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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2021年11月の記事一覧

借金返済とマネーストック

先日の「国の借金」の記事がもっとよく分かるように追加。 民間人が銀行からの借入金を返済すると、銀行の資産の貸出金と負債の預金が両建てで消える(バランスシート縮小)。従って、お金は消える。 一方、借入先が知人や街金など銀行以外の場合は、現金の保有者が変わるだけなのでお金は消えない(現金は誰かが以前に銀行から借りた預金が引き出されたもの)。 借り手が国(中央政府)でも同じことである。政府は民間と現金を直接受け払いせず、中央銀行に国庫金の出納事務を任せているので分かりにくくな

財政破綻に「バランスシートも借金残高も直接は関係ない」

部分的には正しいことも言っている。 これ👇はその通りで重要。 財政破綻が起こるかどうかは、政府がそのとき必要な現金を調達できるかどうかにかかっているのであって、バランスシートも借金残高も直接は関係ないのである。 他方、こちら👇には問題がある。 借金の大きさには、2つの大きな影響がある。まず第1に、借金残高が大きいと「こいつ返せるのか、返す気あるのか」という疑念を持たれ、新たに貸してもらえなくなる。 政府は租税という確実で継続的な収入のある永続的存在なので、新たに貸し

国の借金を返すとお金が消えるとは限らない

原口議員がデマ拡散に協力しているので、消えるとは限らないことを示す。 政府は①徴税で資金調達、②調達した資金で国債を償還するものとする(③は事前と事後の変化)。図の✚の左右は資産と負債、上下は増加と減少を表す。 民間の国債保有者が銀行ではない(主に機関投資家)場合は、民間部門の預金は納税者から国債保有者に移動するだけで、総額は変わらない。つまり、お金は消えない。 国債保有者が民間銀行の場合には、民間銀行部門の資産の国債(政府への信用供与)と負債の預金が両建てで減少する。

MMTのモデルは戦時統制経済

何故か日本では論点にならないが、現代貨幣理論(MMT)がモデルにしているのは第二次世界大戦時のアメリカの統制経済である。 1946年雇用法により、連邦政府の力で「最大限の雇用、生産、購買力を促進する」新たな政治的コンセンサスがまとまった。戦時支出の経験で、経済を不景気から引っ張り出すにあたり、財政手法がいかに強力かが改めて認識され、戦時の賃金物価統制の経験によって、きわめて強力なインフレ圧力ですら直接的な手法で抑えられるのだと改めて認識された。さらに、戦時中の安定した低金利

中野の矢野財務次官批判(その二)

中野剛志の矢野財務次官批判については先日の記事で取り上げたが、この記事では煽動が悪質さの度合いを増している。 要するに、米国の主要な主流派経済学者たちの「新しい見解」からすれば、「バラマキ合戦」と称された政治家たちの政策論は、実は、正しいのである。 サマーズが「公共投資によるインフラ整備」を推奨しているように、アメリカの主流派経済学者たちは費用対効果、目的合理性を無視した「バラマキ合戦」を正しいとはしていない。 矢野財務次官も「コロナ禍という非常事態なのだから、四の五の