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発達障がいを持つ子どもの親へのペアレンティングトレーニング(育児支援)について

作業療法士の中野です。
発達障がいを持つ子どもの両親、特に母親へのペアレンティングトレーニングは多くの論文で必要性を謳われています。
私自身、自身でペアレンティングトレーニングを受けたこともありますし、ペアレンティングトレーニングを行う指導者の資格も取りました。
そして、日々の実践の中で子どもの喜怒哀楽に向き合いながら、その精度を高めている発展途上な父親です。

ペアレンティングトレーニングについて

ペアレンティングトレーニング、直訳するとつまりは育児訓練です。
ペアレンティングトレーニングは、我が国において明確な手法はないものの海外ではエビデンスに基づく実践が行われています。

日本においてはABAなどが有名ですが、あれは育児法ではありません。育児を含む応用行動分析学に基づく実践であり、子育てに特化したものではありません。
スポーツ等のコーチングや企業コンサルにも使われる手法です。もちろん、育児法も同じくスポーツ等のコーチングや企業コンサルに用いることが可能です。
ちなみに私が勉強しているのはコモンセンスペアレンティングという奴で中々優れていると個人的に感じています。

余談ですが、私がこの育児法に確信を持てたのは、我が子が「パパに褒められるのめっちゃ嬉しい」とようやく言葉を話し始めた頃に言い放ったからです。笑
うちの下の子なんですが、未だに彼女は私の事が大好きです。(多分、上の子も言葉に出さないだけで好いてくれる…はず…。)

大事なのは手法じゃない!

アルコール依存症者の家族支援プログラムとして確立されているCRFTというプログラムがありますが、ABAにもコモンセンスペアレンティングにも類似しています。
要するに、人を育てる方法というのは(特に認知行動療法的な手法においては)殆ど変わんないってことです。
行動に焦点を当て、行動に先立つ動機等は一切無視するという感じです。

賛否色々ありますが、私は個人的にそのクールな考え方に好意を持っています。何故なら、親が子どもに対して喜ぶのもムカつくのも子どもの行動だから。
腹で何を思っていようが行動が適当であれば親は喜びますし、社会に適応できるわけです。
まぁ、人ってそうやって生きてますよね。だから、そういう風にクールに考えるべきですよ。

ペアレンティングトレーニングの適応

さて、前置きが長くなったのですが私がお伝えしたいのはここからです。
ペアレンティングトレーニングが発達障がいを持つ子どもの発達にとって有効である旨のエビデンスは山程あります。
先程も述べた通り、その多くが似通ってますが、我が国では確立されておらず、3兄弟を東大に入れたとか、オリンピック選手に育てたとか、個人の体験談がメイン。先日は兄、妹で柔道の世界選手権で金メダルを取った子らが居たから彼らの親も本を書くのかな…。苦笑(※こういう個人の体験談をバカにするわけではないが、多くがその時点の話で、その後の話がないんだよ。だから、適切な育児かどうかなんて不明な状態。)

で、例えば子どもを東大に入れたいとかオリンピック選手にしたいとか親の子どもに対する願望はそこ沼だよね。
かく言う私も、多くの親と変わらないので、東京オリンピックから正式種目となるスポーツクライミングを娘にさせたりしているwww
そんな風に、子どもに願望を持つことは悪いことじゃないと思う。もちろん、押し付けは良くないけど。
押し付けじゃない期待を子どもにし、それを実現したいと望む子どもの為に最善の努力をしてやりたいと思うのが親の気持ちですよね。
そういう親はペアレンティングトレーニングの受け入れは最高に良好です。
まぁ、私みたいな親ですわね。こういう親はペアレンティングトレーニングの格好の餌食です。結構な金額を出します。笑

そして、真逆のタイプが存在します。
要するにペアレンティングトレーニングの適応とならない親です。
先日毒親のエントリーを投稿しましたが、毒親も当然ペアレンティングトレーニングに積極的ではありません。
理由を思いつく限り列挙するとこんな感じかな。

・自分の育児法(多くが自分が受けた育児法)が唯一無二の方法であり、他者が正解など教えてくれないと思っている人。
・親が子どもの全ての行動を子どもの責任と捉えている。
・親の子どもへの期待値がメッチャ高い。
・親から受けた子育て法がメッチャ痛い感じだった。
・親が精神疾患を患っている。(※誤解のないようにお伝えするが、精神疾患が悪いとかそういう話じゃなく、それが原因で適切な子育てなり生活上の状況判断が難しい状態にあるということ)

もっとあると思うけど、とりあえず。

地域での現状

私は作業療法士で、作業療法士は子どもを取り巻く様々なシーンで活躍することができます。
私自身、自身の事業である訪問看護以外にも数社と契約し子育て支援に携わっています。
弊社お膝元の行政からはまだ依頼もらっていませんが、一番依頼欲しいのが大阪市北区です。(読者さんに関係者いらしたら是非お伝え下さい。笑)

さておき、病院やら行政機関に関与する家族の多くはペアレンティングトレーニングの受け入れは良好だと思います。(少なくとも身体的虐待とかネグレクトはない状態だと思われる)
でもね、地域で活動するとそうじゃない。一見熱心なご両親が心理的虐待を起こしているケース、実は清潔を保てないケースなんてのはザラ。

保健師や民生委員が把握していないケースなんて山のようにあるし、市区町村が把握しているのに動いてくれないケースなんてもっと山のようにあります。(行政批判ではなく、それくらい忙しい現状と人手不足に対する訴えです。)

ぶっちゃけ、そんな親が大半な現状、子どもに社会スキルを身に着けさせるっても限界がある。SSTの論文はそんなに読んだこと無いけど、年齢に応じたスキルって明確にされてるのかな?コモンセンスペアレンティングでは、身につけるべき社会スキルは列挙されているけど、この年令でここまではってのは明確にされてなかったと思う。

ペアトレ受けてくれない親に何ができるか?
答えは有料!なんてnoteあるあるなことは言いません。笑

ぶっちゃけね。
お話聞くしかできません。
それで良くなるかわかりません。すみません。非エビデンスベースです。

でもね、それでも次まで凌ぐことはできるのよ。
今日、お宅を離れることの口実にはなるのよ。
ペアトレして、関わり方変えてくれたらメッチャ楽でけど。そんな事無理な人もいるのが現状。
病院や放課後等デイで働いている支援者さん、気づいてないだけでそういう人居ますよ。
担当者会議で驚くの止めて欲しいです。それくらい把握しておいて欲しいです。お願いだから。

ま、作業療法士の専門性って実はそういう人達にペアトレ受けてもらうよう促すことなのかなぁなんて最近思ったりします。

おわりに

と、提案しておいて申し訳ないのだけれど…
ペアトレ受ける素地のある人って、少なくとも自分の関わりのまずさを認知しているのよね。
でも、ペアトレの適応外の人って自分が悪いんじゃないのよなぁ。悪いの全部子ども。
結果、発達障がい?っていうような子に診断がつく…。悪循環だよね。
だれか断ち切るデータだして!

この本は療法士にも親御さんにも分かりやすいと思うのでおすすめです。

I'm Occupatipnal Therapist for children with disorder. I like all children. I hope save the children. I try to write for save the children.