総合コンサル【IT部門】という職業の魅力(年収/業務内容/キャリアパス)
本記事では、BIG4コンサル現職の著者が、ググって上位表示されるメディアより一段高い解像度で「総合コンサルIT部門の魅力」について解説します。
年収
大雑把な年収テーブルは上図の通りです。
まず、職位は仕事内容の違いでざっくり3段階に分類されます。
実際は会社によって6段階以上にわかれていることが多いですが、近い職位は役割も似ているため、簡略化して3階層で整理します。
経営層:PJを営業し、プロジェクト全体の品質管理を行うだけでなく、ファームを経営する役員
マネージャー層:チーム運営、成績評価を担う中間管理職、かつチームのアウトプット全体に責任を持つリーダー
スタッフ層:マネージャー層の指示の下で、自分の担当領域・タスクを遂行するコンサルタント
通常、事業会社では若手が営業をしますが、コンサルティングの場合、最高職位のパートナーが営業をします。会社によって名前は異なりますが、パートナーより低い職位(シニアマネージャー・ディレクター・アソシエイトパートナー等)も営業活動を行い、パートナーを目指します。
パートナーになると、最低でも2,000万円以上のベース給に加え、ファーム及び個人の業績に連動するインセンティブ給があります。
BIG4のIT部門の場合は、大規模なシステム案件を定期的に獲得しているため、年収1億円以上のパートナーも数多くいます。ちなみにシステム案件は、人数は数百人規模、フィーは数十億円~100億円以上になることもあります。
総合コンサルの全体的な労働環境の改善により、スタッフ層の勤務時間は減少傾向にあります。ファームによってカラーが分かれますが、一部のファームでは18時頃に退勤する文化が浸透しています。低い負荷で1,000万程度の報酬が手に入るため、総合コンサルのスタッフ層は、従来よりも成長志向層の割合が減り、ワークライフバランスを重視する層が増加しつつあります。
スタッフ層に比べると程度は小さいですが、マネージャー層の労働環境も改善しつつあります。従来は日付を超えて作業するのが当たり前でしたが、近年は遅くても21-22時程度に退勤する人が増えています。現在の総合コンサルは、マネージャー層の人材獲得を重要な経営課題としているため、今後も報酬・労働環境の改善をもって採用に注力していくことが推察されます。
業務内容
ITコンサルの業務
事業会社がITコンサルにシステム開発を依頼する場合、様々な背景があり得ますが、以下に例を紹介します。
ITコンサルは、企業が抱えるIT周りの経営課題に基づいて、最適なシステムの選定や、業務の要件定義などを行います。
ITコンサルとSIerの違いがわからないと言われることがよくありますが、ここでは「オーダーメイドのスーツ屋さん」を例に考えてみます。
例えば「パーティー用のスーツが欲しい」と注文した時に、パーティーの種類をヒアリングして、綺麗め(or カジュアルめ)なスーツが適していると提案してくれたり、普段の服の好みに基づいて、動きやすい素材・かっちりとした素材などを一緒に選んでくれたりするのがITコンサルです。
一方でSIerは、顧客側で色・素材・寸法などを決めて、正確なオーダーを行ったときに、その通りに作ってくれるという業態です。
どちらが優れているというわけではありませんが、より上流までカバーしているのがITコンサルタントで、下流の実行フェーズに重きを置いているのがSIerと言えます。
各職位の職務と必要なスキル
上で挙げた3つの職位を再掲します。
それぞれの職務をより詳細に見ていきましょう。
経営層の役割は、主にプロジェクトの受注と全体管理です。先述の通り、100億円規模の案件を受注することもあり、数百人のチームを組織します。戦略・業務コンサルが5人程度の人数規模であることを考えると、いかに大きいかおわかりいただけると思います。必要な素質としては、システムに対する深い理解ももちろん重要ですが、何よりもソフトスキルが卓越している必要があります。
マネージャー層は、プロジェクトの中の1つのチームのリードを行います。戦略コンサルなどではマネージャーが100%ではない工数で部分関与することもありますが、ITコンサルでは基本的に100%関与します。
スタッフ層は、プロジェクト推進に必要なタスクの実働を行います。具体的には、クライアントへのシステムへの要望のヒアリングや、機能の仕様の立案などが含まれます。Accenture以外の会社は自社で開発(プログラミング)部隊を持たないため、この部分はベンダーに依頼していることが多いです。
キャリアパス
ポストITコンサルのキャリアパスについて解説します。
コンサルに転職する場合:ITコンサルや戦略コンサルに転職する人は多いです。ITコンサルは経験者を優遇するため、ランクアップ転職することが普通です。(例:前職でマネージャーだったがシニアマネージャーとして転職)
IT企業に転職する場合:Amazon、SAP、Salesforce、Oracle、Microsoft、富士通などに、ITの知見を活かして転職する人もいます。
一般企業のIT部門に転職する場合:どんな会社でも必ずIT部門はあり、ITコンサルからの転職先として主力です。
(著者が思う)この職業の魅力
以上、客観的な情報を書いてきましたが、最後にこの章では著者の主観を書きたいと思います。
この職業の魅力を箇条書きすると以下になると思います
【経済合理性観点】
・ホワイトな環境下で高い報酬をもらえる
・ライバルが長時間働かないため、やる気のある人にとっては優位性の高い環境と言える(アーリープロモーションが容易)
【スキルアップ観点】
・汎用性の高いITスキルが習得できる
・自分の強みを活かした昇進が可能(普通のマネージャーやパートナーを目指すだけでなく、ITスペシャリストとして好待遇で在籍できる仕組みがある)
【仕事の充実度観点】
・賢い人達と楽しく働ける(特に理系院タイプで落ち着きのある方が多め)
・仕事の難度が高いので知的好奇心が刺激される
・事業会社に比べると理不尽なことが少ない(=中長期では実力と評価が一致する)
総合的に見て、非常に魅力的な職業だと思うので、心からおすすめできます。
少しでも転職の意欲がありましたら、お気軽にHPよりPrism の方にお問い合わせください!