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使い方によっては、お金って無駄になるって話

『用法容量は正しくお使いください』
と薬にも書いてあるが、なぜ用法容量を守らなければならないのか、
をしっかり考えて行動する必要がある。

使い方を誤って、もったいないお金の使い方をしてしまった人のお話


採卵鶏・レイヤー・卵屋
いろいろな言い方があるが、卵の農場で問題となるのは、
ワクモというダニである。

以前、ワクモについてはnoteを書いているので、
ワクモに興味のある奇特な方はそちらをご覧いただいてから、
戻ってきてくれると嬉しい。


さて、本題だが、
ワクモによる被害を軽減する為に、どのような方法が取れるのか。

前回のワクモ対策の時に、ハーブを使うという方法があると紹介したが、
最近はまた新しい商品が席巻している。


それは、
〖MSDアニマルヘルス株式会社 エグゾルト〗
である。


このエグゾルトだが、
「有効成分であるフララネルは、動物に対する安全性と外部寄生虫に対する効果を求めて創薬されたイソキサザリン系化合物であり、ワクモのGABA作動性塩素チャンネルをブロックすることで、神経細胞に作用し、過度の緊張を起こします。」
ということらしい。

https://www.msd-animal-health.jp/wp-content/uploads/sites/36/2021/06/2021%EF%BC%8E06%E3%82%A8%E3%82%B0%E3%82%BE%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%EF%BC%88%E6%9C%80%E7%B5%82%EF%BC%89.pdf


この説明だと本当に「なんのこっちゃ」である。


では、流れで説明してみよう。

  1. 水に混ぜたエグゾルトを鶏が飲む

  2. 鶏の体内にエグゾルトがまわる

  3. ワクモが鶏から吸血する

  4. 薬の成分がワクモに入る

  5. ワクモ死亡

ということである。


で、薬の成分で鶏が死なないのかといわれるかもしれないが、
”死なない”のには理由がある。

なぜならば、〖神経に作用する仕組みが違うから〗
説明は面倒なので、下のYouTubeをご覧いただきたい。

で、用法容量の話になる前に、
どんなことが起こったのか、お話しよう。



卵屋の主人は、エグゾルトという新しい薬でワクモを駆除することにしました。
「このエグゾルト、とても効果が高いらしいじゃないか」

主人は、せっかくならワクモを根絶やしにして、
鶏がストレスを受けないようにしようと思い、
ハーブ系のワクモ忌避剤を餌に混ぜることにしました。
「さあ、これで完璧だ」

「効果が出るまで、21日くらいだったか」
主人は3週間後が楽しみだと思いながら過ごしました。

3週間後、従業員に任せていた鶏舎に入ったところ、
主人は驚きました。
「ワクモがいっぱいいるじゃないか!!」
なんということでしょう、ワクモが全く減っている様子がありません。


さて、問題です。

何が問題だったでしょうか?



ここで思い出してほしいのは、先ほど説明した、
エグゾルトがどうやって効くのか。


理由は簡単で、
エグゾルトを飲んだ鶏をワクモが吸血することで、
ワクモが死ぬ。
が、ハーブのワクモ忌避剤を混ぜたことで、
ワクモがハーブのにおいを嫌がって、
血を吸わなかったのだ。


ハーブのワクモ忌避剤が効果を発揮したという証明にはなったが、
主人の思った通りにはならなかった。

薬に限らず、どういったものなのかを考えて使わなければ、
何かを無駄にしてしまうこともあるのだ。

というわけで、
ワクモ忌避剤というと、こういうものだろう。


今回は、混ぜ屋が仕事中に聴いた、
勉強になったお話でした。

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