見出し画像

渾沌の理学療法士キャリア



対象者想いの理学療法士、自らのキャリアに盲目!?

 病院で働くにせよ、介護老人保健施設で働くにせよ、理学療法士は患者さんや利用者さんに寄り添いながら、情報収集、検査・測定、評価、原因の特定、予後予測、改善計画の立案、理学療法の実施を行う専門家です。その殆どは、"証拠"、"原因の特定"、"未来予想"、"自身の技術力とベストプラクティスの対比"に割り当てられます。 理学療法士が何をどのように考え、現在に至っているのか、臨床推論と呼ばれることもありますし、臨床意思決定過程とも呼ばれます。
 専門的な内容は割愛するとして、"ここまで頭で考えている"ということは、他の医療職にでさえ、知られていないと感じませんか? 私見で伝えたいのは、『理学療法士は、順序立てて考えることができる。』ということです。順序立てて考えることができるのであれば、新しいことを学ぶ、現状を分析して改善するなど多方面でこの能力を活かすことができるのではないでしょうか。
 ただし、順序立てて考える能力を自らのキャリア形成に活かしていますか?と質問を投げかけさせてください。

自らのキャリアに盲目?

 理学療法士の国家試験受験資格を得るためには、3年以上の時間を費やす必要があります。仮想ですが、3年間の養成校であれば、1日、90分(1.5時間)の授業科目が5コマ、そして月曜から金曜で30週間、さらに3年と考えると、1.5*5*5*30*3 =3,375時間の時間をかけて学修したとしましょう。 振り返ってみれば、短い学生生活で良い青春、いい思い出でいっぱいかと思いますが、相当な学修時間をかけたということは間違いないですよね。 当然、授業以外の時間(授業外学修:予習や復習)が追加されるわけですから、現実的にはさらに多くの時間をかけたということになります。
 これらの学修時間を、2つに分類させてください。私見の分類です。①対象者さんに貢献するための学修時間、②理学療法士自らのキャリアを考えるための学修時間です。この②に割り当てた学修時間は殆ど設けられていなかった!? 極端すぎるので参考にならないと思いますが、3375:22.5 と考えれば、150:1の比、自らのキャリアを考えるということの大切さを問われた時間は、150分の1程度になる可能性があるかもしれません。
 つまり、自らのキャリア形成について、どのようなガイドが行われ、個々の理学療法士が考えているキャリア形成は、何のどのような情報を根拠に考えているのか可視化が不十分かもしれません。

なぜ、盲目という言葉を使用したか

 盲目、恋は盲目、理学療法に恋した理学療法士は自らのキャリア形成に盲目なのかもしれない!?という話です。自らのキャリアについてどのように分別してきたか、私自身の経験をシェアさせてください。
 理学療法士養成校に通う学生の頃、私は、知識がある人、技術がある人、研究ができる人のどれかに該当するようにキャリアを形成したいと考えていました。学生の頃、1日3つ学会の抄録を読むことを卒業するときまで継続しました。大変恥ずかしい話ですが、学会抄録を原著論文だと思っていました(苦笑い😅)。  卒業研究が苦手に感じていた同級生がいたこともあり、研究ができるようになればキャリアが成功するのではないかとも思っていました。 学会が開催される度に、学会発表や学会参加を継続し、特別講演などの内容を理解できない自分は、研究ができるようになればキャリアが成功するとそれだけを考えたこともありました。 学会発表10件、20件と重ねて自己心酔していました(ゴメン🙇)。学会参加に慣れて来たという事実を自分ができるようになったと誤認していたわけです。勢い余って、働きながら大学院に進学して、研究を学びはじめました。 この大学院、何が良かったかというと、「国際」、「英文」という単語を良く耳にするようになったということです。そこで、国際???英文???状態になり、自己心酔が自己否定に切り替わり、一気に目が覚めて誠実に研究に取り組むことになりました。
 初めての国際学会、先輩理学療法士の後をついて受付をすませ、ポスター発表用のポスターを貼付し、開会式に参加しました。そこからの数日間は、Wow'sと驚きの連続でした。それと同時に、自分は自己研鑽の方向性が良かったのか? 自分は一体何をすべきなのか?色々と再考を開始しました。
 私なりに一生懸命頑張って来たつもりでしたが、国際的な方向性に包含されない、つまり理学療法のプロフェッショナリズムから除外されるかもしれない方向で突き進んで来たとさえ、考えました。趣味理学療法というぐらいの私ですが、羅針盤を得ずに行動してしまった経験を「盲目」と表現した次第です。

まとめ

 個人のキャリア形成に向けて、まずは羅針盤を得て欲しいという私見を述べさせていただきました。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?