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経済

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2024年4月の記事一覧

国力低下と円安

この人👇は冷静で堅実な分析が持ち味なのだが、この記事は「トンデモ」と言いたいがためのストローマン論法になってしまっている。 「国力」の確立した定義がないのは事実だが、一般的にこのような文脈では「経済力」「財・サービスの量×質の生産力及びその成長力」という意味合いで使われていると思われるので、「経済学を逸脱している」という批判は当たらない。また、これらの論者は為替レートが常に「国力」によって決まっていると主張しているわけでもないので、「意味不明の概念では為替相場は説明できない

円は実質「1ドル=360円」時代に逆戻り

対ドルの円相場は160円に迫る34年ぶりの円安水準だが、実質で見るともっと凄いことになっている。 プラザ合意のあった1985年を基準年とすると、日本の物価(ここではGDPデフレータを用いる)はほぼ同じだが、アメリカの物価は2倍以上になっているので、名目為替レートが同じだと実質為替レートは約半分に減価することになる。 👇のマーカーは名目1ドル=158円だが、実質為替レートは(1985年基準)は約360円で、58年前の1966年の水準に相当する。「昔の1ドル=360円はまだま

円相場の長期チャート

円為替レートの長めのチャートを示す。 ロシアのウクライナ侵攻が「有事の円買い」ではなく円安を引き起こしている。 👆の逆数の1円=○ドルとしたもの。 👆の月次版を1965年から。 同期間の名目実効為替レート (27 economies)。 日本は他国よりもインフレ率が低い状態が続いているので、実質為替レートは名目為替レートよりも円安が進んでいる。先進国通貨対象のnarrow指数では1969年の水準まで減価している。 円安の原因は一言では説明できないが、思い切って単純

小林慶一郎『日本の経済政策』・・・条件付で★★★★☆

財政再建派ということでネットの経済論客には評判の悪い小林慶一郎の近著『日本の経済政策』は、小林の分析を「一つの説の紹介」として読むのであれば、1990年以降の日本経済と経済政策を改めて振り返り見る本としては悪くないと言える。 これ👇が小林による総括だが、足りない点が幾つかある。 主な要因を列挙すると、 人口減少と高齢化 クリントン米政権による1993年からの円高誘導 1990年代後半からのICT革命 エレクトロニクス産業における大韓民国・中華民國メーカーの急成長(

キャッシュレス化と政府・日銀の無能さ

こう👇なっているのは政府と日本銀行がアホand/orワルだから。 真の意味でのキャッシュレス化とは、👇の1~3のプロセスを手数料ゼロかニアゼロで電子化することだが、 買い手が自分の預金口座から現金を出金 買い手が売り手に現金を支払って決済完了 売り手が自分の預金口座に現金を入金 現在の日本における◯◯payなどのキャッシュレス決済サービスは似て非なるものなので、5年半前の記事👇にあるような小売店の負担が発生する。 (クレジットカード、ICカード、バーコード・QRコ