『それ、勝手な決めつけかもよ?』

著者:阿部広太郎
発行所:Discover21
発行日:2021/05/21

コピーライターの阿部広太郎氏が「解釈」の仕方について書いた本。
章立てがコピーライターっぽさを感じます。
センス良いと思ってしまう。
こんな章立てを作りたい。

「はじめに」という名の「招待状」
1.自分編
2.現在編
3.過去編
4.未来編
「おわりに」という名の「はじまり」

今の気持ちを大切にする

何が起きても立ち止まって、正しく解釈する方法ってないのかなぁと想いながら読んでいました。

ポイントは「現在」を基準にして考えること。
「過去」の出来事にとらわれるのではなく、「現在」を基準にして「過去」がどうだったかを考える。
「未来」を不安がるのではなく、「現在」を基準にして「未来」に向かってどうしたいのかを考える。

悩むことが多い人は「過去」や「未来」を基準にして「現在」を考えてしまうから、ネガティブな思考に陥ってしまいます。
「今」あの時のことを思い出して、
・謝らないとと思うなら謝りに行けばいい
・嫌だなと思うなら、なぜそれを嫌だと感じるのか書き出してみる
・現在の糧になっていると思えれば、リソースとして捉え直す。
未来に対しても同じで、あれこれ不安がるなら、不安材料を書き出して一つずつ解消すればいいのです。
結局、私たちには「今」できることしかできないですからね。

もう一つのインサイド・アウト、アウトサイド・イン

書籍『7つの習慣』でおなじみの「インサイド・アウト」。
『7つの習慣』の中では「アウトサイド・イン」は依存のパラダイムとしてNGな存在ですが、似たような言い回しでなるほどぉと思うものがありました。

第4章「未来編」の「心の内側へ内側へ手を伸ばすか?体の外側へ外側へ手を伸ばすか?」に書かれてあったものですが、

being「どうありたいか?」:心の内側へ内側へ手を伸ばしていくイメージ
doing「何をしたいか?」:体の外側へ外側へ手を伸ばしていくイメージ

人によってbeingを考える人(どのような人格を持ちたいか)とdoingを考える人(人生で何を達成したいか)に分かれますが、結局は being <-> doing という観点が面白かったです。

beingを考える人も、その人格を持つための行動(doing)を考えますし、doingを考える人も、その行動を取ることでどのような人物(being)になりたいかを考えると。

読んだ時に、どちらも正しいと思えました。
『7つの習慣』をはじめとする成功法則の多くは「インサイド・アウト」、つまり「being」が大事と書かれてあります。
しかし、実際に自分がどういう人格者でありたいかを考えるのって結構難しい。
ミッション・ステートメントなんておいそれと書けるものでもない。

そんな時に、「doing」から考えてみるのもありだなと思いました。
やりたいことや達成したいことがあれば、それができたときに周りからどんな人だと言われたいか。
それが「being」になって、ミッション・ステートメントの土台になっていけるんだろうなと。

もちろん、やりたいこともわからないという人も多くいるので、「being」「doing」2つの選択肢ではという場合もあるかもしれませんが、それでも考える幅は広がったように思えます。
この件での「アウトサイド・イン」はありですね。

ま、本書にはミッション・ステートメントを書くためのコツとも言える方法も載っているので、自分が何を大切にしたいのかを考えたい人は一読されると参考になるかと思います。

世界に一つだけの仕事

自分自身 x 目の前の仕事 = 世界に唯一無二の仕事

人は一人ひとり、知識も経験も、立場もモノの見方もすべて異なっています。
事実は一つでも、その解釈は人の数だけあり、その人だけの真実を創り上げます。
コミュニケーションを行う上では、この解釈の違いをすり合わせることが大事になりますが、この違いを大切にすることで、その人にしかできない仕事というのが生まれるのではないかと考えました。

コーチングを行う上では、クライアントの無限の可能性を信じるわけですが、「クライアントが何でもできる」と考えるのではなく、「そのクライアントだからこそできること」を一緒に考えることが大事だと思います。
それを抜きにしてしまうと、たとえ結果を出せたとしても、その人らしさを失う可能性もあります。

これは自分自身にも当てはまります。
仕事をする上で、誰かと比較をしてどうこうではなく、自分の今持っている知識や経験を最大限活かした仕事をすることで、自分だからできることを提供できる。
それが唯一無二のサービスとなって顧客の価値を生み出せるのではないかと思います。


セミナーで使えそうな「解釈」の仕方を探そうと思っていましたが、それ以上にいろいろと考えることができた本でした。


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