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外資系企業のブランディングは本社7:ローカル3の黄金比率を徹底すべし

「日本企業は欧米企業と比べてブランディングが弱い」、「無形資産の価値最大化が課題」、「富裕層マーケットの重要性の高まり・・・」と、デフレマインド脱却の過熱に伴い、ブランディングによってどうやって付加価値を上げられるかが日本国内の企業に問われている。

最近になって、ブランディングの本がよく売れているし、富裕層というワードも各媒体で見ることが多くなった気がする。

経営者がブランド戦略を理解し、実行すべし、といった流れは一時期盛り上がった感があるが、そもそも、なぜ経営トップにブランディングを考える必要があるかというと、ブランディングはまさに全社で一丸となって実現するものだからだと思う。というのは、ブランディングによって企業・商品価値を高めていくというトップダウンの強い意志と、各ファンクションの一つ一つの行動がブランドを高めていくことには不可欠だからである。

例えば、ブランド力の高い外資系企業に行くと、CIガイドラインがきっちり作ってあり、各現地法人がそれから離反していないかをパトロールする仕組みが徹底的に整備されている。現地法人の担当者も、販売店やビジネスパートナーに対して、ガイドラインを徹底される義務がある。例えば、パワポのフォーマットに代表されるような、「美しい」資料の見せ方をしなければならない。

個人単位でみると、たまにバカバカしく思えることもあるのだが、ブランド全体から俯瞰すると、このこだわり、というルールはものすごく重要な働きをしていることがわかってくる。

もしあなたが企業のマーケティングやブランディング担当者であるなら、このマクロの視点をもって仕事ができるかが問われてくる。そして、もしあなたが外資系ブランド企業の社員なら、本社のCI/ブランドガイドラインを読み込んでいますか?あるいはそれをきっちり遵守していますか?(ばかばかしいと思ってないがしろにしていませんか?)

世の中には、ブランド調査というものがあり、企業のブランド力を横断的に測る指標がある。そしてそれは面白いことに、外資系ブランドのブランドスコアは結構、変動する。(その業界でトップを走っていた企業が5年後には4位とか5位とかになっていたりする)

僕は、とある外資系自動車ブランドのマーケティングを担当していたので実感としてわかるのだが、それはその時の担当者によって、CIガイドラインを深い意味で理解し、徹底しているかどうかによって左右していると思う。欧州のセンスや深い歴史からくるブランドストーリーを徹底的に取り入れないのはマーケターとして、そしてそのブランドのファンとして間違っていると思う。たまにそれを理解しない担当者が自分のやり方と感覚で実施してしまうことがあり、それでうまくいったケースを見たことがない。

ただ、100%本社の言いなりでは、日本市場のプロフェッショナル人材としての価値がないし、実際、遠いヨーロッパの本社は必ずしも、日本の文化や特性、価値観を理解してガイドラインを作成しているわけではない。

僕は試行錯誤しながら考え付いたのは、本社の戦略が70%で、残り30%はローカライズをすること。僕は、毎年、競合比較で測られるブランドスコアを上げながら、売上も絶対に落とさない、という2つのKPIを追いかけてきた。ブランディングの活動を行いながらも、例えば四半期の売上を達成するためにセールスプロモーションもやる必要があるし、新規獲得キャンペーンもやらないといけない。このとき、前述の7:3の黄金比率が重要である。これが逆になってしまい、ローカル7割になると、セールスプロモーションに偏ってきたり、一時の売上は上がるが、サステナブルなブランドビジネスはできなくなる。一度落としたブランドスコアはなかなか戻らない。。。

外資系企業のマーケターとしては要領の良さが必要で、本社の良いところを最大限活用しながら、日本市場で結果を出していかないといけない。それを実現するために7:3のブランディングの黄金比率が役に立つ。

各論、ばかばかしいと思えることであっても、ブランド全体を俯瞰すると、ものすごく重要なブランディングの作法、それはCIガイドラインに表れているので、しっかりそれを読み込み、想像し、実行し続けることをお勧めします。

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