麻生バッシングを見て日本の没落を確信する

麻生バッシングを見ていると日本人の衆愚化の進行を感じると共に、日本の没落が不可避だという確信が強まる。

晩婚化が少子化の一因になっていることは自明だが、

  • 事実(不都合な真実)を認められない

  • 好悪の感情が先に立って理屈を後付けする

  • 事実を口にする人を袋叩きにする

ような社会が繁栄できるはずがない。本来なら社会の公器(のはず)のマスコミが客観的に事実を報じるべきだが、その逆の大衆煽動が本業になってしまっている。

女性自身の記事「麻生副総裁『少子化最大の要因は女性の晩婚化』発言に女性からブーイングの嵐」では、内閣府の令和4年版「少子化社会対策白書」が引かれ、「夫婦が理想の子供の数を持てない理由として『子育てや教育にお金がかかりすぎるから』が56.3%で最多となっている」ことを指摘。さらに2020年「少子化関連指標の国際比較」で、日本人の平均初婚年齢(29.4歳)は、OECD加盟国の中でも出生率の高いスウェーデン(平均初婚年齢34歳)やフランス(同32.8歳)よりもむしろ低いことが指摘されている。
週刊誌にあっという間に論破されても、特に高齢の政治家たちはこのような失言をやめようとしない。

冒頭で示したように、子育て世代が理想の子どもの数を持てない最たる要因は経済的な不安である。しかし、このことから目を逸らし続け、若者のワガママ、あるいは女性のワガママかのように思っている節が自民党政治家の失言からはうかがえる。

以下では「あっという間に論破されて」いないことを示す。

これ👇が『少子化対策白書』の該当部分。

内閣府 令和4年版『少子化社会対策白書』

これ👇は「第1-1-21図 平均子供数と予定子供数の推移」を折れ線グラフにしたものだが、理想と予定の差は拡大していない⇒理想の子供数を持てないことが出生率低下の主因ではないことが見て取れる。理想と予定の差として経済的要因を挙げるのは今も昔も同じである。

国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(夫婦調査)」
厚生労働省「人口動態調査」

理想の子供数を持たない理由の2位と3位は晩婚化と関係しているが、これらは理想の子供数そのものを減少させている。

次に多いのが、「高年齢で生むのはいやだから」(39.8%)や「欲しいけれどもできないから」(23.5%)であり、それぞれ前回調査から上昇している。これらを年代別にみると、年代が高くなるほど、その割合が高くなる傾向がみられ、40~49歳ではそれぞれ、約5割、約3割となっている。

内閣府 令和4年版『少子化社会対策白書』

フランスやスウェーデンでは結婚よりも緩いパートナーシップ制度(PACSとサンボ)が普及しており、婚外子の割合が5割を超えるため、初婚年齢を単純比較しても意味がない。両国とも初婚の平均年齢は日本より高くても、第一子出生の平均年齢は日本より低い。

厚生労働省,Insee,SCB,大韓民国統計庁

これ👇は中国についてだが日本でも同じで、出生率低下の直接的な原因は20代で結婚することへの積極性が薄れたことで、経済的な不安ではない。

Demographers say that while the shrinking size of the marriageable population is one of the reasons for such declines, the increasing reluctance to marry, or marry early, is a more crucial factor.

強調は引用者

20代は肉体的には人生で最も充実した(妊孕力も高い)時期だが、その貴重な時間を子育てで潰してしまうのはもったいない(⇒結婚・出産は後回しでOK)という意識が強まったことが大きい。これを女のワガママと表現するかはさておき、晩婚化・非婚化が歴代自民党政権に強制されたものではないことは自明である。

総務省統計局「国勢調査」

ヒステリックな麻生バッシングは日本のジェンダーギャップ(世界経済フォーラム)の大きさとも関係するが、それについては別記事で。

私は、民主主義の定義は「マシなポピュリズム」だといっていますが、要するに民主政というのは、基本はポピュリズムなのだと思います。

もちろんそれには担当者が見識を持っているということが重要なのでしょうけれども、それ以前にやはり国民がそれを持っていないと、なかなかそういうふうにはいかないのではないかと思います。

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