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PieceCHECK(2023-10) 2の3乗根の性質

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。KATSUYAです。

YouTube動画をUPしました。今回は京都大学からで、2の3乗根に関する問題です。
思考時間は20分、解答時間はそこから20分とします。

 



こちらの記事では、答えを静止画像にて掲載しておきます。静止画像の方が記載内容は少し詳しめです。
よろしければ動画と両方ご覧になってみてください^^

解答


解説

2の3乗根が無理数であることと、有理数係数多項式$${\bm{P(x)}}$$が$${\bm{\sqrt[3]{2}}}$$を解に持つときに$${\bm{x^3-2}}$$で割り切れることを証明する問題です。
かなり難しめの問題で、この年の京大のセットであれば(2)は捨てるのが正解かと思われます。

(1)は無理数であることの証明ですので、有理数であると仮定して矛盾を導きます。原則ですね^^

無理数の証明は背理法で有理数と仮定

拙著シリーズ『Principle Piiece 数学Ⅰ~論理と集合~』p.24

$${\sqrt{2}}$$が無理数であることの証明は教科書にもあると思いますが、それと同じ流れで証明できます。
別解のように指数の数に着目して矛盾を導く方法であれば、$${\sqrt{2}}$$に限らずもっと大きな数値でも同様に証明できますので、知らなかった人はぜひ覚えておきましょう。

(2)が本番です。解答にあるように、まずは有理数係数の2次式$${\bm{a\alpha ^2+b\alpha +c=0}}$$となるような$${\bm{a,b,c}}$$がすべてゼロになることを示すことに言い換えます。

ここで、(1)の結果を使うために$${\alpha =\cdots }$$の形にして「無理数=有理数」の矛盾を導けないかを考えます。そのために$${\alpha ^2}$$を消した方程式を作りたいわけです。ここで、$${\alpha ^3=2}$$となることをうまく使えるかどうかです。

解の①’、②の式が作れれば$${\alpha ^2}$$が消去でき、無事に有理数=無理数になります。そこから先も$${c=0}$$かどうかで場合分けが入るのでメンドウですが、無事にすべてゼロであることが示せます。

なお、本問の結果から$${\sqrt[3]{2}}$$は有理数係数の2次方程式の解ではないことが分かり、次数が最小の多項式が$${x^3-2}$$であることが分かります。この理論をさらに発展させていくと、大学数学の代数学の超有名な「ガロア理論」に行きつきます。これはほんの入り口ですが、その入り口を垣間見ることが出来るので今回紹介しました。

1.解けた人は、今後の勉強はじっくり演習をしましょう。
2.解けなくて、原則を知っていた人は、思考時間を長くする演習をしましょう。
3.解けなくて、原則も知らなかった人は、原則集めからやる必要があります。

Piece CHECKシリーズでは、出来あがった答案からは見えない部分を解説していくことで、「なぜそうやって解くのか」「いったいどこからそんな答案が生まれるのか」に答えていきます。

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