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ブースデザインの舞台裏、営業支援EXPO編

7月に、他の場所で公開していた記事なんですが、諸事情によりそこを閉鎖することになったので、こちらにコンテンツを移動しました。

ブースのデザインをテーマとした記事としては3回目の記事。過去2回はこちら。
マーケティング・テクノロジーフェア、ブースデザインの舞台裏
ブースデザインの舞台裏、「Japan IT Week 春」編

7月2日(月)、ユーザベースグループは六本木にオフィスを移転しました。そして、まだ引越しの荷ほどきも終わりきらない、7月4日(水)から3日間、FORCASは東京ビッグサイトで開催された「営業支援EXPO」に出展しました。

営業支援EXPOは、CRM(Customer Relashionship Management)やSFA(Sales Force Automation)など、営業効率化のための製品・サービスが一同に揃う展示会です。会場の西ホールには、同時開催の販促EXPOや広告宣伝EXPOも開催されていて、なかなかの賑わいでした。

FORCASがこういう大きな展示会に出展するのは、2月の「マーケティング・テクノロジーフェア」、5月の「Japan IT Week 春」に続いて3回目。3回目ともなれば、それなりに経験値も上がってきているのですが、それでもやはり、新しい課題に直面するのです。

・・・とうことで、今回も例のごとく、デザイナー視点で、この展示会を振り返ってみたいと思います。

パノラマなブース

今回のブースの形状は、パノラマタイプ。
幅 9000 mm x 奥行き 2700 mmという、かなり横に長いタイプの小間でした。
数字だけでは感覚的なところがわかりづらいと思いますので、下図の縦横比率を参考にしてください。ワイド! まさにパノラマですよね?
さて、この形状をどう活かすか。。。ここで何ができるか。
今回のブースデザインの最大のテーマは、ブースのこの形状でした。

幅 9000 mm x 奥行き 2700 mmという小間で出展することになりました。

宇宙ステーションからコックピット型へ

最初にみんなで考えたのは、未来の宇宙ステーションのような湾曲した壁を作ること。未来なので、あくまで想像上の宇宙ステーションですが。。。苦笑

大きな大きな円の一部、この美しい曲線に沿ってカウンターを設置して、デモンストレーションできるスペースを作ろう!ってことになりました。「美しい曲線で、来場者をお出迎え」そんなコンセプトで。

そして、壁には、FORCASのロゴ、導入事例ムービーを表示する70インチディスプレイ、ABMやユーザベースグループを説明するグラフィックを。おなじみのコンテンツです。

過去2回の展示会を一緒に作り上げた業者さんとも、「これ、いいね!」と盛り上がり、早速、概算費用を出してもらうことになりました。

しかし、私たちは甘かった。
かなりの予算オーバーでした。

ちょっとずつ不要なところを探し出して予算を削る、、、という小さな節約の積み重ねでは到底無理な金額。

何が一番金額を引き上げていたかというと、あの曲線を作る、、、というところ。直線ではなく曲線、そこには加工が必ず必要。そこで、どうしても金額が跳ね上がってしまいます。美しい曲線が最大の魅力だったのに、本当に残念。

加えて、構造上の問題もあり、どうしても、何本かの柱をカウンタの下に儲けなくてはいけないという点。せっかくの美観が、それでは台無しですよね。

そんなわけで、ブースの形状から考え直し。あのとき、あれだけ、「これでいきましょう!」って盛り上がった幻のブース。残念です。
そして、湾曲の代替えとして考え出したのは、下図のようなコックピット型。ちょっとワイドなコックピットですが。。。

途中、議論の中で、バックヤードを脇に固めようという案も出ましたが、そうなると、せっかくのパノラマが活かされない。そして、粘って粘って考え出したのが、このコックピット型でした。無事に予算内に。

そして、カウンタータイプは柱の問題もあったので、壁と分離したデスクを中央に2つ配置することにしました。デスク下には資料をストックしておける棚も忘れずに設置。なるべくデスクの上はすっきりをキープしておきたかったので。

そして、実際の仕上がりはこちら。全体像を捉えた写真をうまく撮れなかったので、パノラマ感は伝わりにくいですが、すっきりと品良い仕上がりになったのでは、、、と思っています。

タイポグラフィを活かしたグラフィック

さて、ブースの形状が決まったところで、今度は壁面グラフィックです。ブースの形状として、壁面は正面から見た3面と左右の脇の2面。合計5面ですが、デザインが必要なのは4面です。

そういえば、マーケティング・テクノロジーフェアでは1面、Japan IT Week春では3面、そして今度は4面。回を重ねるごとに、デザインする壁面が増えていっています。

左右の脇の壁面は、隣のブースがどんなレイアウトかによって、来場者に見える面になるのか、隠れてしまう面になるのか、それは全くわかりません。ある種の賭けですね。設営の当日になってみないとわからないので。
隣のブースとの境の壁に描いたのは、B2B Marketing of Tomorrowを使ったタイポグラフィです。前回のアイディア、「矢印で誘導作戦」をここにも施して、こんな感じにデザインしてみました。

来場者が通るであろう位置に立つと、このように見えます。思ったよりも視界に入りますね。

言葉一つ一つをしっかり見てもらうデザインではなく、「なんかかっこいい」「こういう展示会には似つかわしくない」「なんか気になる」というのを狙って。それに、こういう文字を使ったデザインって、私自身、大好きなデザインのひとつなんです。

いつもタイポグラフィには悩まされますが、心を尽くしてタイポグラフィに取り組んでいるというのは、自信を持って言えるかな。まず、第一に、タイポグラフィに納得いかないと、いつまででも粘り続けるのが私の性分。そして、文字の扱い方の良し悪しは、文字に対する敬意と愛情から生まれてくるとも思っています。

・・・と、少し熱く語り過ぎましたが、タイポグラフィって本当に大事、デザインの奥深さを感じる大事な要素ですよ、、、ということを知ってもらえたらうれしいです。

試したコトと次に試したいコト

今回のブースデザインで試した小さな改善が2つ。

1つ目は、背景色の調整。
正面右側と右の側面の壁面グラフィック。ここの背景色のダークブルーをほんの少し調整しています。色校はできないため、色に関しては一発勝負というドキドキもの。前回の色は少し軽い感じがしたので、もう少しダークの方向に調整したのが今回。おかげさまで今回は、イメージ通りの色味に仕上がりました。

2つ目は、壁面グラフィック「ABMってなあに?」の全体的な位置の調整。ここを引き上げました。
近づいた時の読みやすい位置と、遠目から見たときの認識しやすい位置って、やっぱり違います。

前回は読みやすさを重視して、ちょうど1200mmから200mmぐらいの位置に、読ませるコンテンツが来るように全体をレイアウトしましたが、そうすると、全体的な位置も少し下がり気味に。そのせいか、グラフィック全体のダイナミックさとか、堂々感のようなものが出なかったんですね。それがずっと気になっていて、今回は、思い切って全体的に上に引き上げました。
それで、読みやすさが犠牲になることを危惧していましたが、実際に目の前に立ってみると、そうでもない。全く気になりませんでした。それよりも、上に引き上げたことで、グラフィック全体の存在感が増して、この改善は大成功だったように思います。

そして、次回、チャンスがあれば、試したいコト。それはテーブルの角丸の調整。

前回の展示会でも、同じ角丸のテーブルを使いました。そのときに、ちらっと心をよぎった「少し丸すぎじゃないか。。。」 その自分の心の声に従わず、今回に生かさなかったのは反省点の一つです。正確には、打ち合わせの時の「そこまで気にならない」という大多数の意見に流されて、自分の違和感に正直にならなかったのです。
しかし、やっぱり、会場で実物を見て、もう少しシャープに調整してもらえばよかった、、、と思ったのでした。

ここは、来場者の安全面を考慮して角丸にしているのですが、ここまで丸くなくても安全性はキープできるはず。次の展示会では、少し子供っぽさの残るこの角丸を、大人の雰囲気の角丸に変身させるぞ!と心に誓ったのでした。

最後に...

自戒の意味も込めて、今回のグラフィックでやらかした私の失敗を最後にご紹介。

ユーザベースグループのサービスを紹介する壁面グラフィック。ここにレイアウトのズレがあることに気付かずに入稿してしまいました。FORCASの「2017 launched」の「launched」。これが下にずれてしまっているのです。
細かなレイアウト調整を行なっていく中で、きっと「launched」が置いてけぼりにされたのだろうなあ、、、と自分のオペレーションを推測しています。

ここは前回、前々回からのおなじみのグラフィックなので、気が緩んでいたのかもしれません。これまでの3回のブースデザインは、デザイナーとしての私の経験値を高めてくれましたが、だからといって、馴れによる慎重さを欠いてしまっては本末転倒。どんなときも「初めて」を意識して取り組まねば、、、と再認識した出来事でした。

3日間にわたる今回のイベント、ブースのデザインや来場者のUXなどなど、まだまだ改善の余地はありますが、無事に乗り切れた今はとてもホッとしています。そして、本当に多くの方にご来場いただきましたこと、この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!

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