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脚立(きゃたつ)

娘の愛読書は「少年チャンピオン」である。

木曜日は仕事帰りにチャンピオンをコンビニで買い、娘に貢ぐのが習慣になっている。
つい最近、誌上企画で任天堂Switchが当たる懸賞があったので、これええやんと、応募することにした。

ハガキを買って応募券を貼り、応募者名を記入する段になって、
「〇〇(娘の名前)で出すで」
と聞くと、
「絶対だめ」
「卑怯やん」
「人の名前を使ったらあかんねやろ」
と来た。

そう。
卑怯なのだ。
自分の意思や責任で何かをするときは、決して人の名前を使わない、自分の名前でするというルールを僕は重視している。

でも、そんなこと教えたっけ?と思った。

心当たりがあるとしたら、あれだ。塾に入る時の書類で、規則に同意するサインを娘自身にさせたことがあった。その時にそういう話をしたかもしれない。
しかしよく覚えてるな…これは迂闊なことを教えられない。

そんなこんなで結局、こんなおっさんの応募でSwitchは当たらんやろー…とブツブツ言いながら、45歳、会社員とハガキに記入したのである。
コメント欄に「娘が愛読してます。その影響で自分もハマりました」と書いたのがせめてもの抵抗だ。(実際には「シャカリキ!」を連載してた25年前から僕も愛読してたのだが)

しかし、家族というのは本当にありがたい。ほんの小さな言行不一致も指摘してくれる。しかも指摘されても嫌な気分にならないのがイイ。
この歳になるとそういった存在は貴重だ。


ところで少年誌の裏表紙の広告と言えば何を想像するだろうか?
日ペンの美子ちゃん?それは少女漫画。
少年漫画なら、ダンベルやサンドバッグのような強くなる系のグッズや、モテる系のブレスレット、あとはエアガンなどの広告のイメージだった。

今の少年チャンピオンの裏表紙は違う。

脚立

軽い脚立の広告である。
もはや少年ターゲットちゃうやん…
土方のおっさんがターゲットやん…
少年チャンピオンの読者層は一体…

これなら45歳が懸賞に応募したとしても何も恥ずかしがることは無い、と安心した瞬間であった。

おわり


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