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オタク婚活はお勧めしない

 以前、このような日記を書いたことがある。

 わたしはオタクなので、もれなく自分の容姿に自信がない。話術にも、経験にも、ファッションセンス、化粧技術など、どれをとっても誇れるものはない。だからお相手にもそれを求めようとは思っていない。同人小説を書くという趣味の時間は守りたいから、理解をして貰えるor相手も趣味の時間を大切にしている相手が欲しい──そう思っていた。
 それを満たす相手は、必然的にオタクである必要がある。
 だからわたしは、相手にも自分と同種の『オタクである』ことを求めていた。そのため、わたしが参加する街コンはいつも『ゲーム好き』『アニメ好き』『オタクと言われたことがない男女限定』など、オタクであることを前提としたものばかりだった。
 実際、わたしは3度か4度参加したことがある。だが、成果らしい成果を残すことは出来なかった。『オタク』という言葉はとても広義である。わたしはそのことについてよく理解出来ていなかったのだ。

 この日記は『どうしても相手がオタクであってほしい!』という願いを持って彼氏を探している方向けではなく、『オタクの自分に自信がないから、こんなありのままの自分を受け入れてくれる人ならオタクでもいい』という気持ちで彼氏を探している、昔のわたしのような人間への叱咤激励である。こんな人間が他にいるのか定かではないが、わりと友達に聞いても似たような話を聞くから、ありがちなんじゃないかなあと思っているのでね。

1 本当にアニメ・ゲームオタクがいいのか?

 似たような日本語だが、「オタクでもいい」と「オタクがいい」では大きな違いがあるのが分かるだろうか。まずは自分は本当にオタクの彼氏を作りたいのか胸に小一時間問いかけてみて欲しい。そうすると、自分の趣味を理解してくれる人がいいから相手もオタクである必要がある、というのは必ずしもイコールの関係ではないことに気付くだろう。
 前者である場合、あなたに必要なのは自分の趣味を許容してくれる人であれば誰でもいいわけで、相手がアニメオタク、ゲームオタクである必要はない。車やバイクオタクや山オタクでもいいし、洋服オタクでもいい。なんならヒップホップのヘッズだっていいわけだ。車のパーツに100万円かける人なら、あなたがソシャゲに50万円課金することについてなにも言わないだろうから、好きなだけ趣味に打ち込める。
 いやいやそうじゃないんだよ! と思うかもしれないが、そういうことなのだ。
 そこで「違う! わたしはやっぱり彼氏とゲームやアニメの話がしたいんだよ!」 ということに気付けば、それはそれで自己分析が進んだということだ。嬉々としてオタク婚活パーティーに通いつめればいい。ちなみにすずらん調べではかなりの確率でポケモンやVTuver、ガンダム、ボカロ、FGO、きらら系のゆるい百合系や所謂なろう系のラノベ原作アニメあたりは非常にヒット率が高いので履修してから行くことをオススメする。
 わたしは自ジャンル以外のアニメは進撃の巨人とまどマギとあの花くらいしか見たことがないので、論外扱いを受けた。

2 アニメ・ゲームオタクであればいいのか?

 次に、ジャンルの話に触れようと思う。(下記は一例であり、特定のジャンルに向けての悪口を言う意図はない)

 男性の好むアニメやゲームは基本的に男性向けで、女性が好むアニメやゲームは基本的に女性向けである。その中間に位置するのがジャンプ原作のアニメだろう。
 何を当たり前なことを、と思われるかもしれないが、これはかなり重要だ。アニメの話がしたい、アニメを一緒に見たい、と思った時に、あなたは相手に合わせて、女の子たちがひたすら雑談をした後にキャンプをしてお茶を飲んだり、部室で相手の胸を揉み合ってはしゃいだり、神様からもらったスキルで異世界転生先でチート無双する……そういうアニメの話題を共有したいのだろうか。
 そういうのが好きであるならば文句は言わない。また、そういうアニメも楽しめるというのならそのお相手はもってこいだ。だが、そういう人ばかりではないはずだ。少なくとも、わたしはそうだった。

 だが、ちなみにあなたのお相手にとっても、それは同じなのだ。
 鼻先がくっつきそうになるくらいまで睨み合う男ライバルのふたりが出てきてラップバトルしたり、女の子がひとりしかいないような環境下で麗しいアイドルの青少年たちと逆ハーレム学園生活を送っていたり、手取り足取りべたべた引っ付いてスケートや水泳の練習をして、時には腰まで抱いてしまうような異様な距離間の男しか出てこないアニメだったり──……そんなものを、果たしてお相手は一緒に見てくれるだろうか。それを、相手に見せたいと思うだろうか。
 自分のタイムライン上で同じ趣味の友達と話をしている方が余程気楽で楽しいと、気付くことはないだろうか。
 
 つまり何が言いたいのかと言うと、「私の好きなアニメを共有したい、一緒に見て欲しい」という感情は、オタクにとって互いに共通のものであり、だからこそ相容れないこともあるということだ。
 特に男オタクは女オタク(特にイナゴ腐女子)への偏見や悪感情を強く持っている人も多いので、オタク同士だからといってうまく行くとは限らない。知識のない一般人の男性の方が、よほど話を聞いてくれることだってあるのだ。

3 とにかく努力から逃げていないか?

 これは自戒として残しておきたいのだが、わたしは数回のオタク婚活パーティーなどを通して、1と2の気づきを得た。自分とのアンマッチを分かっているというのに、わたしはなぜか、やっぱりオタク婚活パーティーやオタク街コンを探してしまう。それはどうしてか。
 理由は明白。『オタク街コンならモテる・選ばれると分かっているから』
そして『オタク専用のパーティーでなければ相手に相手にされないかもしれないという不安があるから』だ。

 わたしは参加していたから分かるのだが、女性はこの3の傾向が非常に強いと思う。男性は『彼女に自分の趣味を認めてもらいたい』『自分と趣味を共有させたい』と考えている人がかなり多いようだった。つまり理由はどうであれ、相手にはオタクを求めていた。
 だが、女性は男性の趣味に歩み寄る気もなければ自分の趣味を共有する気もない。ただ自分が有利となる土俵で戦ってモテ気分を味わいたいだけ、という層が一定数いる。これは間違いなくいる。

 オタク婚活市場はまだまだ男性余りなので、酷く申し訳ないことに、料金形態にもかなりの差が発生している。そして、当日女性であれば仮にどんな容姿であろうと、ある程度の恩恵を受けられる。つまり連絡先を貰ったり、好感を抱いた相手として指名されやすい、ということだ。
 事実、わたしは勝手も分からずに行った1回目を覗いてはそれなりの評価を貰った。参加者の殆どからマッチング希望を頂いたこともある。だが、恋人になりたいと思う人はおらず、結局お金と時間を無駄にしてきた。
 
 そして反省したわたしは、目を背けていた自分磨きやダイエットに打ち込むこととなった。また、自分はモテない現実を受け入れるべく、『オタク婚活』と名のつかない普通の出逢いを求めるようになった。アニメやゲームではなく、写真や旅行といった別の趣味を押し出して恋活や婚活をしてみた。

 するとどうだろう! どうせわたしなんか出会えないだろう、どうせわたしなんか選ばれないだろうと思っていたのは勝手な被害妄想だったようで、むしろオタクのパーティーに出ていた時よりもずっと好印象を抱いて貰えることが増えた。勿論参加者のレベルは男女ともに上がるから自分が恥ずかしく思えるようなことも多かったけれど、相手の男性もオタク婚活にいた時よりもやはりコミュニケーション力に長けていてお洒落な方が多い。

伝えたいこと

 本気でアニメやゲームを愛していて、それが生活の中心で、恋人はそこに添えるようなイメージを持っているのならオタク婚活はいいと思う。男性はどちらかと言うとそういうイメージで参加している。だが、そうではないというのなら、普通の婚活や街コンへ出た方がいい。その方がお互いの為になると思うからだ。
 わたしはオタクだしクソ腐女子だが、今の彼氏と駄目になっても、もう二度とオタク婚活には行かないだろう。
 最後にこれは正直男性の方へ本気で伝えたいのだが、オタク婚活パーティーやオタク街コンではマジであんまりいい出会いがないと思う! お金ばっかりかかって、嫌な思いをしたり、得るものが何もなかったりで本当にもったいないと思います。
 オタク街コンで出逢った男性の方は誠実で優しい方が多かったので、本気でオタクの彼女を作りたいのであれば、ちゃんと『とら婚』さんとかにしっかりしたお金を払った方がいいと思います。女の人もお金を払って会いに来る場所に行った方が絶対にいいです。
 
 オタクの皆様に幸あれ。

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