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SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)の作成・交渉における検討事項メモ

SAFTの検討事項について、備忘録的にリスト形式で記載してみました。網羅的であることを意図したものではなく、思いついたものを列挙したものです。参考になりましたら幸いです。

  • 基本的な経済的条件として、①投資家はいくら支払って、②何枚(または何%)のトークンをもらえるのか。

  • 冒頭で、米国の証券の発行等の登録がなされていないことのNoticeを行うことがほとんど。米国以外にどの国を含めるか。中国、英国、カナダ、シンガポールなどについてのNoticeを入れる例を見たことがあります。

  • これは、検討事項というより、SAFTに共通の前提との理解ですが、SAFTを締結するプロジェクトの開発会社等(以下「スタートアップ」と言います。)が将来トークンを発行する義務を負わないことがSAFTの特徴です。トークンを発行しないと決めた場合、または規制上の理由によりトークンを発行できないことになった場合等には、出資額を返還して終わりとする場合があります。

  • ロックアップ条項の期間と解除のスケジュール

  • SAFTへの投資家がロックアップの期間中のトークンについて行使できる権利の内容。ガバナンスやステーキングへの参加権。投資家側としては、自らのグループ会社に対してはロックアップ期間中もトークンを譲渡できることは規定しておくニーズがよくある。

  • 特にスタートアップのファウンダーや従業員との関係で、ロックアップについての最恵待遇条項を付けるかどうか。すなわち、当該SAFTよりも有利な条件のロックアップでこれらの者に対してトークン付与を行うことを認めるのか(通常は認めるべきでないと考えられることが多いと思われます。)。

  • 他のSAFTとの関係での最恵待遇条項。もしスタートアップが他の投資家との間で今回より有利な内容のSAFTを締結する場合、今回のSAFTの内容をその有利な内容のSAFTに揃えるための修正をする、など

  • トークン枚数を増やした時にトークンの付与枚数を調整するか。

  • トークンを2種類以上、またはNFTも併せて発行した場合に、すべてSAFTの対象となるか、それとも特定のトークン1種類だけが対象か。

  • ハードフォーク時のことも規定しておいた方が良い場合があると思われます(日本のJKissのトークンワラント雛形ではハードフォークについて手当てされていたはずです。)。

  • SAFTの終了事由と終了時の取り扱い(特に、トークンローンチに至らなかった場合の手当て)。

  • 表明保証条項。表明保証とは、すごく平たく言いますと「私は、本契約締結時またはTGE時などにおいてXXであることを保証して、もし違っている場合はその責任(重大な誤りの場合には契約違反責任など)を負います。」というような条項です。SAFTに限って言えば、投資家が、SAFTを締結しても法令違反がない、リスクを理解している等という内容の長い表明保証を行うことが多い印象です。ただ、クリプトを離れて世間一般には投資を受ける側が多くの表明保証を行うことが多く、どのような交渉をできるかは、交渉力次第となります。

  • スタートアップ側の免責の規定等

  • SAFTの代金の支払方法(ステーブルコインでの支払いを予定するか等)

  • 一般条項

※ 本Noteは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、弁護士の適切なアドバイスを求めていただく必要があります。

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著者について:


弁護士 谷 昌幸

プロイノベーション法律事務所 代表弁護士

〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町8番13号

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Email: masayuki.tani@pro-innovation.net

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