【プリズンライターズ】東北の某刑務所の話… Vol.1

　私が務めている東北の某刑務所は、堅気の人、半グレ、暴力団と様々な人種がいて、初犯の人、累犯の人がおり、それぞれ短期の刑、長期の刑を背負ってきております。
十人十色という言葉がある通り、本当に刑務所という所には様々な人がおります。
産まれも暮らしも、生活環境も違う所で生きてきたのですから、簡単に上手くいくはずがありません。
悪い事をした人達の集まる所ですので、我を通す人達が多く工場・雑居部屋では揉め事ばかりです。
その中でも質の悪い人は、人に空気を入れて、嫌いな人、目障りな人を揉めさせて、工場から出させる人です。
なかには、空気を入れたのがばれて、自分が出ていかなければいけなくなった人を何人か見てきております。
空気を入れる人もどうかと思いますが、それによって踊らされる人もどうかと思います。

　私が務めている刑務所では、暴力団を騙る人、暴力団の人と兄弟の縁を持ったからと、現役(暴力団)を名乗られせてくれという人が、ほんの少数なのですがいます。
暴力団を騙り、嘘がばれてしまった人の生活というのは惨めなもので、その嘘は、行く先々の工場へと付いてまわってしまいます。
指導工・班長・日課・掃夫など工場で腕章を巻く、そのような役は、現役の人は出来ず、ある工場で腕章を巻いていた人が反則を犯し懲罰を受け、余所の工場へ移りますと現役を名乗る。
やたらと派閥を作りたがり、堅気が兄弟分を作り、兄弟と呼ぶ。
まだまだ、すごい曲者の人がおりますが、私が務めている某刑務所は、そんな人達も集まっている所です。

　若くてもビッとしている現役の人もいますが、なかには飯に意地汚い現役の人もいます。
刑務所という所は、衣・食・住を保証されていますが、食は与えられた物しか食べれず、他の人のご飯などをもらって食べますと、懲罰となってしまいます。
勿論、もらったのが職員に見つかるとですが･･･食は与えられた物いじょうの物を皆が食べたいと思っているとおもいますが、食べたい食べたいでは恥ずかしいのでそんな気持ちを隠しているのだと思います。
飯に汚い現役の人は、おかずの量が同じじゃないと難癖をつけて配食係を困らせ、ほんの少しでも多く食べようとします。
そういう人の言い訳は、必ずといっていいほど、飯に汚いんじゃなくて、おかずを多く盛られたり少なくされたりするのが嫌なんだと言いますが、私は内心、それって飯に汚いよねって思っていました(笑)
そういう人達は、他の工場、行く先々、何処へ行っても同じ事をしているようで、飯に汚い人と言ったら、すぐにその人達の名前が出てきて飯で汚い人達で有名になっています。

　
　刑務所の中は、面識のない罪を犯した人達が全国、津々浦々から集まり、若い頃、暴走族などをし、どれだけ社会でもてていたかとか、どれだけ悪い事、喧嘩などをしてきたか武勇伝の張り合いというのでしょうか、そんな人達もいます。
どれだけ本当の話をしているか分りませんが、社会の生活と一緒で嘘に嘘を重ねていくと、どうしても辻褄が合わず、嘘がめくれて、工場を出ていかなければならなくなった人も何人かおりました。
刑務所でも社会でも一緒で嘘はいけないということです。
刑務所で自分を大きく見せようとする人は、多分、偉そうにしたいからではないかと思います。

　
　今私がいる刑務所は、毎月、5冊の本を購入することができます。
人気があるジャンルは、漫画、小説、Ｈ本です。
最近、社会では電子書籍で本を読む人が増えたせいか、本の値段が上がり刑務所では大問題です。
人気がある漫画は「ＯＮＥ ＰＩＥＣＥ」「キングダム」「東京卍リベンジャーズ」「鬼滅の刃」「進撃の巨人」など…
刑務所の中も、社会での流行に感化されます。

　人気の写真集は、坂道関連を購入・差し入れして貰っている人が多いように思われ、中でも、乃木坂は大人気です。
休憩時間には誰々が可愛いいなどという話をたいへんよく耳にします。
刑務所の私物の購入物品(生活用品)は、刑務所の中で売られている物品は、原価だからなのか、値段が高く社会の倍以上に感じられます。
この値上がりのご時世なので値段が上がって愚痴ばかりが聞こえてきます。

値段の一例をあげますと･･･
ボクサーパンツ(L)￥990
半袖丸首(L)￥902
単三アルカリ電池4本￥293
タオル￥308 などなど･･･
質のわりには値段が高すぎるのです。

　今は、全ての刑務所、拘置所に同じ業者が入っているようで、それはそれは儲かっていることでしょう。
塀の中には、本当に色々な人がおり大変ですが、犯した罪を反省して生活をしている人、ただ淡々と生活をしている人など様々な人がいます。
今回、閉鎖された刑務所の中の事を少しでも知っていただきたいと思い投稿させていただきました。
まだまだ、色々な話がありますが、今回はこの辺りで失礼させていただきます。
それでは、お身体には呉々も御自愛下さい。

　　　　　　　　　　　　　　2023年　1月4日　記