君は刀を抜いているか?(致知2022年11月号より)
対談「365人の生き方」のドラマが教えるもの より
致知出版社の書籍「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」及び「同・生き方の教科書」の中から、中博氏と国分秀男氏が特に薦めるエピソードを互いに語り合う本記事は、その話のどれもが粒ぞろいであり、全てが珠玉の言葉だった。
運鈍根
出てくる話は須らく今月号のテーマである「運鈍根」が根元にあり、運鈍根が成功の3条件と言われているのも納得である。
それらの中で一番心に深く刺さったものを挙げるとしたら、それは松下幸之助の言葉だ。
最初にこの言葉を目にしたときは、ああ、よくある話だなといった具合に軽く流し読んでしまった。
しかし、他の話も読み進めるうちに、この言葉こそが運鈍根の真髄を示すものであることに気付いたのである。
一度刀を抜いたら、その先にあるのは斬るか、斬られるか。
真剣勝負の場においては、途中で鞘に納めることはあり得ない。
抜いたら最後、死ぬか、生きるかの二択しかないのだ。
松下氏は、仕事においてもそれは同じである。
一度向かい合った仕事ならば、あとはやりきるしか道はない、と教えてくれているのだ。
自身はどうだろうか?
省みれば省みるほど、自分は真剣勝負をしていないという事実に打ちのめされる。
途中で鞘に納めるどころか、抜くことすらできていない。
ならばどうするか?
朝、鯉口を切って出社し、刀を抜いて仕事に取り組む。
夕、向かい合った仕事を最後まで切り抜けてから刀を納める。
そんな生き方を思うところから始めようではないか。
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