敷かれたレールから飛び出せ!映画「兵隊やくざ」感想文
勝新太郎主演、増村保造監督の「兵隊やくざ」
1965年公開の映画。
勝演じる大宮は、招集されるまえはやくざのボディーガードをしていた札付きの悪。入隊前からその腕っぷしは噂される。
大宮はロシアに近い中国の戦線に配属される。
大宮の上官になったのが有田上等兵。
インテリの有田は三年たったら内地へ戻れるという理由から幹候試験をわざと落第した三年兵。
大宮の生意気な態度は、縦社会の権化のような軍隊内部において捨ててはおけない生意気な兵士である。大宮は他部隊から目を付けられ、事あるごとに殴り合いの喧嘩に発展する。それをなだめる有田上等兵。
戦争よりも、軍隊生活が最悪ではないかと思えるほどの理不尽な人間関係が描かれていく。
そんな軍隊に南方戦線の戦況悪化の知らせが入る。
三年での除隊の願いも潰えた有田上等兵は、みずから禁を破り大宮がいる女郎屋へ迎えにくる。
部隊間の人間関係、階級による差別、戦線の悪化による除隊の願いもかなわぬ状況すべてに嫌気がさしたのだと思う。有田はいつしか、規則や慣習すべてを腕っぷしで破壊する大宮の姿に共感していたのではないだろうか。
そして大宮もいつも気づかってくれる有田に恩義を感じ
南方へ転戦することとなった部隊を乗せた機関車を強奪し、有田と二人で中国の砂漠の中へ消えていく。それは敷かれたレールに乗っていても、腕っぷしでサバイブする大宮の生き方そのもののようである。
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