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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2021年5月の記事一覧

安藤議員は虚偽の流布を止めるべき

与党の国会議員が国の制度について虚偽を流布してはいけない。 現行制度では国は通貨のissuerではなくuserである。日本国債が日本銀行の適格担保であることは、国債発行が通貨発行と同じであることを意味しない。国債は国が「新しい通貨を作り出す権限」を行使する代わりに、民間部門から通貨を借りる(調達する)ためのものである。 強制的な集金力の徴税権を持つ国は信用リスクは無いものとみなせるが、インフレ分のコストは支払わなければ民間部門から資金調達できない。利払いが必要になる以上、

中野流MMTは偽MMT

『富国と強兵』で現代貨幣理論(MMT)を紹介してから、その伝道者のように振舞っている中野剛志だが、監修したこの本👇の終章は、その本質を全く理解していないことを示している。MMTに対する誤解をこれ以上広めないためにも、中野は自説がMMTではないことを認識するべきである(できるとは思えないが)。 中野流の偽MMTに基づき、財政赤字・支出拡大による日本経済再生に貢献した主人公が、バブル再燃とインフレ加速の懸念が強まってきた2043年に、高橋是清のように不人気な財政引き締めに方向転

質屋と信用貨幣のつくられ方

信用貨幣の原理を理解するには質屋が参考になるという話(先月の記事の別バージョン的な内容)。 個人が現金を調達できる場所の一つに質屋がある。質屋は客が持ち込んだ物を質預かりするか、買取の代金として現金を支払う。 手持ちがさびしいときに物を担保として預けることで、借金をすることなく現金を手に入れられる質屋。 まずは、質入れを希望される物の市場価格を調べます。そこから弊社を含めた質屋の業界内の買取価格を調べ、品物の保存状態をチェックして、そこから預かり品の査定価格を出すという

「日本は絶対に破綻しない」と言えないワケ

同じネタが続いてしまうが、今回は土木屋の藤井聡と、日本をガタガタにした「改革」を約30年間煽動し続けてきた田原総一朗の対談を取り上げる。 田原 日米英は150年200年300年と借金を増やしつづけ、しかも借金でつぶれてない。借金でつぶれるなら、とっくに財政破綻していなければおかしい? 藤井 はい。日米英3国とも「中央銀行」を持ち、それぞれ円・ドル・ポンドという通貨を発行しています。だから中央銀行を持つ政府は、任意に、いつでもいくらでもカネをつくり出すこと(貨幣の創出)がで

「国債の利払いで財政破綻」はあり得る

例の反緊縮漫画家がまたいい加減なことを描いている。 国(中央政府)には資金調達の最終手段として「中央銀行からの直接の信用供与」があるので、債務不履行(デフォルト)という形での「破綻」は避けようと思えば避けられる。 しかし、中央銀行が国債を無制限に買い入れなければ新発国債の利率が上昇して利払費が雪だるま式に膨れ上がる状況では、その流れを止めるために財政を強力に引き締めなければならなくなる。逆に、財政赤字を中央銀行にファイナンスさせるmonetizationを続ければ、インフ

政府の資金調達コスト

「政府は事実上の通貨の発行者なので資金調達コストはゼロ」と唱える異端セクトがあるが、ドイツ連邦銀行のヴァイトマン総裁の認識はそれとは異なる。 「われわれセントラルバンカーは、物価見通しに基づき必要と判断すれば金融政策を引き締めるとはっきり言わなければならない」と言明。「政府の資金調達コストが上昇するかどうかは関係ない」と語った。 Wir Notenbanker sollten aber ganz klar sagen, dass wir die geldpolitisch