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「母性神話なんて嘘だ!」と大きな声で言えない私

私は、「母性神話」が嫌いだ。

「母性神話」とは、母親は自分のことはさておき、子どもに尽くすことが母親の愛(母性愛)であり、女性にはそんな「母性本能」が備わっているという言説。だから、母親が育児をするのが自然であり、当然であり、最善である…という考えが、日本の社会では広く一般的に信じられています。

子育て中のお母さんへ。「母性神話」と「3歳児神話」に振り回されないで! | カウンセリングオフィス Progress - カウンセラーブログ


「女性だから」「お腹を痛めて産んだから」、子どもが愛しくて当たり前、子どもに尽くして当たり前。そんな話を聞くたびに、正直、背筋が凍る。

なぜなら、私自身が全然そうなってない、と体感したからだ。

産んだ瞬間に愛情が溢れるわけではなかった(私の場合)

私は33時間の陣痛を経て、出産した。
出産の瞬間、開放感・達成感はあったものの、私はヘロヘロだった。陣痛の間なぜか嘔吐が続き1日半睡眠も食事も取れてない中、異様な興奮に包まれながら我が子を抱いたことを覚えている。

我が子と最初に会った時の感想は「おお、無事でよかった!お腹の中にいたのは君だったのか」みたいな感じ。ひと目会って愛情が溢れる!!!母性ドバドバ~!みたいな感覚はなかった。

母性ドバドバ~!の感覚は、産んでから半年以上経った今も、正直感じることはできていない。
でも、子の世話をしながら、一緒に過ごしていくと、日に日に可愛いなぁと感じる気持ちが強くなるのがわかる。

「10月10日お腹で育てたから」「お腹を痛めて産んだから」母性が生まれるっていうのは、私としての体感はない。
そんなことよりも、どれだけ子どもの事を考えて過ごしたのか、どれだけ一緒に遊んだのか、そういうことの積み重ねで愛情が募っていくのではないかと、実感している。

そして、「よかった、母性がドバドバしない私でも、積み重ねていけば子どもに愛情を募らせることができるんだ」と安心した。

科学的にも「世話をするほど愛情が湧く」と言えるらしい


2016年に放送された「NHKスペシャル ママたちが非常事態!?」シリーズでは、こんな実験結果が紹介されていた。

育児経験のない、男子大学生に、週に1回、1日2時間の育児経験を3ヶ月間続けてもらったところ、赤ちゃんの泣き声を聞いた時の脳の活動に変化が起こった。育児経験がない時は活性化しなかった、赤ちゃんへの愛情を感じる脳の部分が活性化した。 [コミック&エッセイ]ママは悪くない! 子育ては“科学の知恵"でラクになる

脳のつくりがどうであれ、赤ちゃんの世話をすることで、愛情は募っていくのだと言えそうだ。

「母性神話なんて嘘」の根拠はある…なのに大きな声言えない私

経験的にも、科学的にも、「母性神話は神話である」という根拠は揃っている。

なのに、大きな声でそれを言えない自分もいる。
なんというか、母性神話を否定するのは、どことなく後ろめたい。

この気持ちは、いったい何なのだろう。と思う。

現時点で私なりに考えたのは、
幼い時から、「親子とは」「家族とは」「愛情とは」「結婚とは」「夫婦とは」「子育てとは」……たくさんの「こうあるべき」というイメージが、
親の言葉として、学校での教育として、ドラマや漫画のストーリーとして、友達の体験談として、私の中に蓄積されていて、事実で上書きできないくらいの範囲を占めてしまっているからなのかもしれない、
ということ。

「子育てこうあるべき」に縛られず、少しずつでも、「私はこういう風に育てたい」に変えていけるように。
まずは私自身が、気持ちと情報を整理して、発信していけるようになりたいと思っている。

文:みわ

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