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プライゼルという空間 02.「仕事」とは

「仕事」とは、自身の優れた技術や知識、研ぎ澄まされた感性を使い顧客の課題を解決することによって、その対価として費用を頂くことである。

顧客が困っていることに対し、自分の力を使ってその困り事をなんとかする、ということ。

そのスキルが自身の「付加価値」である。

つまり、「顧客に対し、どうすれば自身の付加価値を提供できるか」、が一番重要なのである。

それを常に考えて仕事をしている人は、成長し続けているし、どのような状況でも顧客から選ばれる。

昨今、IT業界においては慢性的な人手不足といった状況もあり、仕事を抱えている側よりも、仕事をする側の方に選択権があるような状態とも言える。

どんな弊害かというと、仕事に対して、


「これは自分のやりたいことではないから、やらない」

「自分はこれしかやりたくないから、それはやらない」

といった、通常時には考えられないような選択肢が当たり前になりつつある。

だが、一度立ち止まってよく考えたい。

「仕事」は顧客の課題を解決するものであり、
「自分がやりたいことだけ選択してやる」ものではない。

「自分がやりたいことだけ選択してやる」のは仕事ではなく、もはや、やりたいことのためにお金を払って行く学校だったり、習い事、いわば「趣味」である。

今はいい。人手不足で仕事が「選べてしまう」状況であるが故に。

ただ、不況が来たらどうか。

先般の新型コロナが蔓延し始めた際もそうだったが、あらゆる業種で業績が落ち、まず最初にコストカットされるのがITシステム関連の投資であり、大手SIerの仕事が減った。

その際に何が起きたかというと、予定していたシステム開発のプロジェクトが白紙、あるいはプロジェクトの人員削減となった。

当然、真っ先にカットされるのは、「能力が低い」、「普段文句ばっかり言っている」、「協調性がない」、「自分のやりたいことしかやらない」、「仕事を選ぶ」人材である。

つまり、仕事を選べる、というもはや錯覚にも近い状況になるのは、仕事ができるからではなく、「他に人がいないから、しょうがなく使ってもらっている」状態、という可能性があるということ。

若い人材には特に、自分の未来を真剣に考えた時、そうならないように、と思い仕事をしてもらいたい。

嫌なことをしなくていいんだ、やりたいことだけ選べるんだ、という風潮は、現在の日本社会が生み出している悪しき風潮である。

例えば、まだスキルも一人前ではない人材に対し、「フリーランスになれば、嫌な仕事をしなくてもいいし、給与もあがる」という、一見、まともな人間が見れば社会はそんな甘くないだろうとわかるようなフレーズで人を惑わす企業もある。

それは、そういった企業がただ今目の前の売上や人材確保のために謳っているのであって、本当にその「人」の将来を、責任を持って考えているのか、というと、全く無責任であると感じる。

そういった企業が、本当にその1人の社会人を育てるにあたり、その人の10年後、20年後まで責任を持って考えているのだろうか?
いや、それはないと感じる。

超・不況時代が来たとしよう。
「やりたいことだけやりたい」が通用しない時代がくるかもしれない。いや、必ず来るタイミングはある。歴史が物語っている。

もし、嫌なことはしなくていいんだ、やりたいことだけやれればいいんだ、と10年間、やりたい仕事だけを選択してきたとして、突然、不況でやりたくない仕事をやらざるを得ない状況になったら、どうか。

確実に、病むであろう。
その時、苦しむのはそのご本人であり、そのご家族である。
本当の被害者はその会社ではないのだ。

会社が社員の成長責任を持つべき、というのはそういった視点からの想いでもある。

もちろん、嫌なことをしろ、やりたくないことをやれ、というつもりは毛頭ない。

嫌なことをしなくても、やりたくないことをしなくてもいいような、あらゆる状況に対応できるようなスキルを身につけるべき、といった方が正しい。

そうすれば、不況が来てコストカットされても、顧客側から「なんとしても残って欲しい」と言われる人材になれる。


そして、「やりたい仕事だけ選ぶ」のはもはや仕事ではなく部活か、趣味であることに気づいてもらいたい。

社員の望むスキルを伸ばすために仕事を準備するのが企業の努め。社員が「選ぶ」のではなく、本人のために「一緒に考え、仕事を依頼する」ことが本来あるべき形。

どんな不況が来ても「食いっぱぐれない」ための社会人としての「マインド」を持った社員を育てたいと思い企業した会社でもあるし、現在、少数精鋭でやっているが、そういった「マインド」を持っている社員達と一緒に仕事ができるのは、とても幸せに思う。

仕事とは「顧客に対し、どうすれば付加価値を提供できるか」と考えながら、周囲の人々と一緒に問題・課題解決をしていくこと、だと私は考えている。

コロナ禍でも誰1人として仕事を失わなかった弊社メンバを誇りに思う。
感謝。


「仕事」とは
顧客に付加価値を提供して対価を頂くことであり
趣味の延長ではない



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