してくださっているクロークを活用しましょう。キャリーケース等の荷物を預けて、自由度を高めるのがお勧め

  • 学術大会の会場になれるため、まずは、会場を散策して、展示ブース、ポスター発表会場、教育講演会場を確認してみるのも良し。散策の時間が確保できなければ、特別講演や教育講演の会場に向かい、聞いてみるのがお勧めです。

  • ポスター発表会場に行き、興味がある内容を発表している方の話を聞き、自分なりの感想を持つようにしてみましょう。ポスター発表では、発表者の方と名刺交換をする機会がありますので、「名刺交換させていただいてもよろしいですか」、「発表ありがとうございました」などと声をかけてみてください。

なぜ、ポスター発表をお勧めするか

 せっかく学術大会に参加するのだから、自分が知らない新しい知識を得るために特別講演や教育講演に参加する方がメリットが大きいのではないか?と思う方もいるかもしれません。私の体験談になりますが、学術大会に参加し始めた頃は、教育講演や特別講演を中心に歩き回っていました。聞いているだけで新しい知識に触れられるとメリットを感じました。ですが、学術大会に参加慣れし始めた頃でしょうか、学術大会では抄録集が作成されていますので、教育講演や特別講演のおおよその内容が活字で収録されています。そして、講演の内容を拝聴していると、抄録に掲載されていない内容がほとんどないと思うようになりました。それ以降、興味がある特別講演や教育講演の内容は、抄録を読んで、知らない言葉をインターネットなどで調べながら、学習していくことの方が知識の定着が高いと考えました。ただし、特別講演や教育講演を講話される方のプレゼンテーションテクニック(話し方、プレゼンテーション資料の作成、質疑応答の仕方)を学びたい時には、特別講演や教育講演を拝聴しています。
 一方、ポスター発表は、抄録の文字数制限があり、最低限の内容を活字化したものです。実際にどうやって実施したのか、なぜそれを実施したのか、何が方法の課題なのか、結果をどのように考察するのか、今後どのようにしていきたいか等について、発表を聞いてみないとわかりません。ポスター発表の時間にポスター前に行き、発表を聞きます。発表が終わると質疑応答の時間になります。学術大会に参加慣れしていなかった頃は、質疑応答の時間に質問するということを躊躇していました。ですので、質疑応答の時間を終えた後、発表者に「発表ありがとうございました。まだ研究を実施したことがなくて、発表内容を全て理解することができなかったのですが、どのような理由でこの研究を始めようとしたのでしょうか」とお伺いしていました。これまで質問した回数は、50回以上になるかと思いますが、発表者に優しく対応してもらった経験しかありません。むしろ、私で良ければ、いつでも連絡してきてくださいと発表者から名刺を頂戴したこともあります。学術大会への参加慣れした現在では、ポスター発表会場を「最高の学習環境」と捉えています。

  • 発表者と気軽に意見交換できるので、なぜ、どのように、これからどうしたいかリアルボイスを聴くことができるので、より研究発表に興味が持つ

  • 名刺交換を行い、意欲的に活動している方とつながることができる

  • 意欲的に活動している方の存在を知ることで、自己研鑽意欲が高まる

  • 学術大会の後に調べ学習をしてみて、質問したくなった時にも発表者に連絡して情報交換を継続することができる

もちつもたれつの人脈は、財産である

 これまで、ポスター発表参加を推奨するとしますと述べさせて頂きました。学術大会参加は、コミュニケーションを取り、発表者の情熱にふれ、モチベーションが高くなる即時効果が得られやすいと考えています。
 ここでもう一つ紹介しておきたいことがあります。人との出会いは、運命的な側面があるということです。学術大会が数多く開催されている中、なぜ、今回出会ったのでしょうか。私は、運命だと思っています(笑)。コミュニケーションの最初は、発表内容等に対する質疑応答でしたが、その後も連絡を取り合い、また別の学術大会で再会し、一緒に食事をしながら様々な話をするような間柄に育つことがあります。私自身の例になりますが、そのような関係から始まった間柄の方々が20人以上になりました。今では、その様な方々と出会えて現在があり、相談できる人がいる、頑張っている人がいることが財産であると認識しています。確かに、学術大会の参加以外にも出会いがありますが、自分が興味があることで意欲的に頑張っている方々に高い確率で出会えるということは、学術大会の醍醐味です。

まとめ

 社会人が働きながら様々な場面で学ぶリカレント教育は、楽しみながら学び成長することが大切だと感じています。意欲的に学ぶ、興味があることを学び、興味が無いことについても興味を持つことができる様になる、以前は考えられなかったことについて思慮することができる様になった、細かくことを考えることもできるし大きな視点で考えることもできる等の無限の可能性が残っています。
 その可能性をのばす一助として、学術大会のポスター発表を活用することを検討いただけましたら幸いです。 グッドラック! 皆さんの生活が満足することを願っています!

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