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2020年3月の記事一覧

日本銀行の保有ETFの含み損

日本銀行の保有ETFが含み損を抱えたことは、ETFの買い入れそのものが不適当であることを示している。 中央銀行の主な業務は銀行間決済に用いられる当座預金の需給と金利を調節することであり、保有者にとっては無リスク資産になる中銀当座預金の裏付け資産は無リスク・低リスク資産にすることが望ましい。価格変動が大きく、金利操作の対象にはならない株式は調節の手段としては適当ではない。 もっとも、株安の放置が金融システムの安定を損なう場合には、株式の買い支えは正当化される。例えば、アジア

国の借金は借金で返す

既に何度も書いた内容だが、典型的な財政破綻論を見掛けたので、改めてその誤りを指摘する。 「借金は返さねばならない」のはその通りだが、④借金で借金を返す(借換)が抜けている。 個人や企業は「存続できない」と貸し手に判断されると借り換えできなくなるが、徴税権という枯渇しない収入源を持つ政府(国家)は個人や企業と違って事実上の「不倒・不死」なので、借り換えを繰り返して元本の完済を半永久的に先送りできる。従って、借金額(国債残高)にかかわらず、税収で利払費を賄えれば財政は持続でき

銀行の「預金いらない」の背景

この記事の銀行と通貨システムの記述は誤りで、銀行は「預金として集めたお金を企業や人に貸して利息をもうける」のが業務ではない。 金融機関は預金として集めたお金を企業や人に貸して利息をもうけるのが収益の柱だったが、低金利で利ざやは激減している。その半面、マネーロンダリング(資金洗浄)対策などで預金の管理費が増加した。いまでは「預金が重荷」(大手行関係者)と、銀行が預金に尻込みするようなありさまで、費用を無視してでも預金集めに奔走した従来のビジネスモデルは曲がり角を迎えている。