【プリズンライターズ】東北の某刑務所の話… Vol.3/懲罰とは❓

「東北の某刑務所の話...Vol.１・Vol.２」を読んでいただいた方、ありがとうございます。

　今回「東北の某刑務所の話..Vol.３」を書いたので宜しくお願い致します。
私は東北の某刑務所に務めている者ですが、と書いていますけど、あまり詳しく書きますと、俺のとこの刑務所だと気付かれる人もいると思いますが、あくまでも私は東北の某刑務所で通したいと思います。

　社会に法律があるように、刑務所の中でも遵守事項、決められたルールというというものがあります。
遵守事項を破りますと、入独（工場で作業から、１人部屋にて作業）をし、取り調べをして懲罰か無罪かとなります。
懲罰となりますと、朝、朝食終了後から、夕方、作業終了時間まで、独居部屋で扉の方を向いて、正座か安座でうけた懲罰の期間、ひたすら座っていなければいけません。

　懲罰の間、書籍は一切入らず、私物は生活必需品（歯ブラシ、歯ミガキ粉など）しか入らず、テレビもラジオもありません。
それはもう暇で暇で、ずっと座りっぱなしなので膝が痛くなり妄想の毎日です(笑)。
入浴は週2回あるとすると、１回は入浴、１回はお湯をバケツで一杯部屋に入れてくれるので、そのお湯でタオルを濡らし体を拭いて終りです。その時、石けん、シャンプーは使うことができません。
取り調べには作業しながらの就業取調べもあり、軽い微罪だけが就業取調べとなります。
たまに懲罰となる時もありますが、ほとんど訓戒で終ります。
懲罰で座りますと、類が落とされ、無事故章が没収となります。
まず、類とは５類・４類・３類・２類・１類とありまして、皆、５類から始まり半年間、無事故で生活をしますと３類になり、月、１回、決められた￥５００以内のお菓子とジュースが食べられます。
３類から２類になりますと、なんと５年以上が必要で２類になります。
２類は月２回決められた￥５００以内のお菓子とジュースが食べれます。
昇給する時期は、４月と１０月と年２回しかありませんが、新入できて、刑が確定した次の月から半年、暫定で上がります。
１類は月４回、自分で選んだお菓子とかジュースとかが食べられますが、かなりハードルが高いです。
１類になるのは、まず間違いなくほとんど無理でしょう。３類から２類になりますと、月５回だった手紙の数が２類になると月７回になったり、面会の回数が増えたり優遇措置が増えます。

　優遇措置のことは、そのうち、お話ができればと思います。
無事故章とは、あらかじめ決められた期間、懲罰がなければ無事故章が貰え、貰えた無事故章は、工場着の左上腕の上の方にボタンで止めます。
社会では、家族、友達、恋人などと、ご飯を食べに行き「から揚げ食べる？」とか、やり取りをする事があるかも知れませんが、刑務所では食べ物、物品の一切のやり取りは禁止で、職員に見つかりますと１００％入独、懲罰です。
何故、やり取りが駄目なのか、力関係ができ、強い人が弱い人から奪い取るという事があるからかも知れません。
勿論、喧嘩も口論も駄目でして１００％入独、懲罰となります。

　あなたなら目の前で喧嘩をしている人がいたら止めますか？ ここでは、喧嘩をしている人達の間に入って止めるのも駄目です。
間に入って喧嘩を止めるのを職員に見られますと、１００％入独しますが、懲罰になるかは、その時の状況しだいだと思います。
仲が良い人が目の前で喧嘩を始めてしまえば、見て見ぬ振りはできず、絶対に止めに入ると思いますので、これはなかなか厳しいルールです。
中には、刑務所の中で暴行をし、裁判となり、傷害罪で刑が増えてしまう人もいます。
職員に対して文句を言いますと１００％入独、懲罰ですが、職員に何か注意されて無視をしても反抗でもっていかれます。
反抗も入独、懲罰ですが、この反抗というのがクセ者でして、職員のさじ加減な所があり、職員も人間なので、受刑者に対して好き嫌いがはっきりと見える職員もおります。
嫌いな受刑者を注意していて、少しでも反抗的な態度を取ると怒りに火が点き、もう怒鳴りまくりで、まったなしで入独させられます。まぁ、怒鳴られる受刑者は、受刑者達の間でも評判が良くない人達が多いです。
舌打ちをしても駄目でして、反抗または粗暴な言質と訳が分らない理由でもってかれます。
運動時間外に運動をしますと、入独させられます。
運動時間内であっても、シャドーボクシング、キックなどしますと入独となり、他の人に腹筋などで足を押さえてもらうのも駄目です。運動と言っても職員の中でも基準が違いまして、部屋で畳に座って勉強をしていて、疲れたからと膝を伸ばしていただけで、「何ストレッチしてるんだ」と怒られた人もいたそうです。

　先程も書きましたが、ほとんどの事が、基準というのが決っておらず、職員のさじ加減な所があると思ってもらえばと思います。
そういえば、こんな事がありました。
私が雑居部屋（１つの部屋で何人かで生活）していた時、お昼御飯が終った後、いきなり同じ工場の隣の部屋の扉があき、５～６人職員が来まして、隣の部屋に居た5人が連行されて行きました。
その５人は、いつまで待っても部屋に帰ってくる気配もなく、そのうち沢山の職員が来て隣の部屋から、それぞれの布団、私物などが運ばれていったので入独したという事が分りましたが、何の事犯で入独したのか分りませんでした。
何の事犯で入独したか分りませんと、何で入独をしたか色々な噂が工場で飛び交いますが、いつもほとんど当っていません。
その時、５人中４人が懲罰を受けずに工場へと帰ってきたのですが、やはりどの噂もあっていませんでした。
５人が何の事犯で入独したかと簡単に書きますと、残飯投棄でして、懲罰を受けた人が、雀の餌づけを行なっていたとの事です（笑）。私達は２階の部屋だったのですが、窓の外から見られていたそうです。
御飯粒を少しで餌づけを行なっていて、遵守事項、違反名が残飯投棄というのは、ん？と思いましたが、刑務所では、多いも少ないもないんだなと思いました。

　遵守事項の中には社会と同じな当り前のルールもあります。
暴行・脅迫・物品喝取（他人の物品を盗み、だまし取り又は脅し取ってはならない）などがあります。
受刑者の中には、刑務所に来てまで手クセの悪い者もおり、私は聞いた事しかないのですが、年を取って少し惚けてしまっている人の電子辞書などを盗んだり、夜中に皆が寝ている間に切手を盗んだりとそういう話を耳にしたことがあります。
何故、刑務所に来てまでと理解に苦しみます。
刑務所ならではの遵守事項で、かなりの人が違反をして捕まるのが、水の不正使用で流しに桶を置かないで手などを洗っているのを職員に見つかりますと一発アウトです。
桶から水があふれても勿論アウトです。
私が務めています東北の某刑務所では水の不正使用は就業取調べとなります。
水の不正使用で不思議に思ったのが、同じ工場だった人が歯ミガキをしていて歯ミガキをし終った後、コップを使わないで蛇口から流れる水を手で受けて口を濯いでいたら取調べになってしまいました。
桶はしっかり流しに置いてあったのに駄目だったそうです。
歯ミガキ後、うがいはコップを使用しなければならないとは、どこにも書かれていないのにです。
それを聞いた時は、さすがに職員によって違い、何でもありだなと思いました。
ちなみに私が務めている東北の某刑務所では、水の不正使用は懲罰を受ける事なく類1つ降下、無事故章を1本取られます。
他の刑務所ならではの遵守事項は、逃走・不正連絡・暴動・集団形成・静穏阻害などです。
あくまでも自論でありますが、懲罰など受けても何ひとつとして得になる事はなく、マイナスでしかありませんし、
工場で作業をしていた方が１日が早く感じられ、その分、出所するのが早いのではと思います。

　皆、分っているけど、それでも、懲罰を受けてしまう人がいる。
欲とか自我の無さがそうさせるのかも知れません。
懲罰など受けても何ひとつとして良い事などありませんので、これを読んでくれている人、無事故で一緒に頑張りましょう。
（あっ、読んでくれている受刑者の方々です。）そして、１日でも早い出所を目指しましょう！！
ここまで、東北の某刑務所の話...Vol.3を読んでいただきまして、ありがとうございます。今回で3作目となりましたが、語彙力がなく、乱文で大変、申し訳ありません。
次の東北の某刑務所の話...Vol.４では、食について書きたいと思います。それでは、コロナ感染に気を付け御自愛下さいませ。

　　　　　　　　　　　　　　　令和５年１２月２５日記

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