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マンガワールドEXTRA『絵』の始まりから現代マンガの誕生まで

はじめまして。こんにちは
いつの日かしんしんと降り積もる雪のような澄んだマンガを描いてみたいと志を抱きつつ、オリジナルのマンガ構想・創作活動を探っています珈琲、マンガ、音楽好きなGプレッソと申します。

『デイドリームビリーバー』登場キャラクターアバターより。

本記事『マンガワールドEXTRA』は、
2021年に綴りました「Gプレッソの。マンガワールド①~⑫」の中から、主にマンガワールド②・③『絵の歴史』『マンガの歴史』を中心に整理し、新たにイラストを加えたり、見やすく整理し直している箇所も含め、
第1部 人類の『絵』の歴史-現代マンガへのバトン-
第2部 現代マンガの誕生-それは世界史とともに-
-の2部構成+α
でまとめております。
 
備忘録の意味も含め、一マンガファンの立ち位置から、
現代マンガ誕生までの人類の絵の歴史をライトに辿ってみたいと思います。

マンガリスペクト。

はじめに

マンガワールドへのモチベーション


ライトなマンガファンのワタシは、『マンガ』に興味・関心を抱くなかで、『絵』の歴史に関しても興味・関心を持っていました。
2020年よりマンガ製作構想を抱いてきた中で、自身とマンガとの関わりを整理してゆく最中、
人類(もしくは人外まで含め)の『絵』の来歴がどのようなものなのか気になって仕方ない」という動機から、絵およびマンガの歴史の流れをワタシなりにアプローチしてみようと思えたのでした。
マンガファンの皆様におきましては、一マンガファン・絵ファンの一つの解釈・ケーススタディとして柔らかく御覧いただければと思います。
また、これまでの通例として、科学は日進月歩で進んでいるので、新たな見解は次々と刷新されていくのだと思われます。新たな発見やワタシの知見が広まったりリブートした場合、都度都度に更新していければいいな、とも考えております。

※なお、本記事の姉妹編的な意味を持つ『マンガの作り方』に関してつづりました『デイドリームビリーバーEXTRA』のnote記事も公開しております。「マンガを作ってみたいな」と思っている任意のオールジェネレーションの方々に向けてまとめたものとなっております。『マンガのメイキング』にご興味ございましたら、そちらの記事もぜひ訪れていただければと思います。

最後に、全ての記述は、ワタシの中での『マンガ』や『絵』に対してのリスペクトが根底にあることをご理解いただければと思います。 


目次

第1部 人類の『絵』の歴史-現代マンガへのバトン-

マンガ登場までの道のり-ROAD TO MANGA-

『マンガ』とは?

『絵』や『宇宙・地球の歴史』などの推定年代について

⓪本当の最古の「絵」はどこにある?
①最古級の洞窟壁画群&ロックアート&洞窟戯画
②絵文字-文字- カリグラフィー芸術絵
③文明の中の絵
④宗教美術としての絵
⑤版画絵
⑥紙の流通 ルネサンス期の絵
⑦自己表現としての絵 -様々な『絵』ワールド-
 謎絵 らくがき 遊び絵 抽象絵画 
 アールブリュット 風刺画・ユーモア絵etc,etc
⑧絵物語-吹き出し・コマワリ以前-
⑨現代マンガへのバトン 歴史の中のマンガ的表現

コーヒーブレイクⅠ 『絵』とは何か?

 
コーヒーブレイクⅡ 『マンガ』へのリスペクト

ーマンガは簡単には作れない-   


第2部 現代マンガの誕生-それは世界史とともに-


⑩現代マンガでの潮流
⑪世界史とマンガ
⑫風刺絵画・漫画(風刺画・諷刺絵)
⑬現代マンガの足音
⑭現代マンガの始まりへ 
 北澤楽天・岡本一平
⑮ 現代マンガの源流・種子 
 世界から-近代漫画の始まり-
 

コーヒーブレイクⅢ

『芸術』はマルチパラレルインタラクティブインスパイア


⑯ 明治-大正-昭和時代
⑰手塚治虫先生-現代ストーリー漫画の神様-
⑱戦後(WWⅡ)以降の『マンガ』
 絵柄の遺伝子

あとがきにかえて

本記事参考書籍資料 

Gプレッソの自己紹介
次回以降の予定


 

マンガワールド EXTRA

『絵』の始まりから現代マンガの誕生まで

遥かなる旅に。

第1部 人類の『絵』の歴史-現代マンガへのバトン-


マンガ登場までの道のり
-ROAD TO MANGA-

人類の『絵』の歴史の中で

 さて、改めまして、本記事『マンガワールドEXTRA-Gプレッソの。』におきましては、「絵」の誕生から「現代マンガ」まで、『絵』の歴史を辿る記事を綴っております。
 人類がどのように『絵』と関わってきたのかについて、ワタシなりにピンときたこと、気になっていることなどをライトにまとめていきたいと思います。
「『絵』とはどこからやってきたのか?」「マンガ的な表現はどこから始まってきたのか?」などを念頭に置きながら、推測と空想も交えながら(といいましてもキュレーション的に資料を読んだり一応の表立った客観性は追究していきたいと思っています)綴ってみたいと思います。
 曖昧で未知の部分が多い分野なので、いろいろな意味で「答え」があるわけではなく、結果的には「問い」を提出することに留まっているのかもしれません。そこのところを広い心でご了承願えればと思います。
 ※参考・参照書籍は最後にまとめて掲載しております。


 

『マンガ』とは

「マンガ」とは何でしょうか。漫画を読む全てのヒトそれぞれにそれぞれの定義があると思われますが、本記事をまとめていくにあたり、ワタシにとっての「マンガ」とはどういうものであっただろうか?ということも確認しておきたいと思います。

これからのスタンダードに?
スマートフォン対応縦スクロールマンガ


マンガ的読み物の呼称

『マンガ的読み物』においては、古来より
絵巻物 絵物語 戯画 紙芝居 漫画 まんが マンガ MANGA 萬画 劇画 連環画 らくがきマンガ パネルマンガ コミグラフィック 
バンドデシネ(BD)コミックストリップ ナラティブペインティング
パンチ画 絵本マンガ カートゥーン カリカチュア サイレントマンガ  写真マンガ 影絵マンガ 版画マンガ
アメリカンコミック グラフィックノベル アジアンコミック
イストリエタ 動画マンガ マンガ動画 モーションコミック 
ウェブトゥーン 電子コミック ・・・

世界的に様々な呼称があり、歴史的に内容や形式など含め、それぞれの定義的なものも異なってはいると思いますが、ここではひとまず、『マンガ』というワードにまとめていきたいと思います。
※究極的には、それぞれ各人が「自分自身がマンガだと思えるものが『マンガ(あるいはマンガ風)』である」という解釈でいいのだと、ワタシ自身も緩く思っております。

 
『マンガ』とは「絵」である

「マンガ」に欠かせないのは『絵』であることに今更ながら気づきました。
また、ヒトと『マンガ』とのつながりから
人間は「マンガ」を描く、かつ「マンガ」を楽しむことができる(おそらく)唯一の動物である。ーことも確認しておきたいと思います。

そして、ワタシにとって『マンガ』
・空想生活への入り口
・好奇心を満たしてくれ(得)る高度な視覚的コンテンツ
・シビアな現実を一時忘れさせてくれるサプリメント(活力)
・少しばかりの息抜き(カフェタイム)
・学びや秘密への扉(世界理解)
・日々を生きるモチベーションを与えてくれるもの(作品によっては)
・哲学書そのもの(作品によっては) 
 etc,etc・・・

『マンガ』からは様々なギフトを受け取ってきた感じがあります。

マンガは日々の栄養・贈り物


 

『絵』や『宇宙・地球の歴史』などの推定年代について

 今回の記事で掲載しております幾つもの参考書籍等よりの模写による図像の推定年代は、書籍やサイトにより(諸処の学者や研究者の見解によって幅があり色々な説があるようで)まちまちなので、おおよそそのくらいの年代であるとの仮定の解釈により暫定的に掲載しています。
 基本あまりに古代の年代特定などは、どれほど測定方法が進歩してゆくのだとしても、もどかしくも永遠にブラックボックスの領域なのだとも思えます。※誰もリアルタイムで眺めていたわけではない、という意味で-。
 また、いわゆる古代の洞窟絵画やロックアートからの模写掲載『絵』に関しましては、無数のモチーフがある中から、有名どころやピンときたものを抜きだしチョイスしているに過ぎませんことも追記しておきたいと思います。その場所(地域的広域含め)に残されてある何千~何万とある絵の中からの、ほんの1点に過ぎません。

戯画世界にワープ


それでは、ここからが、本記事の本題となります。


⓪ 洞窟壁画が最古なわけはない(はず・・・)

 

 本当かどうかは確かめようもなく、けれどもすべて冗談であるとも言い切れないという鵺のような曖昧な立場から、ワタシたちの暮らす現宇宙は「138億年」ほどの歴史があるとされています。仮にでも、そのことをベースとして考えていこうと思います。

太陽系、地球(暫定46億年前)が誕生し、38億年前に生命が誕生し、以来、多様性を伴いながら進化し続け、700万年前頃二足歩行の猿人が歩き始め、40万年前頃、現生人類の祖であるホモ・サピエンスが現れた。―とざっくり仮定しておきます。
 さて、その間、いわゆるサムシンググレート(メタ的な仮想超越存在)的な存在がいたとするなら、宇宙の始まりを、きっと『絵(映像)』として捉えていたような気がします。そのようなメタ存在が、ダイナミックかつ美しい「宇宙絵巻物語」を眺めていたファーストな読者であったのでしょう。
 そのようなシュールな空想を絡めつつ、日々の暮らしの中で、リアルな体感としては感じられないとしても、プレートテクトニクスという本当があり、その年数(年代)等はさておいても、地球上の大陸が移動し続けている、というのは確実なようです。 
 バールバラ超大陸から始まり、ウル大陸、ヌーナ大陸、ロディニア超大陸、パノティア超大陸、そして3億年ほど前のおなじみ超大陸パンゲアが分裂して散分してよりの、現在の世界地図。

地球の大陸-離散と集合の繰り返しの歴史-

 どうも地球上の大陸は、長い歴史の中で何度も集合-離散を繰り返してきたことは本当のようです。そして、都度都度起こってきた地球規模の火山活動や気候変動、さらには外部からの巨大なインパクトなど含め、世界中の土地の環境は、浮かんだり(海底よりの浮上)、沈んだり(水没)、衝突し盛り上がったり、潜り込んだり、・・・を繰り返してきたのでしょう。 
 とすれば、例えば現在のサハラ砂漠が水の豊かな土地であったこともおそらくは普通に事実なのでしょう。さらには、現存人類以前の「先人類」的な存在が地球上にいたのかもしれないというSF・マンガチックな空想も絡めつつ、そのような事実から推察できるのは、現在地球上で確認できる最古クラスの数万年来の洞窟壁画よりも、さらに遡ること古き『絵』の存在は、 
 ①砂漠の砂の下に ②海の底に(深海含め) ③地上の地下深くに
 ④世界中の山の中(山腹地中)に ⑤氷河の中に 
 ⑥未踏の森林(21世紀の現在でも)の中に・・・etc,etc
  本当の意味での『最古の絵(たち)』は埋もれているのかもしれません。

最古の『絵』はどこにある?

 
—以上の可能性を前提に、以下、現状言われている限りの『人類の「絵」』の歴史を概観していければと思います。

タイムトラベル行きたいな。2



① 最古級の洞窟壁画群&ロックアート&洞窟戯画

ロックアート(岩壁画)

最古級の洞窟壁画群-それは世界中で同時多発的に?- 
 洞窟壁画やロックアート(岩壁画)は、世界中で散見されるようです。かつてワタシ自身も書籍などで積極的に調べてみるまでは、美術の本などによく掲載されるラスコー壁画(フランス)やアルタミラ洞窟壁画(スペイン)というワードを耳にする程度でした。しかし、太古の人類は世界中に広がっていたわけであり、「絵・画・像を描く行為」はヒトあるところどこででも開始されてきたようです。

※幾つかの地域のロックアートに関しましては、長い期間をかけて描き継ぎが行われてきての現在でもあるようです。

 

② 絵文字から~「文字」へ

「『絵文字(文字的な絵)』」と「『文字』という絵」が発明された 

 さて、何らかのコミュニケーションの産物として、図像や絵(象形絵)が絵描かれてきた中で、主に集団内において、より明確に、かつ素早く効率的に他者に「意思・意図」を伝えよう・共有しようとするチャレンジとして、人類に「文字」の季節がやってきたのだと思います。

※絵文字や象形文字は当然ですが、ここでは、記号的な文字も、
やはり「絵」であると捉えていこうと思います。

 世界の文字エトセトラ-一部ー
古代文字エジプト象形文字(ヒエログリフ)メソポタミア 絵文字&楔形文字インダス文字 
ピクトグラム的(?)中国最古の象形文字 甲骨文字(漢字の起源)
中米マヤ文字 絵文字的 イースター島 ロンゴロンゴ フェニキア文字 最古の文字候補 
その他 世界中で

 
文字から『書』という芸術絵 

 いわゆる印刷用の活字に対して、手描きによる東洋的書道や西洋的カリグラフィーなどの文字は、『絵』の観点からすると『手描きデザインの文字絵』と表せるのだと思います。
 それは、単に文字を美しく表現するにとどまらず、その時々の自らの心の在り様をも写し出せ得る奥深い表現芸術であるのだと理解できます。

     中国ー東洋 書道・書画 イスラム芸術アラビア書道 
    カリグラフィー(幅広い地域それぞれの文字言語で)
          ※カリグラフィーとは東洋書道やアラビア書道等を含めた言葉                                  語源 ギリシア語-カリグラフィア:美しき書き物(美しく書くこと)

 それぞれの国や地域や文化等により、百花繚乱の書体が存在し、色彩の要素も含め、その魅力にハマってしまえば人生が幾つあっても足りないくらいの深遠な領域なのでしょう。その哲学に超リスペクトです。

真っ白なキャンバスに何を描く?



③ 文明の中の絵


 さて、人類が「文明」の季節を迎え、5000年ほど前「都市革命」が起きて以来、世界中の諸処の地域社会においては、たとえば建築物(神殿や都市やモニュメントetc)の壁などに浮彫(レリーフ)として『絵』が描かれて-刻まれて-いきました。

 また、印章(ハンコ)などの携帯できるガジェットにも『絵』が使用されています。ハンコの印面には幾何学文様や文字や動物の絵などが彫られていて、古代においても身分や所有の証明や契約の証などに使用されていたようです。
 そして、世界中の民族の伝統の中で彫られてきた仮面からも『絵』の香りが漂ってくるようです。

仮面の魅力は計り知れず、大阪万博記念公園「国立民族学博物館」の収集資料は、眺めていると『各々なぜこのような造形(絵像)なのだろうか?』と時間の経過を忘れてしまいそうになるほどに夢中になれます。

もちつきハンコ。



④ 宗教美術としての絵の時代


ヨーロッパ世界
  いわゆる油絵具が実用化される以前の「絵」で、「写実的描写」にはこだわっていないように見られる中世絵画ですが、その絵画をみつめてみると、もしかするとマンガ的表現に近い(多少のデフォルメ―ション的・抽象的絵という意味で)絵なのかもしれない-とも思えます。

真夜中を駆け抜ける。


 また、装飾的絵柄も、洗練されたデザインが素晴らしい繊細さだなあ、とため息がでます。

イスラム世界ーアラベスク 幾何学的紋様 幾何学模様 
 美術性仏教文化 密教の曼荼羅 
ケルト文化 ケルティックノット  キリスト教ー宗教画・ステンドグラス

東洋世界
仏画や曼荼羅 
墨絵や水墨画の簡素的感性は、西洋的フルカラーと対照的で「簡素の美」を追求しているようで心に染み入るものがあります。


⑤ 版画絵

 「絵」を表現するのに、『手描き肉筆1点もの』以外に『版を作り支持体にプリントする』という方途がありますが、いわゆる『スタンプもの』の絵も、先のハンコに続き、木や銅や石の使用など色々な素材が使用されてきました。版画マンガにチャレンジ・製作する作家先生方にはリスペクトです。

版画と言えば、一番身近な感じがする「木版画」
近年では色版画やスチレン版画など、初等教育で行われる様々な「版画」や篆刻作り、
消しゴムハンコ作りなども楽しそうです。
 

 ※「絵」表現における、比較的新しい表現方式「デジタル絵」-実質無限複製可能な-に関しましては、別記事『絵ワールドEXTRA』(予定)でライトにまとめてみる予定です。



⑥ 紙の流通 ルネサンス期

         -絵の水準が上がる-   

素描画
 
ルネサンスの夜明けに絵描かれた「素描画」は、もう現代マンガに通ずる「下書き」そのものとも見える感じがします。


※ワタシ個人は、ルネサンス絵画含め西洋絵画に関しては『本物(オリジナル)』を直に見た経験は少ないです。国内で開催された美術展での限られた観覧や、学生期の「美学史・美術論」講義のスライドや、「美術系書籍」によるものや、「美術展絵画集」や、「大塚国際美術館での陶板複製(どうやって作ったの?と疑問符・感嘆符が何十個も付きそうなあの超ハイレベルな)」の                          西洋名画をみたことがあるくらいです。


ルネサンス絵画
  透視図法
が整理され、油彩画が始まり、写実性に価値が置かれた
いわゆるルネサンス期の絵画は、現在眺めても「芸術性」が高いなあ、と感じざるを得ません。アナログの手描きによる写真のような仕上がり具合は、とてつもない研究と修練の賜物であり、当時の絵描き師たちへのリスペクトも100%です。
 この時期に絵画技法の研究が進んだ一つの要因として、中国発の「紙」が1000年かけて一気に流通し始め、「絵描き師たち」は、お手軽にデッサンしたり、実験らくがきができるようになったーという事情もあるようです。
 現在のインターネット時代の中で「動画サイト」が爆発的に普及して、「有志の絵師さん先生方のお絵描き講座」が無償でお手軽に閲覧・学習し放題な現状に、どこか似ている気がします。
 また、今回の記事で使用しているお絵描きソフトの『自動彩色機能』などAIテクノロジーの進歩も含め、いろいろな意味で、現代は、やはり「絵画」の歴史の中において『デジタルルネサンス』時代とも言えるのかもしれません。

紙をありがとう。
  後漢時代の役人・蔡倫さんたちや発明に携わってきた先人の皆様
インターネットをありがとう。
『WWW-ワールドワイドウェブ-』(1991年誕生:発明者ティム・バーナーズ=リー博士) Web技術のパブリックドメイン化(1993年by欧州原子核研究機構CERN)



⑦ 自己表現としての「絵」が始まる

 さて、ヒトの社会において、「絵」は長い間、王侯・貴族層や宗教的権力層に依頼され『絵師』が描く-という制作過程が一般的なようでした。
 もちろん、依頼が無くとも、描くことが好きなヒトは、どの時代においても、誰に頼まれなくともラクガキや誰に見せるでもない絵作品作りに勤しんでいただろうことも想像できます。 
 紙が一般的に普及した近代以降、お手軽に「自己表現」としての絵作りが楽しめる時代が訪れての今日、という事情なのでしょう。誰に気兼ねするわけでもなく、お手軽に「お絵描き」が出来る現代という時代は、「絵描き好き」のヒトにとっては幸福な時代ともいえるのでしょうか。 

   芳醇な「絵」の世界ー絵ワールドの豊穣ー

 謎絵 風刺・ユーモア絵 遊び絵 トリック絵 らくがき絵 枕絵 アール・ブリュット 
抽象画 細密画 コラージュ絵 etc,etc・・・

 『それ』を絵描く目的・動機は、各作家個人各々の情熱があるに違いありません(依頼されて描くショービジネス的絵画はひとまずペンディングとして)が、この世界には、どうしても気になってしまう『絵』が溢れに溢れています。 
 以下、いくつかトピックを掲載してみたいと思います。


謎絵

謎の絵といえば、たとえばペルーの「ナスカの地上絵」ですが、世界中でまだまだこれからも『謎な絵』が発見または制作され続けていくのでしょう。



らくがき絵

とにかくも、ジャッジの入らない『自由ならくがき』こそは、絵描くことの楽しさ、自由さを一番体現しているような気がします。
らくがき(ラクガキ/落書き)は、英語では
グラフィティ(graffiti) スクリブル(scribble) 
ドゥードゥル(doodle)  スケッチ(sketch)

などと表現できるようです。
授業中にうわの空でノートに絵描いていた誰もが「ドゥードゥルアーティスト」なのかもしれません。

日本であれば有名どころの法隆寺のらくがき 唐招提寺のらくがき  
幼い子どもたちに見受けられる「頭足人(タドゥポウル:おたまじゃくし)」
的な絵表現は世界に共通しているようです。不思議です・・。


 

遊び絵・トリック絵

 人間の目の錯覚に訴えるトリックアートや、遊び心で描かれるユーモアたっぷりの遊び絵(おもちゃ絵:判じ絵や地口絵など含め)など、観て楽しい、考えて悩ましい、解ってうれしい、不思議な絵も、やはり世界中で描かれていたようです。
 それは、観賞者を楽しませる絵であると同時に、深いメッセージを込めることもできる可能性に富んだ『絵』表現であるのだと理解できます。

↑トリック絵風イラストにチャレンジ    


抽象絵画系統

何をもって「抽象」の範囲とするかは、やはりヒトそれぞれと思いますが、
ワタシは、2018年の春に『オットー・ネーベル展(京都文化博物館)』を訪れてみた際、ネーベルやカンディンスキーやパウル・クレーの絵の原画に初めて対峙してみた際に、『絵』に関しての革命的な何か-マンガへ通ずる可能性の意味も含め-を感じ、会心の衝撃(ドラクエ風)を受けとても興奮しました。「『絵』はどこまでも『自由』でいいんだな」、と魂レボリューションのレベルで本当に感激したのです。

絵は自由に。


アール・ブリュット(アウトサイダー・アート/生の芸術)

草間彌生先生のかぼちゃアート

さて、「絵」に国境はなく、あらゆる属性もネームバリューも関係ありません。表現することにライセンスは無く、上手-下手も関係ありません。(と思っています)
もちろん、技術の極北へ向かい修練を積み上げた果てに生み出された成果の芸術的・美術的到達点的な『絵』を眺めることも大好きで、そこを目指すす「絵師」さん「画家」さん「イラストレーター」さん「絵本作家」さん「マンガ家」先生
たちの作品を読むことも至福の楽しみです。 
一方で、最終的には、『絵描くこと』は『「共感」が得られる(できる)かー「共有」でき得るか』が一番大切なアスペクトだとも思っています。 
 ブルージャイアントで、たまたま出逢ったサックスがものすごくヘタなおじさんに対して、主人公の大が「でもなんか楽器と合っている・・・」と前向きに感じたような、そんなスタンスに似ている気がします。
 これまで幾度かいわゆる「アール・ブリュット」作品との出会いを重ねる中で、フラットな視点から、その熱量と自由さには、ワタシ自身もやはり憧れを抱いてしまう瞬間がありました。
眺めていると『なぜかぐっとくるな・・・』」と思える『絵』との出会いを楽しみに、これからも『絵ワールド』を探訪していきたいと思います。
この感覚は、聖人君子的優等生的な意味では全くなく、単純に
・『見たことのないものを観たい』
・『新しい何かに出逢いたい』
・『感激(衝撃)に出会いたい』-という好奇心
なのだと思えます。


風刺・ユーモア絵

風刺絵(諷刺画)は、現代マンガ表現の原点の一つともなっているという理解のもと、第2部にて、少し広げて考えてみたいと思います。


⑧ 絵物語

 絵物語―Picture story illustrated story -
 主に絵を主として語られる物語形式
マンガとの境界は明確にあるわけではないとも思えますが、ひとまずは
「バルーン(吹き出し)によるセリフ」や「コマワリ」の有無にある-とされる見解を採用してみたいと思います。

山川惣治先生 少年王者         小松崎茂先生 大平原児

○物語を伝えるために「絵」を使用してみよう!と志した
○「絵」を使用して、よりストーリーを上手に伝えられるのではないか?                                                                                                                       -と閃いた
○「絵」をあくまで主として、物語を語ってみよう!                                                                                                         etc、etc・・・ さまざまな動機のもと「絵物語」を志した先人たち-さらには現在進行形で描いている作家・クリエイターの方々-に共通しているのは、 「絵の力」-POWERofPICTURE- を強く信じている、-という信念が感じられます。  資料等を眺めてみれば、戦前、戦後、様々な形式で絵物語が絵描かれていたようです。

絵物語の様々な形式
※ルールや定義はあまり感じられない気がします。



⑨現代マンガへのバトン
 

 さて、風刺絵の時代を引き継ぎつつ、印刷・出版文化の進展も伴い、
「マンガ」が描かれる土壌が育っていきました。果たして『現代的な「マンガ」』のスタートはいつ頃からなのでしょうか。

その前に、歴史的表現存在の中で「マンガ的だな」と思えた作品(作為的であろうとなかろうと)を幾つか備忘録として提示してみようと思います。
  

歴史の中のマンガ的表現

マンガ的だなと思える(思えた)歴史的遺産のエトセトラは西に東に散見されるようです。

古代エジプトのパピルス        バイユーのタピストリー
バビロニアの境界石                      ローアンの時祷書                                 ・ローアンの時祷書(フランス)の吹き出し的表現15C 
・アームド・ヒーローズ(イギリス) 1803年 吹き出しのある風刺画
 鳥獣戯画より
ダビンチのカリカチュア(左) フランソワ・デプレ 怪異マンガシリーズより(右)
竹原春潮斎 鳥羽絵本より「てんぐのたまご」18C
ヒエロニムス・ボス 三連祭壇画「快楽の園」右パネルより
 ※北斎漫画の「漫画」とは「漫然として描いた画」と言う意味で  
現代マンガの「漫画」という意味合いとは少し異なっているようです。

現代への『マンガ』につながる作品が、相互に影響を受けつつ与えつつ、西に東に発見できます。


コーヒーブレイクⅠ

『絵』とは何か?

さて、これまで、人類の「絵」の歴史を、ライトに辿ってみているわけですが、ここで一呼吸おいて、
「『絵』とはそもそもどういうものであるのか?」に関して考えてみたいと思います。
・・・・
・・・と思えていたのですが、本記事に組み込むことはあまりに大きなテーマでもあることに気づき、
またの機会に別記事『絵ワールドEXTRA(仮題)』でライトにまとめてみたいと思います。
果たして、皆さまにとっての『絵』とはどのようなものでしょうか?

 

ひとまず、ワタシが『絵』だと思っている要素たち。
本記事におきましても、ここまで、『絵』『絵』『絵』・・・と
『絵』というワードをさらっと綴ってきましたが、実質、何が『絵』と言えるのでしょうか?
別記事では+αで「立体絵」という観点に関しても綴ってみたいと思います。


コーヒーブレイクⅡ

『マンガ』へのリスペクト
‐マンガは簡単には作れない‐

 古今あらゆるマンガが地上に現れたと思われますが、少しばかりのマンガ制作体験しか経ていないワタシが言い切ることは烏滸がましいこと承知の上でですが、想像するに、「『マンガ』を作るということ」は、本当に本当に本当に本当に本当に本当に・・・とてつもないエネルギー・労力がいることだと思っています。
 なので、単純にその「エネルギーを費やして作品を描き上げている情熱」に対して、ワタシは相当のリスペクトを持っておりまして、その意味で、
あらゆるマンガ(有名タイトル‐無名タイトル、大ヒットタイトル‐NOヒットタイトル、高尚的タイトル‐エンタテインメント的タイトル‐猥雑的タイトル、メジャーマンガ‐アングラマンガ、プロフェッショナルなマンガ‐子どもの真摯なラクガキマンガ、マンガ技術水準の高低、絵画的な絵の水準の高低、などに関わらず)に関して『価値フラットな印象』を抱いております。
  そのようなわけで、ワタシが記事内で記述する「マンガタイトル(および作家先生方や発表者様方)」やピックアップしてある「絵・イラスト」などに対しては、たとえば「どちらがどのようにすごい漫画」とか「これこそが起源ではないか」とか、-という価値比較尺度では語っておりませんこともぜひご理解いただければと思います。
 この一連の記事を綴り置こうとする意味は、単に、自身がこれまで通過してきたマンガ体験に照らし合わせて、半世紀近く生きてきたこれまでのところのワタシに、深く印象を与えてくれたマンガや、マンガの歴史、自身の好み等を整理し再確認していく作業なのだと思っています。



 

第2部『現代マンガの誕生』
   -それは世界史とともに-


 さて、ここまで、第1部『人類の絵の歴史』におきまして、おおよそ現代マンガへとつながりそうな場所までざっくり解釈してきました。
 ここからは、いよいよ「現代マンガ」誕生の歴史をざっくりと整理していきたいと思います。(といっても、もちろんワタシが知っている範囲でしか綴れませんが)


⑩ 現代マンガへの潮流

さて、21世紀の今日、幸運にも『なんでもありな現代マンガワールド』が広く世界でオープンに展開されていますが、その源泉・源流としては、
①諷刺・ブラックユーモア・ナンセンス系
-大人向けの皮肉なユーモアとしての-
 
②娯楽(エンタテインメント)・物語系      
-子どもたちの空想を育むものとしての-
の2つの流れがあったようです。
その流れに続き、やがて「更なる新しい表現」を求めて
③ドラマ系(劇画マンガや青年マンガやオルタナティヴ系やアンダーグラウンド系マンガ等含め)
  
-が融合されてきての『今日のジャンル無限な豊穣のマンガワールド』                  があるのだとGプレッソは(も)ライトに解釈しております。

※「世界」には広い意味で「マンガ禁止」文化の地域もあると理解しており  ますが、それぞれの文化を尊重したい立場で綴っております。
 ジパング-日本-は『マンガ先進国(善悪の彼岸的な意味で)』であることは間違いなく、「この時代のここにいる-たまたまここに存在した-」偶然性に乗っかってライトかつマイルドに『マンガ』を味わっていきたいと考える所存です。

マンガの国で。



⑪ 世界史とマンガ

 さて、近世・近代以降の「絵」の歴史を見ていくと、科学・技術の進歩と同時に社会の在り様にも「絵・画・マンガ」は影響を受けているのだな、と思えました。
 当然と言えば当然なのでしょうが、「歌は世につれ、世は歌につれ」と同様に「絵は世につれ、世はマンガにつれ」も的を得ているのだと思えます。
 その観点から、「絵・画・マンガ」を理解しようとする時、大雑把であれ、その時々の世の中の状況も知っておくべきだと思いました。
 ※自身の好奇心の問題です。
「理解しようとするな。ただ感じろ。」(『燃えよドラゴン』『テネット』的な)という在り方・味わい方もワタシは好きです。

以下は、『マンガ』という在り方・現象に関わりがあったであろう近世以降の社会的・世界的状況を幾つかのキーワードをピックアップしてザっと考えてみたものです。※順番は厳密ではありません

ヨーロッパから世界へ
 
14C ルネサンスが湧き起こる   
    活版印刷術が発明される
15C 大航海時代が始まる
16C 宗教改革が始まる
    科学革命が起こる
    産業革命が起こる
    市民革命が起こる
    帝国主義(植民地・海外展開・市場獲得競争)が始まる
20C 世界的戦争が展開される 
    大国覇権・思想衝突期
   金融資本主義の魔法時代(未だ解けないマネーという魔術)
21C デジタル革命期
   21世紀2022年現在-今何が起こっているのか?

ー以上のような社会的状況の中、「絵・画・マンガ」はどのように表現され、使用されてきたのでしょうか。
以下、サラッとまとめていきたいと思います。

サタイア(諷刺)とユーモア(おかしみ)の扉へ。



⑫ 風刺絵画・漫画(風刺画・諷刺絵)

チ。-地球の運動について-魚豊先生         『パンチ』NOTICES OF THE PRESS.

 
近世・近代ヨーロッパで-アメリカで 

○ルネサンス期 『個』の芽生え 個人-個性 
○2つのイノベーション 印刷&郵便
 グーテンベルクの活版印刷以降、ヨーロッパでは『ビラ』『パンフレット』のような印刷物が、不定期で人々にニュースを伝えるようになっていった。
その際、言葉(文字)だけではなく、も使用されていくようになる。
※メッセージの視覚化(イラスト化)
 やがて、定期的な発行が行われていく新聞や雑誌のジャーナル文化の中で、使用されてくる『絵』とはどんなものだったのでしょうか。                                                              「世界」の社会事情と交えながら、主な刊行物も一部並べてみたいと思います。


カートゥーン登場-印刷物としての-

15C~16C
 宗教改革時の「一枚パンフレット状の印刷物に描かれたカートゥーン」※ 

17C~18C 定期印刷物としての「新聞」が登場
○欧米では、産業革命や市民的革命や独立戦争などを経て~19C半ば、     先進国における「大衆文化」の始まりが幕を開けた。
○アメリカでは、1880年代に風刺漫画への関心がより広まる。 
    
1609年『アヴィサ・レラツィオン』(独)※最古の週刊新聞
1650年『アインコメンデ・ツァイトゥンゲン』(独)※世界最初の日刊新聞
1702年『デイリー・クーラント』イギリス最初の日刊新聞


19C
 世界各地でさまざまな漫画雑誌の登場
 19C中盤以降の世の中は それまでの「文字」中心の書物、「絵」そのものの一点もの絵画、の時代を経て、「文字と絵とのミックス」されたジャーナル印刷物、絵本やマンガが発展していった時代と言えるようです。 

1830年 政治風刺週刊誌『カリカチュール』(仏)歴史的エポック・漫画ジャーナリズムの出発点
1832年 諷刺雑誌・新聞『ル・シャリヴァリ』スタート(仏)※日刊漫画新聞
1841年 風刺雑誌『パンチ』スタート(英)※世界最古のマンガ雑誌
1842年 絵入り週刊新聞『イラストレイティッド・ニュース』(英)                     1845年 漫画雑誌『フリーゲンデ・ブレッテル』(独)
1848年『クラデラダッチ』
1851年『グリーソン』(米)『イラストレイティッド・アメリカン・ニュース』
1876年『パック』(米)
   

  
19世紀
-カリカチュアの世紀

※カリカチュア-滑稽、ユーモア、諷刺等の効果を狙って描かれる絵
 特徴を大げさに強調して描かれる諷刺的絵画
 誇張・省略画

※ヨーロッパの新聞-一コママンガ(狭義のカートゥーン)絵の傾向としては、カリカチュア(誇張・省略画)

※カートゥーン新聞や雑誌などに掲載される一コマ漫画
ウィット・アイロニー・ジョーク・ペーソス
皮肉・矛盾・おかしみetcを伴った表現で絵描かれる
政治的宣伝画 政治漫画 世相諷刺画 

20C-21C-  諷刺スピリッツは続く・・・?


  

世相諷刺・政治漫画の大家的存在のメモ

ウィリアム・ホガース『ジン横丁』         オノレ・ドーミエ『政治的要因』
 

18C 

イギリス      
・ウィリアム・ホガース(1697-1764)              画家・諷刺画の第一人者 風刺画の祖・父  
イギリス絵画の祖 ヨーロッパ近代漫画の始祖的存在      

・トマス・ローランソン(1756-1827)      
・ジェームス・ギルレー(1757-1815)
    
 
アメリカ      
・ ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)          新聞に政治的漫画を導入したアメリカ建国の父の一人 

19C 

フランス      
・オノレ・ドーミエ(1808-1879)  
政治的武器としての漫画の完成者
漫画を近代ジャーナリズムの旗手へ押し上げた近代カリカチュアの父
     
ドイツ      
・ヴィルヘルム・ブッシュ(1832-1908)   
絵物語-風刺漫画作家 コミックの元祖   
           
 アメリカ      
・トーマス・ナスト(1840-1902)          
アメリカ風刺画家の父

トーマス・ナスト(風刺画家/政治漫画家/政治風刺画家)作品より  



 日本(ジパング)で

日本の歴史(ざっくりと思い出しましょう)
1600年代~1800年代 
江戸絵画の百花繚乱期 
江戸期ー幕末よりの諷刺画
        
1853年 黒船カルチャーショック
1854年 開国 ※以後西洋の文物一般層への流入スタート
1867年 大政奉還 明治新政府スタート 
倒幕~明治維新~戊辰戦争期の諷刺画(庶民への情報提供)  
  
この頃「新政府サイドー旧幕府サイド」は各々自らの立場を正当化するため、世の中に訴える手段として『新聞発行』を行ったようです。

日本人自身による最初の新聞として
1868年『太政官日誌』(京都)-『中外新聞』(江戸)


新聞-雑誌の登場とマンガ

チャールズ・ワーグマン(イギリスより来日) ジョルジュ・ビゴー(フランスより来日)
THE JAPAN PUNCH                  TOBAE(トバエ)

1862年『ジャパン・パンチ』※日本初のマンガ雑誌
    チャールズ・ワーグマン 
1870年『横浜毎日新聞』創刊 日本で最初の近代的日刊新聞

1874年『絵新聞日本地』 絵担当・河鍋暁斎
1874年『読売新聞(東京)』創刊
1879年『朝日新聞(大阪)』創刊
1877年『團團珍聞』日本で最初の諷刺似顔絵登場
看板作家・本多錦吉郎 小林清親
1878年『驥尾團子』本多錦吉郎「藪をつついて大蛇を出せし図」掲載
※1881年掲載-日本におけるコマ連続による物語進行作品の初発
1882年『時事新報』大新聞としてスタート 福沢諭吉
1887年『トバエ』※居留フランス人向け時局風刺漫画雑誌ジョルジュ・ビゴー
1901年 滑稽新聞 時局風刺画&文章 
漫画雑誌ブームの着火点 宮武外骨主筆
1905年 東京パック 北澤楽天
1906年 大阪パック 赤松麟作
-様々な雑誌・新聞が生まれては消えていった

EX『時事新報』では当初今泉一瓢が「漫画」を担当 
※カリカチュア(一枚画の世相・時局風刺画)の訳語としての「漫画」
※のちに「漫画」担当が北澤楽天にバトンタッチされ「時事漫画」欄を創設 
ーやがて、新聞マンガの本格化時代へ  

東京パック             滑稽新聞


『諷刺』という険しい道を-ユーモアと笑いのレジスタンス-

○明治時代(1868年(M元年)~1912年(M45年))
明治時代の『風刺漫画』事情
新聞や雑誌の創刊ラッシュの中で、風刺漫画は一つの言論機関としてのパワーを持って絵描かれていたようです。しかしながら、当世における時の権力よりの「弾圧・抑圧」(「大逆事件(1910-1911)」など)を期に、諷刺表現はトーンダウン(大局的には)していきました。

そうして、ここから日本のマンガのストリームは『エンターテインメント』方向へ徐々に舵が切られていきました。

 昨年(2021年)観覧した映画『HOKUSAI』もとても味わい深い映画でしたが、当時の厳しい取り締まり状況も主軸に描かれていて、『表現』はいつの時代も困難が付き纏ってくるものなのだな、と改めて認識する次第です。
 表現の弾圧、発表の禁止、発売禁止、作家の逮捕、投獄、有罪など、ガクブルな時代を経て、現代のマンガ界が廻っているという事情なのでしょう。  それゆえに、『表現』への工夫を重ねに重ねながら苦心しつつ洗練させ、諷刺やディスクロージャーを体現してきた絵師たちやマンガ家先生方の勇気へのリスペクトは倍々に増してゆくばかりです。

 やがて、戦争の足音と共に、『マンガ』は時の公権力により利用されながら教宣マンガとして描かれつつ、世界規模の戦争が始まり、終わり、そして、戦後よりの『新たなるマンガの物語』がスタートしていきました―

 諷刺画記事ターンの最後に印象的な言葉に出会ったのでメモとして掲載したいと思います。

『諷刺画は社会的に意義ある最も有益な芸術である』

BY ロシア文学者ゴルキー

ラルフ・ステッドマン『エンパイアビルダーズ』 
アメリカの諷刺雑誌MADMAGAZINEより『MAD坊や』
程よく自由に。



⑬ 現代マンガの足音
現代マンガ前夜-ストーリーマンガの曙-

さて、新聞や雑誌が世の中に広まってゆくに連れ、カートゥーン/カリカチュア/風刺画/ユーモア絵 etcが表現されてきたのでした。

日本において-
・明治期には主だって「1枚絵表現」されてきたそれらの表現は、
・大正期についに「コマ絵連続表現」の段階に突入していったようです。

やがて、今日まで続いている4コマ漫画等も登場し、「吹き出し(バルーン)によるセリフ表現」も使用され始め、「キャラクターという概念」も誕生していきました。

              麻生豊『ノンキナトウサン』             ジョージ・マクマナス                                                                                                                     『ブリンギングアップファーザー』

※この時期のマンガ表現の進展は、外国マンガの影響を受けつつ、主に「新聞マンガ」上で展開していったようです。

ジパングの時代記録メモ

江戸期(1603年(E元年)~1868年(E265年))※江戸期
明治時代(1868年(M元年)~1912年(M45年))
大正時代(1912年(T元年)~1926年(T15年))
昭和時代(1926年(S元年)~1989年(S64年))
平成時代(1989年(H元年)~2019年(H31年))
令和時代(2019年(R元年)-


⑭現代マンガの始まりへ


ここから、いよいよ『現代マンガ』の実質的な始まりに関しての記事を綴りまとめてみたいと思います。
 
「世界」を観てみる前に、先に「日本」での現代マンガへの芽吹きを見てみれば、今回「北澤楽天」「岡本一平」という二人のオリジネーターを知ることができました。

北澤楽天                   岡本一平 


東のジパングの国でー北澤楽天・岡本一平ー

 幕末から明治初期、それまでの『風刺画』が「ポンチ絵」「おどけ絵」的なものであったものを、品位とユーモアでもって物事の本質を捉える絵として『漫画』というワードを改めて使用し始めたのが若き北澤楽天であったようです。
 漫画の歴史本や、映画『漫画誕生』等の記述をまとめてみれば、
北澤楽天(1876年-)は、
欧米シャーナリズムの漫画を研究し、常に研鑽を重ね吸収し、国際感覚も養いつつ、その当時の『ポンチ(絵)』を欧米諸国のカートゥーンの水準へ引き上げることを実践し、自らの筆を確立し(心を空にして絵描く)、漫画制作のプロダクション化もスタートさせた『現代漫画の父(ジパング)』であり、
日本初の職業漫画家
・キャラクターづくりの先駆け 田吾作と杢兵衛 etc
・日本初の少女漫画主人公 とんだはね子嬢
・広範なテーマを描ける
・漫画のカラー化(『東京パック』刊行-)etc,etc,

数々の実践を伴った当時代を席捲した巨星であったことを理解しました。

そして、北澤楽天に続いて現れた巨星が「岡本一平」で、漫画漫文という独自スタイルで一世風靡を巻き起こしたという理解です。

岡本一平(1886年-)
・『漫画漫文』-というマンガ表現の新たなスタイルを示した
・『映画小説』-コマ画マンガをより進展させた(映画的表現の追求)
・漫画における「大河ドラマづくり」の発想(世界においても先駆的)
・テンポ感のある漫画づくり(背景の簡略化etc)etc,etc,

タッチ的には、当初の北澤楽天が、国際感覚を宿しつつ欧米漫画風であることをセレクトしていることに比して、岡本一平はペン画・筆画・日本画・南画(水墨・淡彩)など幅広く器用に腕を振るっていたようです。


北澤楽天 キャラクター 田吾作と杢兵衛 茶目 とんだはね子
岡本一平 映画小説 漫画漫詩 漫画漫文 例

二人の巨人は、共に『絵』が魅力あふれるものであったことも、広く世間を一世風靡した要因であったのだと思います。
※もちろん、綺羅星のごとく、多彩な漫画家の先生方が時代を彩っていたことは当為であることを忘れないようにしたいです。

ワタシ自身も、ここ数年前までは、日本の現代漫画の歴史的には、
田河水泡ー手塚治虫-トキワ荘ー劇画マンガーアンダーグラウンドー大友克洋・鳥山明ー・・・というような流れを大まかにざっくりとしたエポックな軸として捉え理解していましたが、この軸をさらに遡ると、同様にエポックな存在として、北澤楽天・岡本一平が当てはまることを理解しました。そして、この軸にさらに遡り加えられるなら、やはり江戸期のスーパー絵師葛飾北斎先生なのでしょう。


コーヒーブレイクⅢ


芸術はマルチパラレルインタラクティブインスパイア

イメージの連鎖の泉。

起源・始原・始祖・開拓者・パイオニア・マンガの種子~は同時並行的に幾人も幾つもあって然るべきで、自然なことだと、ワタシも思えます。
 
形式・内容・表現方法&キャラクター・・・
本当の起源がどこにあるのであれ、世界中の誰であれ、先人たちのアイデアに触発されインスピレーションを引継ぎながら紡がれてきた「絵」の歴史-

モネ『ラ・ジャポネーズ』    
西洋とアジアとのインタラクティブ

いずれにしろ、とある時期に、世界の地域・地域で同時進行的に魅力的な絵とストーリーを描いて楽しませてくれる「漫画家」というプロフェッショナルなヒトたちが出現してきたーという事情だと思います。 
『絵』や『マンガ』の始まりがどこにあるのであれ、誰が始まりのヒトであるのであれ、現在も、多くのレジェンド的作品を眺め読んで味わうことができることは、とても僥倖なことだと思います。

 デジタル時代に伴い、ますますレジェンド作品群が復刻され、気軽に読める状態が整っていって欲しいと心底思います。願わくば、読み手-描き手どちらの観点からも、この『マンガ』に優しい時代が続いていただきたい、と祈るばかりですが、 とにかくも「マンガ文化」を繋いできてくれた先人の先生方・マンガ関係者の方々にはリスペクトの念しかありません。ありがとうございます!

 


⑮ 現代マンガの源流・種子 
世界から-近代漫画の始まり-

世界視点からの近代漫画のスタート地点 

さて、グローバルな『世界』に視点を戻して考えてみれば、近代マンガの初発作品群はどこまで遡れるのでしょうか。
以下、「世界」-ジパング込みでの-における幾つかの作品をピックアップして並べてみたいと思います。

ストーリーマンガ-物語風マンガ-


スイスで 
ロドルフ・テプフェール『M・ヴィユ・ボワ』
1837年(初発執筆は1827年肉筆バージョン)

ドイツで
『マックスとモーリッツ』絵本1865年 ヴィルヘルム・ブッシュ

イタリアで『
クアドラティーノ』1910年 アントニオ・ルビーノ

イギリスで
『ウェアリー・ウィリーとタイアード・ティム』1896年 トム・ブラウン
『レインボー』1914年 色彩豊かな子ども向け漫画新聞
『ピップ・スクウィーク&ウィルフレッド』1919年 動物キャラクターのコミック・ストリップ

フランスで
『ベカシーヌ』1905年 アンリ・ゴルチェ
『ピエ・ニクレ』1908年 ルイ・フォルトン
『タンタン』1929年 エルジェ

アメリカで
『イエロー・キッド』1895年 リチャード・アウトコールト
『ハッピー・フーリガン』1900年 フレデリック・バー・オッパー 
『リトル・ニモ』1905年 ウィンザー・マッケイ※夢マンガの嚆矢的作品
『キンダーキッズ』1906年 リオネル・ファイニンガー
『クレイジー・カット』1909年 ジョージ・ヘリマン
『ブリンギングアップファーザー』1913年 ジョージ・マクマナス
『ガソリン・アレイ』1918年 フランク・キング
『フィリックス』1919年 オットー・メスマー
etc,etc・・・

『M・ヴィユ・ボワ』『クアドラティーノ』『マックスとモーリッツ』
『リトル・ニモ』『ハッピー・フーリガン』『イエロー・キッド』『クレイジー・カット』
『タンタン』『ピップ・スクウィーク&ウィルフレッド』『正チャンの冒険』


日本で -北澤楽天・岡本一平以降-

『漫画太郎』1922年 宮尾しげを 絵物語新聞連載漫画の初発
『ノンキナトウサン』1923年 麻生豊
『正チャンの冒険』1923年 織田小星・作 樺島勝一・画  
『スピード太郎』1930年 宍戸左行
『のらくろ』1931年 田河水泡
『冒険ダン吉』1933年 島田啓三
『タンク・タンクロー』1934年 阪本牙城
『火星探険』1940年 画・大城のぼる 作・旭太郎
『記者旅行』1941年 大城のぼる

 大正期の終わりに「正チャンの冒険」を皮切りにストーリーマンガが息吹きを挙げつつ、時代が民間を巻き込んだ戦争に突入していった最中は、戦時利用されもした『マンガ』ですが、終戦をきっかけに、漫画のレボリューションが始まりを迎える。

もう一度、幾つかの具体的なエポック的作品を列挙してみれば、 
※概ね目にしている(手に取り読んだ経験)作品を並べてはいますが書籍内 図版やインターネット上検索でしか見たことのないものも含めてあります。

1922年『漫画太郎』宮尾しげを 
絵物語形式新聞連載漫画の初発

1923年『ノンキナトウサン』麻生豊
吹き出しコマのみの展開形式初発
日本における4コマ漫画の原点

1923年『正チャンノ冒険』織田小星・作 樺島勝一・画  
少年漫画の元祖&ストーリー漫画の出発点&キャラクター性
  
1930年『スピード太郎』宍戸左行 
テクニカルな映画的手法を試行したストーリーマンガの先駆       

1931年『のらくろ』田河水泡作             
キャラクター成長漫画の先駆け的存在
1933年『冒険ダン吉』島田啓三
冒険絵物語※マンガ版もあるらしいです             

1934年『タンク・タンクロー』阪本牙城  
SFロボットキャラクターまんがのパイオニア

中村書店漫画本シリーズ 1933~1943 
※豪華上製本100冊~

1940年『火星探検』画・大城のぼる 作・旭太郎
1941年『汽車旅行』大城のぼる

1947年『新寳島』 
手塚治虫/作画 酒井七馬/原作・構成

『汽車旅行』『火星探検』
『ガソリン・アレイ』『スピード太郎』『新寳島』
時代を彩ってきたキャラクターたち
フィリックス タンク・タンクロー のらくろ 
ミッキーマウス ネコ七先生 鉄腕アトム ドラえも
上記に列挙した、エポック的作品以外にも、『子どもの昭和史シリーズ(別冊太陽・平凡社)』や『漫画大博物館/松本零士・日高敏 編・著(小学館)』などの資料・書籍を眺める限り、気になる作品タイトルは、本当に山ほどあります。・まぼろし探偵(桑田次郎)・少年ジェット(武内つなよし)・アメチョコ探険隊(安孫子つねじ)・和製ミッキーまんが各種・雑誌『漫画少年』etc、etc・・・いつかお目にかかれる幸運な機会があれば眺めてみたいです。



⑯ 明治-大正-昭和時代


異国カルチャーがやってきた。

◎明治時代

明治になり欧米よりの文明の流れが日本に到達し-西洋の文物が一気にやってきて、新聞・雑誌文化急進展を開始
-諷刺マンガ-アイロニー・矛盾・ユーモア-ナンセンス-etc

日本にも雑誌文化 北澤楽天 岡本一平 ※先述参照
ー『諷刺画(マンガ)』も台頭・華やかなりし頃。

◎大正から昭和初期

『外国漫画(特にアメリカ漫画)』の紹介がマスコミのなかで盛んに流行         同時期に『一枚絵ナンセンス漫画』も紹介

ー上記の流れのなかで『マンガ』は芽吹いてゆく。

新聞マンガ 生活4コマ漫画 
政治漫画・世相諷刺漫画  
子どもの新聞連載漫画 
など


◎戦前-戦後のマンガストリーム

傾向的に-戦前の作品は主には ギャグ中心のナンセンスマンガetc
ページ数:少ない(2P~4Pマンガなど)
※例外はあり、それらはエポック的作品群

戦中の作品は、
娯楽統制ムードの中での政治的教宣・啓蒙マンガ 

戦後直後の作品は、  
ユーモア主体のマンガ (明朗 健康的 行動的 肯定的 ポジティブetc)
 動物擬人化マンガ/生活マンガ/冒険マンガetc  
ページ数:徐々に増えてゆくページ数の増加により、より重厚なストーリーマンガが可能になり得た。
 
そして、
マンガの神様と称される手塚治虫先生へと時代がつながってゆきます-


※ジパングの時代記録メモ

○江戸期(1603年(E元年)~1868年(E265年))※江戸期
○明治時代(1868年(M元年)~1912年(M45年))
○大正時代(1912年(T元年)~1926年(T15年))
○昭和時代(1926年(S元年)~1989年(S64年))
○平成時代(1989年(H元年)~2019年(H31年))
○令和時代(2019年(R元年)-


⑰ 手塚治虫先生
-現代ストーリー漫画の神様-

-諷刺もエンタメもひっくるめてー

ワタシの手塚先生のマンガ読書体験は、『来るべき世界』から始まり
『メトロポリス』『新寳島』『地球を呑む』『罪と罰』『火の鳥』『ブッダ』『ブラックジャック』『アドルフに告ぐ』『MU』『ワンダースリー』『鉄の旋律』『ザ・クレーター』『時計仕掛けのりんご』『ガラスの城の記憶』『バンパイヤ』『鉄腕アトム』『七色インコ』『リボンの騎士』『やけっぱちのマリア』『奇子』『きりひと讃歌』『人間昆虫記』『人間ども集まれ!』『上を下へのジレッタ』『地球の悪魔』『グリンゴ』『ぱいどん』etc,etc※『ぱいどん』TEZUKA2020プロジェクト
その全作品のおそらく3割~に満たない微々たるものですが、
その『日本-延いては世界-のマンガ史』における影響力・衝撃力は、想像で理解できる気がしています。

戦後マンガ史の起点である『手塚治虫』という存在のインパクト
リアルタイムで経験したわけではないですが、様々な資料や証言を眺めてきた中で、作品を読んだ(自身の読書範囲内でですが)後、確信できたことは、ワタシの中で、手塚先生は、日本のマンガ史における初発最大のディスクロージャーであり、現生人類史においては、ソクラテスやレオナルド・ダビンチやピカソと肩を並べている巨人的なポジションを占めています。

永久不変のスピリット。

-以上、本記事のメインとなります『現代マンガの誕生』までの、ライトな絵の歴史でした。



以下は、それ以降の、今日までのマンガの辿った道を、私的メモとしてざっくりと記しておきたいと思います。


 ⑱ 戦後(WWⅡ)以降の『マンガ』


スパイラルな道を辿りつつ多様に展開されていった「現代マンガ」の歴史において、これまで、多くの傑作・名作・衝撃作-が生まれてきました。
遡れば、お宝のようなマンガが宝船のごとく出会いの時を待っているのでしょう。
ライトなマンガファンのワタシは、とても多くのものを、未だ観ていないはずなので、心に衝撃を受ける出会いを緩やかに求めて、これからも『マンガ』との出逢いを楽しみに過ごしていきたいと思います。

 

ストーリーマンガの隆盛-マンガジャンルの拡大
各年齢層向け(幼年 少年 少女 青年 大人 etc)
劇画  ギャグ ナンセンス オルタナティブ etc,etc
雑誌(週刊誌 隔週刊誌 月刊誌 季刊誌 ムックetc)
単行本
インターネットの登場
ウエブマンガ デジタルコミック
マンガビックバン時代へ-

『火の鳥』『AKIRA』『風の谷のナウシカ』『14歳』『ザ・ワールド・イズ・マイン』
『ビリーバット』『進撃の巨人』
『ハチミツとクローバー』『イティ・ハーサ』『残酷な神が支配する』『風と木の詩』
『ウォーリー』『ムーミン』『アルザック』『HERE』
『星の王子様』『アライバル』『ブラックサッド』
『サルバトール』『エロイーズ』『縁の手紙』
『鈴をつけた天使』『スーパーマン&スパイダーマン』『ウォッチメン』

心に残るマスターピースとの出逢いを、どれほど味わえるのか-



絵柄の遺伝子


『絵』の観点から「マンガ」を観る時、

共通するのは「『絵柄』の探究」というファクターだと思えます。
あくまで個人の感想ですが、写真を連ねてもマンガにはなり得ますが、どことなく落ち着きません。
また、アニメ映画のフィルムコミックを見ても、やはり落ち着きません。ところが、アニメ映画のコミカライズは面白く読めるケースがあり、これはどういうことなのだろう?-と疑問に思うことがあります。 
           
どんな絵柄が読み手当人(および描き手本人自身)の心にエモーションを与えるかは、当然ではありますが、どこまでも個々人それぞれの好み-という結論に突き当たるのだと思えます。
そのことを前提としまして、より汎世界的に、大勢のヒトの心を捉える『絵柄』というものは存在するのでしょうか?
 
これまで、ワタシなりに及ぶ範囲で様々な『絵-絵柄-』に触れて、たくさんの絵柄に魅かれてきました。
現時点での、「マンガ絵」の絵柄ということに関して、本記事の最後にライトに触れておきたいと思います。

ワタシ自身も「絵柄」の探究初心者ではありますが、記憶と記録のパーソナルな備忘録として、少年期より憧れてきた絵柄のパターンを幾つか模写掲載しておきたいと思います。


メビウス・鳥山タッチ

 私的に大リスペクトしております作家先生は数多くおりますことは前提としまして、-もちろん比較や優劣の観点とは異なるアスペクトとして-
『純粋絵画的画力』と『魅力・魅惑のタッチ』という要素も別ものでもあるとして、『マンガの絵柄』という観点から、2022年の2月現在時点まででワタシ自身が触れてきた『現代ストーリーマンガ絵』の中では、メビウスタッチ・鳥山タッチが、魅力・魅惑的汎ワールドタッチの極北に思えています。

メビウス『B砂漠の40日間』より
寺田克也先生                 鳥山明先生
キム・ジョンギ先生              ニコラドクレシー

 
とにもかくにも、魅力的な『絵柄』は時代を超えて百花繚乱。千変万化。
ワタシも、いつか描き手として表現する時があれば、自身が納得でき得るタッチにたどり着けるように、ナチュラルに自身の絵柄を模索しながら探していきたいです。


-以上で『マンガワールドExtra』-『絵』の始まりから現代マンガの誕生まで-の記事を終えたいと思います。

長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。


あとがきにかえて

インターネットの登場やデジタル技術の進展、マンガやイラストに関連するプラットフォームの発展が日進月歩で続いてゆく中、個人で「マンガ」を作り、世界に向けて発表する、という行為が身近になっています。
(昭和の時代を知っている世代としてはちょっと信じられないマーベラスな状況です)
『マンガを作ること・発表すること』に、もはや年齢や国籍や性別や・・・あらゆる属性が無関係になっている(かのように見える)現状、さまざまな動機や事情でもって『マンガワールド』に参加してくるマンガファンやクリエイターの方々が世界中から参戦してくる-というものすごい時代になりました。
このような状況が整ったことで、とうとう『マンガ』本来が所有する「無限のポテンシャル」が、本当の意味でいかんなく発揮される時代が幕を開けたのだと思います。
昨今の世界事情・社会状況を鑑みるに、ますます厳しくなっていく(かのように思えてしまう)世の中において、ゲームの世界やアニメーションの世界や映画の世界やメタバース世界も絶え間なく進化し続けていますが、比較して作品制作の進度の速さから、この『マンガ』の世界も、リアルワールド(現実世界)を変え得るますますのキーアイテムになるのだと思います。

 空想や思い込みの記述も含め、『絵』の成り立ちを探ってゆくのは楽しい試みでもありました。『世界』を変え得る-変える-ような作品が生まれ出てくること、巡り逢えることを期待しながら、また一歩、また一歩と、ワタシなりに『絵』や『マンガ』ワールドをじっくり味わっていきたいと思います。 

また会いましょう!
ワンダフルワールドを探して。

本日は訪れていただきありがとうございました!


本気記事における参考書籍資料

『洞窟絵画から連載漫画へ』ホグベン著 
 寿岳文章・林達夫・平田寛・南 博 訳 岩波文庫
『ロックアート-神話そしてイマジネーション』 
 粟津潔 N・A・R・A探検隊編
『ラスコーと世界の壁画』宝島社
『版画とポスター』知識の泉15同朋舎出版
『ヒトはなぜ絵を描くのか』芸術認知科学への招待 齋藤亜矢 岩波書店
『1000の発明・発見図鑑』
 ロジャー・ブリッジマン著 小口高・鈴木良次・諸田昭夫監訳  丸善
『アイ・トリック』 種村季弘:編 遊びの百科全書 日本ブリタニカ           
『世界遺産ふしぎ探検大図鑑』 小学館 増補版
『最古の文字なのか?』氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く 
 ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー著 櫻井祐子訳
『進化の歴史』パノラマ博物館 
 ブライアン・デルフ/リチャード・プラット著 東原きよみ翻訳 講談社
『古代エジプト』古代遺跡シリーズ
『マヤ・アステカ・インカ文明』古代遺跡シリーズ 
      ニュートンムック ジョヴァンニ・カセッリ監修 教育者
『超古代文明 衝撃の新説』 宝島社
『国立民族学博物館 展示案内』 国立民族学博物館編集
『神々のかたち―仮面と神像展』国立民族学博物館所蔵 朝日新聞社
『MESOPOTAMIA』 メソポタミア展 1967
『国法 鳥獣戯画の世界』 山口よう??司監修 株式会社メディアソフト
『これならわかるアートの歴史』洞窟壁画から現代美術まで
     ジョン・ファーマン著 野村幸弘 熊谷吉治 訳 東京書籍
『名画の教科書 西洋絵画BEST100』 監修大友義博 宝島社
『ルーヴル美術館 ヨーロッパ絵画』 EDITIONS SCALA
『オルセー美術館』 CONNAISSANCE DES ARTS
『漫画 サピエンス全史』人類の誕生編 
     ユヴァル・ノア・ハラリ 原案・脚本 河出書房新社 
『国宝鳥獣戯画の世界』 監修山口謠司 MSムック メディアソフト
『ニッポンの浮世絵100』VOL.1    小学館ウイークリーブック
『浮世絵の極み 春画』 林美一 とんぼの本 新潮社
『北澤楽天と岡本一平-日本漫画の二人の祖-』竹内一郎 集英社新書
『20世紀キッズ』子供たちの現場 毎日新聞社
『SIGN,ICON and PICTOGRAM』記号のデザイン
 ライアン・アブドゥラ ローゲル・ヒュープナー著 星屋雅博翻訳 BNN
『シンボルの謎を解く』クレア・ギブソン著 乙須敏紀訳 ガイアブックス
『デザインの現場』サイン&ピクトグラム特集 美術出版社
『記号・マークの大常識』村越愛策監修  ポプラ社
『ハンコの文化史』 新関欽哉著  吉川弘文館
『書Ⅰ』文部科学省検定済教科書 光村図書
『本の歴史』 樺山紘一編 図説 ふくろうの本 河出書房新社
『福田繁雄のからくりデザイン』とんぼの本 新潮社
『宇宙の不思議なはじまり そして地球と生命』
                 ニュートンムック Newton Press
『宇宙図』宇宙が生まれてから、あなたが生まれるまで TJムック 宝島社
『生物進化 38億年の奇跡』 TJムック 宝島社
『進化の歴史』パノラマ博物館 講談社
『世界の国々』地理×文化×雑学で今が見える  
               かみゆ歴史編集部編 朝日新聞出版
『世界の素描 1000の偉業』
  ヴィクトリア・チャールズ クラウス・H・カール著 二玄社
『世界のコミック大研究。』Mangaの原点を探して Pen NO.204
『フランスのマンガ』 山下雅之 論創社
『BD ベー・デー』第九の芸術 古永真一 未知谷Publisher
『寺田克也+キム・ジョンギ イラスト集』 玄光社MOOK
『漫画博物誌 世界編』須山計一 番町書房
『漫画大博物館』 松本零士 日高 敏 編・著  小学館
『江戸戯画から近代漫画へ GIGA・MANGA』展覧会図録 清水勲監修
『日本マンガ全史』鳥獣戯画から鬼滅の刃まで 澤村修治 平凡社新書


※今回の記事に関しましては、後に新発見や新たな見解が生まれたり記録が刷新されたり、また、ワタシ自身の学びが深まり、知見が広がったりなど、より分かりやすい解釈を見つけた時には、断りの上、修正やアップデートを繰り返していくことにもなると思います。



Gプレッソの自己紹介

ゆっくりとでも進んでいきたいと思います。

 バーチャルワールドにおいては、実名ではない推定88億歳のワオキツネザルアバターとしての活動に徹しています。

少年時代より、「いつの日か本気で「マンガ」を描こう、描いてみよう!」と思いながらもなかなか実践できないまま時が経過していきました。
 思うところあって、2020年に、32P読み切りマンガ『デイドリームビリーバー』を作成しました。キャラクターを作り、世界観を設定し、ストーリーを作り、ネームを起こし、最後の「作画」工程は、外部委託にて絵師の方へ依頼をし完成に漕ぎつけることができました。
 最終的作画は依頼によっていますが、この作品が、実質ワタシが本腰を入れて作成を試みてみた『マンガ』の、最初の第一歩となっております。
 いつか描き手としてマンガ表現を駆け抜けてみたいと構想もしています。
が、作品作りは相変わらず『カメの歩み』でのろのろとマイペースで
進めております。
2022年2月冬現在、現実生活は、何やらわけのわからない暗雲立ち込める世界に対峙しながらの、決して心穏やかではない日々を過ごしている現実もありますが、「絵」や「マンガ」や「音楽」や「珈琲」などを支えにして、どうにか『平静を装って』少しずつでも前向きに歩んでいきたいなと思う今日この頃です。

次回以降の予定


『絵の世界 EXTRA』『キャラクターワールド』
『マンガ賞応募への道のり』などなど
 全て仮題ですが、形態など含め、引き続きnote記事を中心に綴っていきたいと思っております。
2022年2月現在は漫画賞応募用のゴキブリマンガを構想中です。
note記事UPの際は、ぜひお時間のある時にでも訪れていただければと思います。よろしくお願いします。


電子書籍の宣伝

↓アマゾンキンドルにて電子書籍発売中です。
キンドルアンリミテッドでも読めますので、ご興味頂ければぜひ読んでみてください。

読み切りマンガ作品メイキングの1ケーススタディです。
クロゴキブリ苦手でなければ覗いていただければと思います。。


2023年6月更新

note記事のおしらせ

先人たちの偉業の上に。

2023年6月時点でnote記事に以下のラインナップをアップしております。何か引っかかるタイトルがございましたら、ぜひ訪れて頂ければと思います。

マンガとは一体何なのか?
『マンガ』の謎や歴史に関するエトセトラ①~⑫の記事。
32ページ読み切りマンガ『デイドリームビリーバー』2020年作
& 電子書籍「新しい時代のマンガの作り方」紹介・宣伝記事。
「絵」とは果たして何なのか?
絵画表現の謎へのチャレンジ。エクストラ3部作。
ワンダフルワールドへの思考001~012の記事。

ゴキブリの魅力・秘密について。
クロゴキブリ飼育体験 全12記事。&⓪
ごきぶりマンガエピソード0      
エッセイトゥーン『ボクとディオゲネス』
 

 

ゴキブリマンガ
『ボクはディオゲネス』の紹介


これからも、いろいろな角度から『ゴキブリマンガ』を構想していくにあたり、その中の一つ『ボクはディオゲネス』はコツコツと話数を重ねていこうと思っています。
1話2ページの省エネマンガ『ボクはディオゲネス』は、全555話構想ですが、これまでそれぞれのnote記事におきまして掲載してきたものは25話ほどになりました。
今回は、その中から幾つか紹介させてください。

第95話 びりーぶ。

第66話 グルメ。

第128話 深呼吸。

to be continued ⇨

本日は訪れて頂きましてありがとうございました。

またの機会にお待ちしております!

最新更新日 2023年6月  

        

※『マンガ』に関して、広く興味のある皆様におかれましては、ぜひお時間のある時にでも訪れていただければと思います。また「マンガに興味のある」お知り合いなどに、この「マンガワールド」の記事をシェアしていただければ、なお嬉しい限りです。よろしくお願いします。

       のんびりと。         

またの機会にお待ちしています!!


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