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アメリカの話 その1

私はアメリカのロースクールに通いニューヨーク州の弁護士資格を取得した経験があるので、アメリカのお話を書いてみたいと思います。第1回は、アメリカの法制度です。

アメリカは合衆国という名前の通り、50の州からなっています。ちなみに、州だけが集まっていてはまとまらないので、アメリカ全体をまとめる「連邦」政府がワシントンD.C.(District of Columbia, コロンビア特別区) に置かれています。ワシントン州というのもありますが、それは州の一つで、ワシントンD.C.とは別物です。

この連邦と州は、日本だと政府と各都道府県の関係に似ているようにも見えます。見えますが、アメリカでは州の独立性が日本の都道府県よりも強いという違いがあります。

その一つの例として、各州には各州の独自の法律があります。実際には各州の法律はかなり似ていますが、同じことでも違った定め方をしていたりします。例えば、遺言が成立するための要件や、法定相続人、婚姻の要件も各州で定めが違ったりします。

その結果、弁護士資格も州単位になります。ニューヨーク州の司法試験に受かって弁護士資格を持っていても、カリフォルニア州でそのまま弁護士活動をすることは原則としてできません(手続きが必要になります)。

裁判所も、連邦裁判所と州裁判所があり、それぞれ地方裁判所、控訴裁判所、最高裁判所があるので、州地方裁判所で訴訟提起、州の控訴裁判所に控訴、州最高裁判所まで進んだあと、さらに一定の問題について連邦最高裁判所に進むこともありえます。

実際、日々の暮らしで人々が触れるのはほとんど州法だったりします。

こんなふうに法制度からアメリカを眺めてみると、アメリカ「合衆国」の側面が見えてきます。

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