見出し画像

緊急入院

三年前の今日5/2に、26週の妊婦だった私は、K病院に胎児発育不全で緊急入院した。

当時、すでに一ヶ月くらい前から赤ちゃんが小さめと言われて続けていた。母から「体を冷やすのは良くないよ」とアドバイスを受けたので、今思うと随分厚着をして通院していた。その時、5月なのに長袖のフリース、ワンピースにカーディガン、お腹には腹巻をして、スパッツにデニムを着込んでいた。今日なんて夏日で、Tシャツ一枚で過ごしているというのに!

私は、実家の近くのS病院で8月中旬に無痛分娩の予約をしていた。担当は女医さんで優しかった。赤ちゃんが小さめだから念のためK病院の先生に診てもらいましょう、と最初は言われた。K病院の先生は私の赤ちゃんを診察して、「多分大丈夫だが、一応こちらの病院でも診察を受けてください」と言った。

私は月に二回、病院通いをする事になったが、心身共に本当に疲れた。赤ちゃんが小さいかもしれない不安と体力的、そして金銭的負担。このペースで病院に通ったら、妊婦検診の補助券無くなっちゃうよ〜、なんて真剣に悩んでいた。結果、私は緊急入院したので、この券は大量に余ったのだが…

5/3から義母が上京する予定だった。一緒にベビーグッズを買いに行く約束だったのだ。私はまだ自分の状況を理解できずに、「義母が泊まりに来るのでGW明けの入院でも良いですか?」などと呑気な質問を先生にして呆れさせていた。

というのも、私はこのK病院で緊急入院になる2、3日前に元々出産予定だったS病院で診察を受けており、女医さんに「Mamiさんの様なケースは結構あるのよ。うん、大丈夫!」と言われたのだ。だからたったこの数日でダメになる意味がわからなかった。

当時、仕事でも同僚が急に辞めてしまい、私が一番の古株になったのでとても張り切っていた。10日間の入院をいきなり言い渡されて、仕事を休まなければならない。クビになるかも… 恐る恐るボスに電話をすると、「君のBabyが一番重要だから仕事のことは気にしなくて良い。こちらで対応するから、とにかくゆっくり休みなさい」と言ってくれた。涙が出た。私は、自分は案外思ったより日本人的発想だったのだな、と電話を切った時に思った。「妊娠で仕事を休んだらクビ」なんて、あの素晴らしいカナダ人ボスが言うわけないのに。それくらい私は切羽詰まっていたのだ。

とりあえず入院グッズを取りに1時間くらい帰って良いと言われたので、スーツケースに必要な物を入れていった。不思議な物でこんな時なのに一番不要そうな英語の教材、単語帳、洋書ばかり詰め込んだ。

先生からの指示で主人に電話し、仕事を早めに切り上げてもらい病院で一緒に説明を受けた。

とりあえずこのGWは安静にして様子をみましょう、との事だったので、私は先生の言葉通り連休明けには帰れると信じていた。いや、信じ込もうとしていた。

だがさすがに入院初日は全く寝れなかった。そして不安で泣いた。どうやって涙を止めれば良いのかわからなかった。あまりに寝れないので、ベッドの中で寝落ちするまでハリーポッターをKindleで読んでいた。その日はどうやって眠りについたか記憶にない。


よろしければサポートよろしくお願い致します!いただいたサポートはクリエイターとして活動費に使わせて頂きます。