【読書】時間とテクノロジー

●感想

テクノロジーの進化によってどういう変化があったか、今後あるか、の新しい視点があってなるほどーと思った。
音楽に歴史が無くなった。確かに今聴いてる曲がいつ頃の曲なのか分からず聴いている。聴く側が歴史を意識しなくても、作る側は意識するのか、気にしなくなるのか、というのが気になった。
Googleとかで検索してても、最近の情報と古い情報が混ざって出てくる。新しくないと意味ないものもあるけど、そうじゃない情報の場合、時系列がなくなる。人間は因果関係に囚われていて、情報テクノロジーがそれを解き放つ、ということだが、分かるようでまだイメージできてない。再読必要かな。

●アクション

そのうち再読。

●気になったポイント

戦国時代より前は、サキは過去だけを意味していた。未来も意味するようになったのは1600年頃。
1
音楽に歴史が無くなった。すべてが現在に存在している。デジタル化がもたらした結果の一つで、すべての人がすべてを所有できるようになった。
ネットの登場で垂直統合が水平分離に移ったが、流体化によりまた垂直統合に戻ってきている。道路と自動車は水平分離されているが、運行システムと合わさってくると分離できなくなる。
統合させる軸はデータとAI。
過去は色褪せなくなり、鮮明なまま保存され続ける。しかし過去はいつ改変されるか予測できない。
2
記憶を頼りに判断するが、変化する環境の中で全く同じ状況は来ない。記憶は柔軟である必要がある。
進化論的に下等な生物ほど記憶が厳密。
細かい部分を忘れるから抽象化できる。
エピソード記憶によって物語を生み出すことが可能になり、物語を編むには自己意識が必要で、自己意識があるから記憶はさらに強化される。
3
貯金額と人数はべき乗則で表せる。ビル・ゲイツが超金持ちになれたのは運が良かったわけではなく、指数関数という数式が支配しているから。
地震のマグニチュードもべき乗だが、エネルギーと発生頻度もべき乗になっている。
社会に安定した状態などない。安定しているのではなく、常に臨界状態にあって、小さな崩壊や、まれな大破局を繰り返している。
深層学習は人間よりも深い帰納的思考を持っている。機械の物語、は人間には見つけられない隠された世界の論理を見つけ出してくれる。
二十一世紀の複雑な世界を前に、長く拠り所にしていた因果の物語から外へ踏み出すことが求められている。その時に確率の物語、べきの物語、機械の物語を新たな物語として引き受ける時期にきている。
4
新しい情報通信テクノロジーは過去への思いを破壊する。が、時系列に沿った因果関係に囚われている人間を解き放つ可能性もある。
アナログ時代は基本同化型だった。道具が人と同じ方を向く。デジタルで画面がついて対面型になった。技術の進化でまた同化型に回帰している。
自分では自由と感じているけど実は命令されている、というのがナッジの本質。
ナッジはAIが進化すればますます的確になる。ナッジによる誘導はさらに巧妙になるが、正しい方向に人を導いているのかどうかの問題は残る。AIの判断を見える化する必要があるが、AIの判断は数字だけ。
人間の選択の自由は無くなり、機械が正しい方向へ導いてくれるけども、その理由は分からない。というのを受け入れられるか。
5
健常者は富士山を三角形にイメージする。視覚障害者は上部を切り取った円錐をイメージする。
人間が操作する機器は目の前から消失していく。空間のあらゆる場所がコンピューター化していく。
空間認識能力は才能の発揮と相関関係がある。
空間を認識することによって自分が今この世界の中にいるという感覚に基づいた自分の位置をより明確に確認できる。
人間はt軸ばかりを気にしている。因果の物語の囚人。でも世界にはxyzもある。
時間軸で世界を見るのではなく、今この瞬間の世界と自分の関わり合いに目を向けること。
目で見えたモノだけが存在すると決めつけるのは感覚的に過ぎる。
空間テクノロジーに加えて同期と非同期、これらが同じレベルの認知になっていけば空間や時間の距離を考える必要がなくなっていく。
6
オートポイエーシス理論。生命の4つの特徴。
自律的である。一つの個体である。外の世界との境界を自分で決めている。外の世界からの入力も、出力もないこと。
4つ目が厄介。酸素を取り込み、エネルギーを放出するのは俯瞰で見るから理解できるのであって、当事者の視点では外という発想がない。
ハイパーサイクル理論。原始の地球では単なる化学物質だった生命の源がどのようにして自ら活動する生命になったのか説明する。
目的があって生命が生まれるのではなく、相互作用によって活動が始まったから生が立ち上がる。
アリの巣の設計図は無い。目の前の仕事をしていたらアリの巣ができる。目的など持たずに生きている。 
過去はすでに終わってしまった時間で、どこまでいっても自分ごとにはなれない。今この瞬間にある現在進行形の物語、ナラティブだからこそ自分と関わることができる。

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