見出し画像

備忘録 ただいまの判定は

二人分の夕飯を作る。

彼が帰ってくる。

二人で食卓を囲み、テレビを観ながらご飯を食べる。


「わたし何日か前から、耳の調子が悪くて、今日、病院に行ってきた。
突発性難聴だって。」

それは、大丈夫なの?と心配そうな旦那。

「うーん、また3日後に来てって言われたから、今度午前休もらって行ってくる。」

そっか、と、それ以上は追及することなく、
「ゆっくり休んでね」
そう言って心配そうにわたしを見つめる旦那。


次の日、会社で上司や同僚に突発性難聴になったことを伝えた。
病院に行くためにちょくちょく休むことになるだろうし、
聴こえていなくて無視してしまうことがあるかもしれない。

予感の通り、左耳が聴こえづらい生活は、まあ不便だった。
誰かに呼びかけられても反応が一歩遅れる。
電話を取る耳を右に変えないといけない。
習慣づいているからなかなか変えるのは大変だった。
なによりイヤホンをつけても右からしか音が聴こえないからとてもアンバランス。
常になにか聴いていたい派のイヤホン依存症(勝手に言ってる)だから、これは結構ストレスフルだった。

変わらない日常を送る。
ご飯を作って、二人で食べて、お風呂に入っている間に携帯チェック。
朝起きて送り出して、わたしも出勤して、携帯チェックで出てきた知らない単語を電車の中で調べて情報収集する。仕事して、退勤。

あら?1週間、2週間経っても聴力が回復しない。
先生もお手上げっぽい。
突発性難聴かと思ったけど、もしかしたらメニエール病かもしれない、と何回目かの診察で病名が変わった。

ほんとうにストレスに心当たりはないの?
できるだけリラックスしないと。

先生、できないんですそれが。もうどうしたらいいかわからないんです。
だって年末がもうすぐそこまで来ているんです。
旦那に浮気されたの。帰りたい。そんな悲しいことを両親に相談できないんです。幸せに暮らしていると思ってくれているんです。がっかりさせたくない。

なんて、言えないけど。
私の後ろには小さな男の子とお母さんが診察を待っているから。
とてもじゃないけど聞かせられまい。


この記事が参加している募集

#忘れられない恋物語

9,162件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?