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第4章〜川越少刑新入訓練編 第2犯〜大人になっても夜中に怒られる奴

毎回ちゃんと読み返すんだけど、なぜか文章がヨレている感じがするムショ君です。※ドラッグの類はやってません。
今回もお読み頂きありがとうございます。
今回は受刑者同士の絡みがメインです。
新米受刑者の生活っぷりを堪能して頂ければと思いますので、最後までよろしくお願い致します。

前回チラっと書きましたが、新訓工場になってからは10人部屋での雑居生活になった。
拘置所からずっと独居生活だったから、人との話し方を忘れているんじゃないかとチョットだけ不安だった。だがみんな同世代だし、なんかみんな犯罪者だしかなり気のいい奴が多かったから、みんな普通に友達感覚で仲良くなってた。

とりあえず起きてから寝落ちするまでエンドレスでバカ話。
各々が大なり小なりヤンチャな奴ばっかりだったから、みんな面白エピソードの一個や二個持ってる。それを言い合って笑っているだけ。
修学旅行の学生みたいで平和な2週間だった。

俺は
新潟出身のイ○ンから家電をたくさん盗んで売ってた奴
都内出身の大麻屋さん、
同じく都内出身の窃盗犯、
そして相模原のシャブ中(ハゲ)
俺の5人で兄弟分になった。
べつに組員でも何でもないのに「兄弟分」とか言っちゃうくらい兄弟っぽくなっちゃうのが刑務所の同期ってやつ。
こいつらとは本当に話が合った。
この時代のヤンチャな奴ってだいたいクラブに行ってた。俺はだいたいキャバクラに通ってたけどアフターなどでクラブにも行っていた。
なんせいいとこ一個もなかったけどお金だけは持っていた。
そんな界隈で遊んでいたから当然共通の知り合いがいる。
あとどのイベントにいたか確認してたら普通に行ってるイベントが被ってて結構ウケた。
行ってるキャバも被ってたけど、さすがに指名までは被ってなくてチョットつまんなかった。
そんなこんなですぐに仲良くなれたし、こいつらのおかげで長い刑務所生活を頑張ろうと少しだけ思えたから感謝してた。

して、こいつらは俺よりも先に出所するから、長い刑期を耐え凌ぐ俺を慮って俺の実家に手紙を送ってくれると言っていた。あと差し入れ用の本とお金もくれるって言ってた
そんなに熱い2週間を送ったし、その後こいつらが出所するまで俺はなんだかんだ面倒を見たのに、何度確認しても実家には何も届いていなかった

そんなこんなで刑務所の人間関係は薄っぺらいのは後々判明するとして、ここでの生活は楽しさで満ち溢れていた。
夜も21時には消灯時間を迎えるわけなのだが、それでも話し足りない奴らばかりだったのでいつまでも喋っていた
そんな日々も1週間チョットすぎたら、案の定巡回の刑務官に見つかった
誰が話していたかまでは判明していなかったので安心かと思っていたら、このままでは全員取り調べになると脅されて俺らバカ5人兄弟の3人だけは自白した
名前と称呼番号を押さえられ、翌日呼び出しがあると言われその日は大人しく就寝した。もちろん不安で寝れなかったが。
そんな不安な気持ちいっぱいで迎えた翌日だったが、何も動きがないまま午前中が過ぎた
耐えかねた俺らは昼休みの時間にメスカブトに謝罪しに行った
そこで今後のことが聞けると思っていたからだ。
そんな時メスカブトは意外なことを言った。
「お前らみたいに騒ぐ奴はたくさんいる。と言うか全員だ。当然見つかって怒られる奴もいる。でも問題はその後反省して謝れるかどうかだ。」
と、いかにも犯罪者を更正させようとしているような御言葉を賜った。

見逃してくれるなんていい奴だ。ではなく、これ普通にやったら間違いなく懲罰だから気を引き締めよう。と心底思った。

と言うわけでなぜか謝罪したら俺らだけお咎めなしになった。で、他にも騒いでた奴らがいたんだが、こいつらはこってり絞られてた。
いい歳こいた奴らが夜中ルール違反で怒られるというアホな行いをしつつ、いい工場に配役(はいえき)されるように評価の高い行動をする毎日が続いた。

そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、兄弟達と涙の別れの日がやってきた
そう、新入訓練は終わったのだ。
今日からは指定された工場に行き、毎日作業をすることになる。
また、生活に先輩受刑者が加わる。これは一番緊張感が増す。そんなお務めする工場発表の時間が刻々と迫っていた。
何もない教室のような部屋で発表を待っていると、扉が開いて見たこともない刑務官が突然入ってくる。ほとんど前置きもなく、会社の人事異動よろしくビジネスライクに各受刑者に行き先となる工場名を告げていく。

「●●番、第6工場を命ずる」
「▼▼番、第10工場を命ずる」
「◆◆番、営繕工場を命ずる」



こんな感じで自分の番号の発表を待つ。俺は1434番で全体を通して後半の発表だ。ジタバタしててもしょうがないのでじっと待っていると、

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「1434番、病舎看護係を命ずる」
(おっし!生産工場回避った!!!)

(ところで病舎看護ってなんぞ?)
みたいな感じで嬉しさと困惑が同時に押し寄せてきた。

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こんな感じで一瞬で発表が終わり、人事異動刑務官は扉から出て行った。
でもメスカブトが帰ってこないので雑談タイムになった
俺はみんなに羨ましがられた。当然だ。いや、何が当然か分からないけど。
刑務所事情に明るいアホが言うには、病気の囚人が入院している病棟みたいな建物で、そいつらの面倒を見ているエリート部隊なんだとか。
きっとたくさんの仮釈放を頂けると聞いたので、気休めだろうがなんだろうがテンションがブチ上がった。
みんなここから出所まで各々の工場で苦労するんだろうから、割と温度の高い別れになった。
後述するが俺の場合今後は作業内容的にこいつらだけでなく全受刑者と接することになるのだが。

そんなこんなでビジネスライクに発表を終え、各工場に順次連行されていく。

ここで一個皆さんに伝えたい話がありますので最後に書きたいと思います。
まず雑居部屋でみんなと過ごし、親交を深めて本音トークしたから言えるのだが、【みんな反省してたし再犯を望んでいない】と言う事実です。
「若い」「初犯」というのがそうさせているのか分かりませんが、話す奴はみんな意外と夢とか持っていたりするし、親兄弟や嫁彼女など、迷惑かけた人達に対して心底申し訳ない気持ちでいた

そう、犯罪者だからと言って悪人と決めつけるのではなく、ちゃんと話すと意外といい奴ばっかりだったと言うのが俺の7年間の感想です。
留置場時代は凶悪な囚人ばかりなのをイメージしてたから恐怖感でいっぱいだったけど、実際来てみたら気のいい奴ばっかりだし、何よりも反省しているのがよく分かった。

しかし問題はこの後の話になる。
と言うのは後日書きたいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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