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年頭所感 縦の文脈設計でブランド価値を高める、より本質的なPRの時代へ

謹んで初春のお慶びを申し上げます。
今年、プラチナムは創立20年という節目の年を迎えます。

旧年中も、プラチナムに多大なるご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
謹んで新年のご挨拶を申し上げるとともに、このたびの令和6年能登半島地震により被災された方々、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様の今後の生活の安全と、一日も早い復興をお祈りいたします。

PRは大きな転換期、ブランド独自のストーリーが刺さる時代に

昨年、私も自身で担当させて頂いたクライアントワークにおいて、PRの本質的な価値を再認識した一年となりました。企業やブランドを見つめて深く掘り下げたストーリーによるアプローチがメディアに刺さるようになったと、PRの質の変化を感じました。

これまでは、市場を俯瞰し、1社の情報だけではなく他社の商品サービスなどを横に並べ、一つの現象やトレンドとしてキュレーションし、社会やメディアに提案する「横の文脈」つまりは市場文脈や特定のクラスターによる集合知を創るのが定石でした。メディアの報道において、1社1ブランドだけを紹介することは、広告色が出てしまうと敬遠されていたからです。また「日本一」や「業界初」といった数字的なファクトも重要でした。

しかし近年は、ひとつの企業・ブランドの歴史や思想、もの作りへのこだわりやその裏側といった唯一の情報を“縦に”掘り下げてストーリーを構築し、ブランドの価値に焦点を当てた「縦の文脈」設計によるアプローチが、メディアや世の中に受け入れられるようになったと感じています。これは一見、手法としての“戦術論”に聞こえがちですが、いいモノを世の中に広める大事なPR“戦略論”だと思っています。

客観的なファクトドリブンから情緒的なストーリードリブンへ、感性に訴えかけ心を動かす企業・ブランド・経営者やアーティスト独自の縦の文脈を求められる時代に移り変わっているのです。

企業独自のストーリーに共感し消費する生活者の変化

報道傾向の変化の背景には、生活者の価値観と消費傾向の変化が起因していると捉えています。若い世代を中心に、企業のサステナビリティ活動やブランドパーパスにどれだけ共感でき支持したいと思えるかが消費行動に影響しているためです。

生活者が、並びを揃えたトレンド文脈による集合値でブランドを選択する時代は終わったかもしれません。これもひとえにSNSの台頭によりますが生活者が、その企業やブランドならではの縦の文脈でブランドの意思や人格を判断するからこそ、メディアの価値観も変わり、より深い企業のものづくりやメッセージを紹介する傾向にシフトしているのです。今まさに、より本質的なPRの提供価値の見せ所であると言えます。

PRパーソンに求められる、ブランドの価値を引き出す力

現代のPRパーソンには、企業やブランドの縦の文脈を引き出すための取材力と文脈構築力、そしてそれを言語化する力が必要です。企業の担当者でさえも気づかないような価値や魅力を見出し、PRコンセプトやメッセージを創り上げる。プラチナムでは今年も数多くの商品やプロジェクトのコアバリューを発掘し、タグラインやステートメントに昇華してきました。

また、それは我々PRパーソンが心がけるべきポイントでもあると思っています。言われて久しいですがモノとしてのコモディティ化が進み、どの業界のプロダクトも国内外・国際競争力をつけるのがなかなか困難になっていることもあります。ただ、ブランドの意思や人格に関して、とくに日本のブランドであれば日本独自の思想や物の考え方を国内外に発信していくというのは“並びのない”唯一無二の価値であり、国際競争力となりえます。

そのためには、我々がクライアントの懐の深さや柔軟性に加えて、クライアントと絆で結ばれたパートナー関係になれることが必要です。また、導き出した縦の文脈やコアバリューをメディアやSNSにおいて深く理解・共感された上で報道いただくためのプロモート力も非常に重要です。メディアプロモーターによって伝播する力についても、プラチナムの介在価値として大きく感じた一年でした。

世の中に前向きな変化を起こすPRの力を信じて

私たちは、PRの価値を再認識し、PRドリブンによる本質的なコミュニケーションこそが社会に前向きな変化を起こすことができると信じており、この先もさらにグロースしていくだろうと感じています。

企業やブランド、アーティストが信念をもって世に出す事業やサービスの価値を、私たちが介在することで昇華できる時代が今ここにある。今年もPRの力を信じて邁進して参ります。

株式会社プラチナム
代表取締役 吉柳さおり


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