泉房穂(前明石市長)がアベノミクスは数字のごまかし・トリックだったと批判しているが、それを言うなら自画自賛するアカシノミクスはそれ以上のごまかしである。
この「子育て支援を起点とした経済好循環」のストーリーはいかにももっともらしく聞こえるが、現実には存在しない(詳しくは過去記事のその一とその二を参照)。全国の人口が減少する中、明石市の人口は増加しているが、市税収入や課税対象所得の増加率は全国(市区町村計)と変わりない。明石市の税収増は全国的な景気拡大→税収増の上げ潮に乗っていただけで、アカシノミクスの成果ではない(むしろアベノミクスの成果)。
明石市の地価の実勢価格が2倍になったとのことだが、住宅地の公示地価は2011年→2023年に+7%に過ぎず、特段高い上昇率ではない。
アベノミクス(というより第二次安倍政権期の経済動向)の評価も間違いだらけである。
有効求人倍率が上昇したのは就業者が増えて失業者が減ったからだが、就業者の増加のほとんどが公共事業ではないことは明らかである。
安倍政権期には正規雇用者も増えているので「非正規化がどんどん進んでいる」も正しくない。非正規化雇用の増加には主婦と(一昔前ならリタイアしていた)ロートルの労働力化も寄与していることにも留意が必要である。
賃金の説明も正しくない。
朝日新聞は吉田清治の証言の裏を取らずに大々的に報じたが、泉房穂に好き放題に喋らせている新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・ネットの各種メディアがやっているのは同じことである。
付録
『上流思考』CHAPTER 9
「成否」を正しく測るには? ――「幻の勝利」に気づく